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勇者と魔王の息子は一般人です。
第5話「勧誘?」
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「正人~、日曜だからっていつまでも寝ているのは不健全だぞ」
父親の声に起こされて俺はもぞもぞと布団から頭を出す。
「ママが朝ごはん睨んだままずっと座ってるから昼ごはんになる前に食べちゃいなさい」
「………は~い」
寝ぼけた頭でリビングに行くと、父の言った通り母が食卓に用意されたトーストとサラダを見ながら座ってた。
「遅いぞ正人よ、眠りの時間を妨げられるのは魔王の血族として許しがたいのは分かるが、なればこそ起きる時間は自分で決めねばならんぞ?」
「うん、今度からもう少し早く起きるよ」
ピンポーン
母の注意を聞きつつ朝食を食べ始めると、玄関の方から呼び鈴を鳴らす音がした。
「誰だろ?」
「パパが出るよ」
そう言うと父の勇介が玄関に向かい、扉を開けて外の人物の応対をした。
「人違いですのでお引き取り下さい」パタンッ ガチャ
と思ったら、ものの30秒も経たずに扉が閉じられた。
「何だったの?」
「ん? 人違い」
「人違い?」
ドンドンドン! 「・・・・・・・・・!!」
閉じられた玄関のドアを激しくたたく音となにやら呼びかけるような声が聞こえてくる。
「勇者、さっさと掃除して来い。うるさくてイライラする」
「え~? ほっとけばそのうち帰ると思うから少しくらい我慢してくれない?」
「なら我われが掃除するから貴様は残った炭のゴミ出しに行くのだぞ?」
炭ってなんの炭だよ。ウチの母魔王マジ怖い。
「仕方ない、あれでも一応死なれると後味悪いし、」
そう言いながら珍しくめんどくさそうな顔で勇介は再び玄関のドアを開けた。
「勇者様! あぁ、ようやく受け入れてくれたのですね、今こそともに憎き魔王を探し出し、あの戦争に本当の決着をつけましょう!」
「いや、僕そういうの興味ないんで、帰ってください」
めんどくさい宗教勧誘を断るような感じでさらっと父が発した言葉は扉の前に居た人物にいかように受け止められたのか、
「そ、そう…いう……の?、興味……ない?」
結構なダメージだったようだ。
「な、なにを言っているのですか!? 勇者様はあの時教会で誓ったではないですか! 例えわが身の全てと引き換えでも必ず魔王を討ち滅ぼし、人の世の安寧を取り戻すと!」
「だってあれ、教皇さんが事前に渡した文書の通りに宣誓式で「そう言え」って指示通りにしただけで僕自身そのあたりどうでもよかったしなぁ」
「ど、どうでもいい??」
「だって城で門番して給金もらってた方がはるかに楽だったのに、並みの兵士数十人に勝てる力と魔法が使えるってのがバレたとたんに勇者認定されて「魔王倒して来い」なんてめんどくさい命令されちゃったんだもん」
「で、ですが、勇者様はそうして旅立ち、行く先々で人々を救いながら魔王の居城までたどり着いて、」
「世界を救った暁には一生安泰分の褒賞を与えるって約束があったのと、行く先々で王家の使いが来ていちいちあの城が危ない、こっちの鉱山町を救え、なんて指示を出してきたから仕方なく出向いてただけだよ」
「……で、でも」
「救ったのは事実だろうって? だってそうしないと国の連中、僕の事もそのうち力が強い危険人物として警戒するようになってただろうし、あ、王家は多分最初からそうだったろうけどね」
「…………、」
懸命に言葉を探しているのが傍から見ていてもわかるが、父の言葉に次第に力を失っていくのもすごくよくわかる。
「そもそも、僕も君ももう向こうの世界に帰れないんだし、おとなしく平和な日本での人生を謳歌したらどうだい?」
「……そ、そうです! 平和なこの国だからこそ魔王の魂を今度こそ野放しにするわけには!」
「さっきから聞いておればいつまでもだらだらと長話をしおって、一発殴ってさっさと追い返せばよかろう勇者!」
「ママ、あんまり乱暴なことすると警察とかいろいろ来ちゃうよ?」
「構うか! とにかくそいつをどうにかせい!」
「あの、勇者様、そちらの方は、マ、ママとは、まさかご結婚を……?」
「あーそうだね、隠すものでもないし、紹介しとくよ。僕の妻で魔王の真央ちゃんです」
「真央ちゃんと呼ぶな!!」
母のキレ気味の飛び蹴りがさく裂し、父の顔面に膝が命中、そしてその勢いのまま父の後頭部が扉の人物に命中した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「う、あ、いたたた、」
「あぁ、起きた?」
「んえ? えっと、誰ですか?」
「初めまして、俺は正人まさひとって言います」
「は、初めまして私は元シスターの、あ、いえ、間違えました。柊ひいらぎ 奈々子ななこと申します」
「それってこっちの世界での名前ですよね? 向こうの世界だとなんて呼ばれてたんですか?」
「えぇ!? もしかして知って……? ……そういうことなら、改めまして、セブリナと申します。あちらの世界では教会で神に仕えるシスターをしておりました」
「へぇ、父さんたち以外の向こうの人って初めて見たな」
「あの、ところで記憶がはっきりしないのですが、さきほど勇者様と一緒に居た方は……、」
「ああ、僕の母さんの事ですか?」
「僕の母さん!? ではあなたは……、」
「はい、母さんと父さん、……勇者と魔王の息子です。一応ね」
「え? 勇者様が結婚されてお子様が居て、そしてその母親が魔王で、え? …………ふぅ、」パタッ
「あ、倒れちった」
シスターのセブリナは入ってきた情報に脳が処理限界を超えて再び気絶した。
父親の声に起こされて俺はもぞもぞと布団から頭を出す。
「ママが朝ごはん睨んだままずっと座ってるから昼ごはんになる前に食べちゃいなさい」
「………は~い」
寝ぼけた頭でリビングに行くと、父の言った通り母が食卓に用意されたトーストとサラダを見ながら座ってた。
「遅いぞ正人よ、眠りの時間を妨げられるのは魔王の血族として許しがたいのは分かるが、なればこそ起きる時間は自分で決めねばならんぞ?」
「うん、今度からもう少し早く起きるよ」
ピンポーン
母の注意を聞きつつ朝食を食べ始めると、玄関の方から呼び鈴を鳴らす音がした。
「誰だろ?」
「パパが出るよ」
そう言うと父の勇介が玄関に向かい、扉を開けて外の人物の応対をした。
「人違いですのでお引き取り下さい」パタンッ ガチャ
と思ったら、ものの30秒も経たずに扉が閉じられた。
「何だったの?」
「ん? 人違い」
「人違い?」
ドンドンドン! 「・・・・・・・・・!!」
閉じられた玄関のドアを激しくたたく音となにやら呼びかけるような声が聞こえてくる。
「勇者、さっさと掃除して来い。うるさくてイライラする」
「え~? ほっとけばそのうち帰ると思うから少しくらい我慢してくれない?」
「なら我われが掃除するから貴様は残った炭のゴミ出しに行くのだぞ?」
炭ってなんの炭だよ。ウチの母魔王マジ怖い。
「仕方ない、あれでも一応死なれると後味悪いし、」
そう言いながら珍しくめんどくさそうな顔で勇介は再び玄関のドアを開けた。
「勇者様! あぁ、ようやく受け入れてくれたのですね、今こそともに憎き魔王を探し出し、あの戦争に本当の決着をつけましょう!」
「いや、僕そういうの興味ないんで、帰ってください」
めんどくさい宗教勧誘を断るような感じでさらっと父が発した言葉は扉の前に居た人物にいかように受け止められたのか、
「そ、そう…いう……の?、興味……ない?」
結構なダメージだったようだ。
「な、なにを言っているのですか!? 勇者様はあの時教会で誓ったではないですか! 例えわが身の全てと引き換えでも必ず魔王を討ち滅ぼし、人の世の安寧を取り戻すと!」
「だってあれ、教皇さんが事前に渡した文書の通りに宣誓式で「そう言え」って指示通りにしただけで僕自身そのあたりどうでもよかったしなぁ」
「ど、どうでもいい??」
「だって城で門番して給金もらってた方がはるかに楽だったのに、並みの兵士数十人に勝てる力と魔法が使えるってのがバレたとたんに勇者認定されて「魔王倒して来い」なんてめんどくさい命令されちゃったんだもん」
「で、ですが、勇者様はそうして旅立ち、行く先々で人々を救いながら魔王の居城までたどり着いて、」
「世界を救った暁には一生安泰分の褒賞を与えるって約束があったのと、行く先々で王家の使いが来ていちいちあの城が危ない、こっちの鉱山町を救え、なんて指示を出してきたから仕方なく出向いてただけだよ」
「……で、でも」
「救ったのは事実だろうって? だってそうしないと国の連中、僕の事もそのうち力が強い危険人物として警戒するようになってただろうし、あ、王家は多分最初からそうだったろうけどね」
「…………、」
懸命に言葉を探しているのが傍から見ていてもわかるが、父の言葉に次第に力を失っていくのもすごくよくわかる。
「そもそも、僕も君ももう向こうの世界に帰れないんだし、おとなしく平和な日本での人生を謳歌したらどうだい?」
「……そ、そうです! 平和なこの国だからこそ魔王の魂を今度こそ野放しにするわけには!」
「さっきから聞いておればいつまでもだらだらと長話をしおって、一発殴ってさっさと追い返せばよかろう勇者!」
「ママ、あんまり乱暴なことすると警察とかいろいろ来ちゃうよ?」
「構うか! とにかくそいつをどうにかせい!」
「あの、勇者様、そちらの方は、マ、ママとは、まさかご結婚を……?」
「あーそうだね、隠すものでもないし、紹介しとくよ。僕の妻で魔王の真央ちゃんです」
「真央ちゃんと呼ぶな!!」
母のキレ気味の飛び蹴りがさく裂し、父の顔面に膝が命中、そしてその勢いのまま父の後頭部が扉の人物に命中した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「う、あ、いたたた、」
「あぁ、起きた?」
「んえ? えっと、誰ですか?」
「初めまして、俺は正人まさひとって言います」
「は、初めまして私は元シスターの、あ、いえ、間違えました。柊ひいらぎ 奈々子ななこと申します」
「それってこっちの世界での名前ですよね? 向こうの世界だとなんて呼ばれてたんですか?」
「えぇ!? もしかして知って……? ……そういうことなら、改めまして、セブリナと申します。あちらの世界では教会で神に仕えるシスターをしておりました」
「へぇ、父さんたち以外の向こうの人って初めて見たな」
「あの、ところで記憶がはっきりしないのですが、さきほど勇者様と一緒に居た方は……、」
「ああ、僕の母さんの事ですか?」
「僕の母さん!? ではあなたは……、」
「はい、母さんと父さん、……勇者と魔王の息子です。一応ね」
「え? 勇者様が結婚されてお子様が居て、そしてその母親が魔王で、え? …………ふぅ、」パタッ
「あ、倒れちった」
シスターのセブリナは入ってきた情報に脳が処理限界を超えて再び気絶した。
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