ヘレティック・ストーリー

さぼり魔

文字の大きさ
2 / 2

1話

しおりを挟む
「起きて、シン」
「おはよう、すぐ行くから先行っといて」
 声の主が離れていったのを確認すると、僕は再び眠りにつこうとしたが、、
「起きないと、魔法を打ち込むよ」
 という物騒な僕を起こす声がすぐそばで聞こえた。
 目を開けると目の前には天使と見紛うような少女がいた。
 白銀の髪は肩までのびていて、こちらを見下ろしてくる瞳の色は藍色だ。細身の体には、剣を携えている。
 それよりも気になるのが、手のひらと手のひらの間に流れている電流だ。
「おはよう、カルナ。起きたから魔法をしまってください。お願いします。いや、マジで」
 僕が起きたことを確認すると、やっと魔法が消えた。
「シン、アイシャがご飯だって」
 アイシャは、僕とカルナの世話をしてくれている。彼女はもともと凄腕の騎士だったらしい。
 僕は、8年前魔獣の森で気を失っているところを彼女に助けられた。記憶がなくなっていて、帰る場所がなかったから彼女が家まで、連れ帰ってくれた。あれから、僕の家族を探してくれているけど、手掛かりがないらしい。
 カルナは、5年前アイシャが母親を魔族に殺されて、孤児となっているところ助けだした。それ以来、3人で暮らしている。

                        

「おはよう、シン。珍しいね、寝坊するなんて」
「変な夢を見たんだ」
 家では、料理は僕とアイシャが交代でしてる。理由はカルナが以前、料理をした時、僕とアイシャは1日中腹を壊した。それ以来、カルナはキッチンに出入り禁止となった。
 僕もある程度ご飯を作れるが、アイシャは別格だ。そこらの店とは比べ物にならないぐらいうまい。
「二人とも昨日、騎士学校卒業したから明日から試験だよね。今日も特訓?」
 この国では、14歳で騎士学校を卒業して、試験を受ける。試験の結果でこの国に7つ存在する騎士団に入団できるか決まる。騎士団に入団できる人数は、毎年とても少なく1人も出ない年があるくらいだ。
「うん。この後、シンと行ってくる」
「そう言うと思って弁当作っといたから頑張りなよ」
「うん!」



「いってきまーす。」「いってくるね。」
「いってらっしゃい。」
 アイシャに見送られながら、僕たちはいつも訓練している丘に向かっていると、
「そういえば、シンって、どうしてそこまでして騎士になりたいの?」
と、カルナが振り返りながら聞いてきた。
「あれ?言ってなかったっけ。」
「私の理由は言ったことあるけど、シンのは聞いたことない。」
「僕は、自分が何者なのか知りたいんだ。アイシャに拾われる前、どこで何をしていたか。そしてどうしてこうなったのかを、知りたい。騎士に入るのは、多分厳しいけど騎士には入れればそれを見つけることができるような気がするんだ。」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

他国ならうまくいったかもしれない話

章槻雅希
ファンタジー
入り婿が爵位を継いで、第二夫人を迎えて後継者作り。 他国であれば、それが許される国もありましょうが、我が国では法律違反ですわよ。 そう、カヌーン魔導王国には王国特殊法がございますから。   『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...