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「幼少期の主人公、『雑木林』で謎の紙片を発見する。」

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とりあえず、一旦家に帰ろうと立ち上がった私は、先程彼等が車座になっていた「広場」のぐるりを見渡して、
ふと妙なことに気が付いた。

(落ち葉の落ち方が可怪しい、…妙に偏っている…)

いつも、そこを「根城」にして遊んでいた人間だからこそ、気が付いたのかも知れないけれど。

早くも点り始めた街灯の光を頼りに、良く良く見渡すと、


赤土の地面が、ちょうど洗濯に使う盥くらいの大きさに抉れた、
私達が「落とし穴」と呼んでいた箇所の辺りを中心に、
落ち葉が妙な具合に盛り上がり、

その周辺の落ち葉が不自然に少ない、ということが見て取れた。

(……あの人達、「落とし穴」に何か隠した…?)

さっそく腕まくりをして、ここ掘れわんわん…と、『花咲か爺さん』に出てくる白犬よろしく、地面の窪みから落ち葉を掻き出すと、
窪みの底からは、妙にてらりとした質感の、学校で配られるザラ紙くらいの大きさの、四つに折られた紙が見つかった。


釣瓶落としの秋の日が暮れた雑木林の中は、既にかなり暗く、
おまけに、じっとりと水気の混じった、重たく冷たい空気が、両脚を這い上がるように立ち昇って来るので、

林の外に灯る街灯の灯りを頼りに、ようよう雑木林の外に出た私は、

もしや、これは宝の地図か…と、
周りに人の目がないのを確認してから、街灯の青白い灯りの下で、その四つ折りの紙を開いてみた。
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