みけ猫みけ太は異世界のお師匠である

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死に逝く者と生かされる者

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真っ白な人は創造神のエルというらしい。

『エルは神様?』

『ああ、そのように扱われている』

『ふーん』

『それではチハル、新しい場所に生まれるか、みけ太と同じ世界に生まれるか選びなさい』

『みけ太と同じ世界!』

決まっている。
両親が生まれ変わらない世界なら、大好きなみけ太がいる世界で生きていきたい。

『わかりました、チハルは生まれ変わりたい種族はありますか?』

『うーん......わかんないから人間でいいや』

『そんなあっさり......』

人間以外の種族といわれても私には分からない。
それに、私が人間以外になってしまったらみけ太が見つけてくれないかもしれない。
そんなのは嫌だし悲しい。

『では、貴方には私の加護を与えましょう』

エルがそういうと私のおでこに指を当てる。
ぽかぽかと体が温まる気がした。

『これで、チハルは異世界へ行っても不自由なくなるでしょう。私も居ますし』

『......? 神様も?』

『ええ、私も』

すごくいい笑顔というのはこういうものを言うのだろうか?
エルは学校の先生のようだなと思う。

『それでは、そろそろ行きましょうか』

『うん、早くみけ太に会いたいな』


目を閉じると、真っ暗な世界に取り残された気がした。


次に目を開けた時には、堅い床の上だった。
起き上がると私の腕や足は細くて力が入らない。

「う......ここ、は?」

喉の渇きで声が出ない。
周りを見渡しても冷蔵庫はないし、飲めそうな水や食べ物もない。
空腹を感じた瞬間お腹が鳴る。

「おなか、へった......ぱぱ、ままどこに行ったの」

(え? ぱぱ、まま?)

無意識に口から出た言葉に驚く。
私のお父さんとお母さんは天界というところにいったってエルが言ってたし。
この体はもしかしたら私であって私じゃない?

「チハル、起きたかね?」

背後から聞き覚えのある声がする。
振り向くとさっきまでの真っ白なエルではなく、白い髪に赤い瞳の青年姿で立っていた。
白い蛇さんみたいで可愛いなと思う。

「エル......?」
「ごめんね、体辛いだろう?チハルの今の体は魂が天界にいってしまって、その子が代わりにチハルを選んだんだ」
「えっと......私の体は元々別の子ので、その子の魂がなくなったから私がこの子になった......?」

エルが頭を撫でてくれる。
そして教えてくれた、元の体の持ち主と両親は天界に召されたと。
ご飯が食べられず、苦しんだと。

私はそれを聞いて悲しかった。
元の体の持ち主が両親と一緒にいれますようにと願う。

「とりあえず、チハルまずは食事をしようか。お腹減っているだろう?」
「うん」

頷くのもやっとなくらい体力がない。
椅子に座りぼんやりとしているとエルはどこからともなくスープを出してくれた。
この体ではスープが限界だという。なんでも、食事をまともにしてなかったみたい。

改めて、ここは日本ではないのだなと思った。
何でもあって、お金で買えて、嫌いなものは食べなくてもいい。
電気があって、綺麗なお水が飲めて、綺麗な服も買えて......。

それがここには一切ない。

そんな事を思いながら私はゆっくりとスープを胃に流し込んだ。
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