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ポンコツ発明家・ぽこぺん博士の大発明
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ぽこぺん博士は、ポンコツ発明家。
今日もへんてこな、ポンコツ発明品をつくっています。
「できたぞミタライくん!」
「またですかー、今度は何です? ぽこぺん博士」
助手のミタライくんも、あきれぎみ。
ミタライくんは、生活のため、仕方なくぽこぺん博士を手伝っているのです。
「魔法の電卓じゃよ!」
「電卓ですか。いまさら、という感じですが、まあいいでしょう。役に立たないことはない」
「ばかをいっちゃいかん。これは魔法の電卓じゃよ?」
「魔法とはどういうことです」
「まあ、使ってみたまえ」
「はあ……。イチ、たす、イチ、は、と。…………ん! じゅうろく? これはどういうことです?」
「計算結果に、魔法の数字がかかっとるんじゃ」
「2と出るはずが、16ですから、8がかかっているんですね。魔法の数字とは、8のことですか」
「さあ、それじゃ。それがこの発明のすごいところ」
「というと?」
「かける数字は、毎回ちがうのじゃよ」
そんなぽこぺん博士ですから、みんなにばかにされることも多いのです。
「やあやあ。ぽこぺん博士ではありませんか。なにかいい発明はできましたかな?」
「こないだの、火のつかないマッチはけっさくでしたなあ」
「風の出ないせんぷうき、音のならないラジオ。いやあ、さすがぽこぺん博士」
「ぽこぺん博士、いっそのこと、タイムマシンでもつくってみたらどうですか」
だけどぽこぺん博士はへこみません。それどころか、どんどん発明品の研究に力を入れます。
「ようし、それでは、次はタイムマシンをつくろう」
「博士、いくらなんでも、それは無理なんじゃ……」
ミタライくんがとめても、もうむだです。一度決めたらやめないのがぽこぺん博士。
「ミタライくん、工具をとってくれたまえ! それから、味噌!」
味噌を何に使うのだろう? 質問しかけたミタライくんですが、そういえば、こんなのはいつものことなのです。そこで、だまって博士にしたがうことにしました。
そして、数週間後――
「ついにできたぞ、ミタライくん!」
「はあ」
「どうしたミタライくん、もっとよろこばんか!」
「しかし博士、本当に、これは動くのですか?」
「もちろんだとも! 正真正銘のタイムマシンじゃよ!」
「ほんとうかなあ……」
今までのことがあるので、ミタライくんは全然信用していません。
「ようし、それでは動かしてみようじゃないか」
「どうぞ」
博士は、早速タイムマシンに乗り込みました。そして、
「はやく乗りたまえ、ミタライくん」
「えー、やっぱり僕も乗るんですか」
しぶしぶマシンにのるミタライくん。
「こわいなあ……」
「よし、では、スイッチ、オン!」
どうせ、スイッチは入らないだろう、というミタライくんの期待を裏切り、
ゴゴゴ……とうなりをあげ、装置が動き始めます。
「博士、博士、動いてますよ!」
「当然じゃよ、ミタライくん」
タイムマシンは本物でした。
ポンコツ発明家、ぽこぺん博士は、とうとう、本物の発明家となったのです!
博士とミタライくんは、タイムマシンに乗り、過去へ向かいました。
ミタライくんが生まれた時代へさかのぼり、博士が生まれた時代へさかのぼり、そして、人間が生まれた時代へさかのぼり、生命の生まれた時代へさかのぼりました。
さらに、宇宙の生まれた時代へさかのぼり――二人は帰ってきました。
「博士、やりましたね!」
興奮さめやらず、ミタライくんは言います。それもそのはず、たった今、宇宙の始まりを見てきたところです。
「うむ」
「さっそく、世間に発表しましょう! 大騒ぎになりますよ!」
すると、博士はいいました。
「いや、これは壊すことにするよ」
「なんですって?」
ミタライくんは、自分の耳が信じられませんでした。
「しかし、せっかくの発明品を……。みんなを見返すチャンスですよ?」
「それはそうだが、これは危険すぎる。悪者の手に渡ったら大変だ。例えば、ミタライくんや、私が生まれてこなかったことにできる。人間が、生命が生まれてこなかったことにできる。
宇宙が、生まれてこなかったことに、できてしまうではないか」
「たしかにそうですが……」
ミタライくんはあきらめきれません。今まで、ポンコツ博士のポンコツ助手、と言われ続けてきたのです。
「それではこうしましょう。一度だけ、未来を見に行きましょう。未来の発明品を見放題ですよ! それから壊せばいい。どうです、博士?」
しかし、博士は言います。
「未来を見てしまったら、つまらんよ、ミタライくん。何が起こるかわからないから面白いんじゃ。それにな」
博士はにっこり笑っていいました。
「ワシは、発明が好きなんじゃよ」
今日もぽこぺん博士は発明に大忙し。
みんなに冷やかされながらも、研究を続けます。
「ぽこぺん博士。何か、いいものができましたかな?」
「博士、積木でも作ったらどうです。木を削るだけですよ。でも博士には難しいかな?」
だけど、博士は、そんなこと気にも留めません。
ますます研究に没頭します。
博士は全然変わりません。変わったのは、ミタライくんです。
ミタライくんも、まわりの声が気にならなくなりました。
ミタライくんだけは、博士が本物の発明家だと知っているのです。
そうして、ミタライくんも、なんだか、博士の発明の手伝いをするのが好きになってきたのでした。
あっ、また博士のこえが聞こえますよ。
「できたぞ、ミタライくん!」
「今度はなんです? ぽこぺん博士!」
おしまい
今日もへんてこな、ポンコツ発明品をつくっています。
「できたぞミタライくん!」
「またですかー、今度は何です? ぽこぺん博士」
助手のミタライくんも、あきれぎみ。
ミタライくんは、生活のため、仕方なくぽこぺん博士を手伝っているのです。
「魔法の電卓じゃよ!」
「電卓ですか。いまさら、という感じですが、まあいいでしょう。役に立たないことはない」
「ばかをいっちゃいかん。これは魔法の電卓じゃよ?」
「魔法とはどういうことです」
「まあ、使ってみたまえ」
「はあ……。イチ、たす、イチ、は、と。…………ん! じゅうろく? これはどういうことです?」
「計算結果に、魔法の数字がかかっとるんじゃ」
「2と出るはずが、16ですから、8がかかっているんですね。魔法の数字とは、8のことですか」
「さあ、それじゃ。それがこの発明のすごいところ」
「というと?」
「かける数字は、毎回ちがうのじゃよ」
そんなぽこぺん博士ですから、みんなにばかにされることも多いのです。
「やあやあ。ぽこぺん博士ではありませんか。なにかいい発明はできましたかな?」
「こないだの、火のつかないマッチはけっさくでしたなあ」
「風の出ないせんぷうき、音のならないラジオ。いやあ、さすがぽこぺん博士」
「ぽこぺん博士、いっそのこと、タイムマシンでもつくってみたらどうですか」
だけどぽこぺん博士はへこみません。それどころか、どんどん発明品の研究に力を入れます。
「ようし、それでは、次はタイムマシンをつくろう」
「博士、いくらなんでも、それは無理なんじゃ……」
ミタライくんがとめても、もうむだです。一度決めたらやめないのがぽこぺん博士。
「ミタライくん、工具をとってくれたまえ! それから、味噌!」
味噌を何に使うのだろう? 質問しかけたミタライくんですが、そういえば、こんなのはいつものことなのです。そこで、だまって博士にしたがうことにしました。
そして、数週間後――
「ついにできたぞ、ミタライくん!」
「はあ」
「どうしたミタライくん、もっとよろこばんか!」
「しかし博士、本当に、これは動くのですか?」
「もちろんだとも! 正真正銘のタイムマシンじゃよ!」
「ほんとうかなあ……」
今までのことがあるので、ミタライくんは全然信用していません。
「ようし、それでは動かしてみようじゃないか」
「どうぞ」
博士は、早速タイムマシンに乗り込みました。そして、
「はやく乗りたまえ、ミタライくん」
「えー、やっぱり僕も乗るんですか」
しぶしぶマシンにのるミタライくん。
「こわいなあ……」
「よし、では、スイッチ、オン!」
どうせ、スイッチは入らないだろう、というミタライくんの期待を裏切り、
ゴゴゴ……とうなりをあげ、装置が動き始めます。
「博士、博士、動いてますよ!」
「当然じゃよ、ミタライくん」
タイムマシンは本物でした。
ポンコツ発明家、ぽこぺん博士は、とうとう、本物の発明家となったのです!
博士とミタライくんは、タイムマシンに乗り、過去へ向かいました。
ミタライくんが生まれた時代へさかのぼり、博士が生まれた時代へさかのぼり、そして、人間が生まれた時代へさかのぼり、生命の生まれた時代へさかのぼりました。
さらに、宇宙の生まれた時代へさかのぼり――二人は帰ってきました。
「博士、やりましたね!」
興奮さめやらず、ミタライくんは言います。それもそのはず、たった今、宇宙の始まりを見てきたところです。
「うむ」
「さっそく、世間に発表しましょう! 大騒ぎになりますよ!」
すると、博士はいいました。
「いや、これは壊すことにするよ」
「なんですって?」
ミタライくんは、自分の耳が信じられませんでした。
「しかし、せっかくの発明品を……。みんなを見返すチャンスですよ?」
「それはそうだが、これは危険すぎる。悪者の手に渡ったら大変だ。例えば、ミタライくんや、私が生まれてこなかったことにできる。人間が、生命が生まれてこなかったことにできる。
宇宙が、生まれてこなかったことに、できてしまうではないか」
「たしかにそうですが……」
ミタライくんはあきらめきれません。今まで、ポンコツ博士のポンコツ助手、と言われ続けてきたのです。
「それではこうしましょう。一度だけ、未来を見に行きましょう。未来の発明品を見放題ですよ! それから壊せばいい。どうです、博士?」
しかし、博士は言います。
「未来を見てしまったら、つまらんよ、ミタライくん。何が起こるかわからないから面白いんじゃ。それにな」
博士はにっこり笑っていいました。
「ワシは、発明が好きなんじゃよ」
今日もぽこぺん博士は発明に大忙し。
みんなに冷やかされながらも、研究を続けます。
「ぽこぺん博士。何か、いいものができましたかな?」
「博士、積木でも作ったらどうです。木を削るだけですよ。でも博士には難しいかな?」
だけど、博士は、そんなこと気にも留めません。
ますます研究に没頭します。
博士は全然変わりません。変わったのは、ミタライくんです。
ミタライくんも、まわりの声が気にならなくなりました。
ミタライくんだけは、博士が本物の発明家だと知っているのです。
そうして、ミタライくんも、なんだか、博士の発明の手伝いをするのが好きになってきたのでした。
あっ、また博士のこえが聞こえますよ。
「できたぞ、ミタライくん!」
「今度はなんです? ぽこぺん博士!」
おしまい
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