運び屋、はじめました。

木ノ下 朝陽

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「大学四年生当時の主人公、眠るための工夫をする。」・其の一

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実際に眠れなくて困っているのだからと、「不眠に効果あり」というものを色々試してはみた。


まず、定番中の定番、「羊を数える」。

私の場合、羊を数えながら、安らかな眠りに落ちるどころか、数えているうちに、頭が充電中の携帯電話のように熱を持ってしまって、全く駄目だった。

多分、これは、合う人もいれば合わない人もいる…という、いわゆる「民間療法」、と言うより、はっきり言えば、「おまじない」のひとつなのだと思う。
(「人前に出る時は、掌に『人』の字を三回書いて、呑み込むとあがらない」というのと、同じ類いのものだろう。端的かつ辛辣に言えば、安上がりの偽薬だ)


次に、「好きな音楽を聞いてリラックス」。

これも、その時々の体調に合うものがあるらしく、この音源は昨日は聞きながら眠れた、と言っても、今日はそうじゃない、ということが、往々にしてあった。
(いや、パーセンテージで言えば、連続で同じ音源を使えないという確率の方が高かったかも知れない)

新しい音源も、最初の一日目なら眠れても、三日連続で聞くと、確実に三日目には眠れなくなる。


ならば…と、CDの日替わりローテーションを考えてみても、一日の疲労が勝り、プレイヤーのトレイを開けてCDを取り替える、という作業すら面倒臭くて、ベッドに倒れ込む時もあるし。

そういう時、そのままあっさり眠りに落ちれば良いけれど、
毎晩、眠る前にベッドに転がりながら音楽を聞いている内に、たまに音楽がない日があると、「口寂しい」ならぬ「耳寂しい」という状態に陥るらしく、妙に落ち着かなくなってしまう。

「好きな音楽」は、どうしても眠れない時の、効果に安定性のない、しかも、続けて使う内に習慣性の発生する頓服薬であって、常用薬という訳ではない…ということを理解した。
(と言うより、「理解せざるを得なかった」という表現の方が、より正しい)
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