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勇者と魔王の息子は一般人です。
第7話「責任あり?」
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「は!」
勇者と魔王の結婚という情報を処理しきれず、二度目の気絶をしていたシスターのセブリナは1時間かかってようやく目を覚ました。
「あぁ、起きたんだ」
「勇者様!」
「セブちゃん、あんまり大きい声出さないでね。ご近所さんに迷惑だから」
「あ、すいません。……ではなくて!」
「?」
「どういうことですか!? というよりも本当なんですか!??」
「倒置法で話されても答えかねるよ」
「本当に勇者様が魔王と結婚されたのかということです!」
「うん、事実だよ」
「そんな……」
「さっき君を看病してくれてた正人が二人の愛の結晶という何よりの証拠じゃないか」
「人前で何をこっ恥ずかしいセリフ吐いとるんじゃ貴様はーーー!!」
勇者の言葉に即反応した魔王の飛び蹴りは先ほどとは違ってひらりと躱され、添えた手でくるりと一回転させてキャッチされた魔王は勇者に御姫様抱っこされた。
「ぬう、は、離さんか!」
「と、まぁこんな感じで僕は今とっても幸せなんだ」
魔王の言葉を無視してセブリナに見せつける様に話す勇者を前に、今度こそセブリナは自分の中の大切な何かが打ち砕かれたような気がした。
「だからさっきも言ったけど、もう君もこの世界での幸せを探して好きに生きた方が、」
「待て勇者、その前にそ奴が起きたら聞くことがあると言ったはずだぞ?」
「あ、そうだったね。と言っても聞くまでもない話だとは思うけど」
「それは我が判断する。おい、正直に答えよ、お主はどうやって……ん?」
「私は神の僕しもべ、神に仕え、世界に救済をもたらす一助なるべく、その身を捧げた。世界の平安の為に魔族を撃ち滅ぼし、勇者様と共に光に満ち溢れた世界を得んが為、祈りと………ぶつぶつ」
魔王が質問をしようと話しかけるとセブリナは放心状態でなにかをぶつぶつとつぶやき、会話が出来るような状態には見えなかった。
「おい、どうにかできんのか?」
「精神洗浄系の魔法は僕得意じゃないしなぁ。一番うまかったのは今目の前にいる彼女だし……」
「はぁ、また待たねばならんのか」
「………のせいだ」
「ん? なんじゃ?」
「お前のせいだーーーーーーー!!!!」
放心状態から一転、強力な魔力の波動を感じさせながらセブリナは臨戦態勢で立ち上がり、幾重もの魔法を構築し始めた。
「魔王であるお前が何かしら怪しい術を使って勇者様を洗脳しているに違いない!! 今すぐ勇者様を解放してもらう!!!!」
「……むしろそんなことが出来るならとっくに自害でもさせとるわ」
「その場合正人も生まれなくなってたけどママはそれでよかった?」
「う、そ、それは……」
「私の勇者様をそれ以上汚すなーーーーーーー!!!」
端から見れば仲睦まじい会話をする二人にセブリナは再度怒りを爆発させる。
「ママ、ここは下がって、僕が」
「でしゃばるな、奴は我をご指名だ。魔王として受けて立ってやろう」
「……わかったよ、でもほどほどにね?」
「承知しておる。今日はワイバーンよりも旨味がたっぷりの地鶏を唐揚げにする予定だからな、下ごしらえの時間も考えて手早く終わらせるとしよう」
築20年、2LDKアパートの和室で魔王とシスターの決戦が今、……夕飯前に始まろうとしてた。
勇者と魔王の結婚という情報を処理しきれず、二度目の気絶をしていたシスターのセブリナは1時間かかってようやく目を覚ました。
「あぁ、起きたんだ」
「勇者様!」
「セブちゃん、あんまり大きい声出さないでね。ご近所さんに迷惑だから」
「あ、すいません。……ではなくて!」
「?」
「どういうことですか!? というよりも本当なんですか!??」
「倒置法で話されても答えかねるよ」
「本当に勇者様が魔王と結婚されたのかということです!」
「うん、事実だよ」
「そんな……」
「さっき君を看病してくれてた正人が二人の愛の結晶という何よりの証拠じゃないか」
「人前で何をこっ恥ずかしいセリフ吐いとるんじゃ貴様はーーー!!」
勇者の言葉に即反応した魔王の飛び蹴りは先ほどとは違ってひらりと躱され、添えた手でくるりと一回転させてキャッチされた魔王は勇者に御姫様抱っこされた。
「ぬう、は、離さんか!」
「と、まぁこんな感じで僕は今とっても幸せなんだ」
魔王の言葉を無視してセブリナに見せつける様に話す勇者を前に、今度こそセブリナは自分の中の大切な何かが打ち砕かれたような気がした。
「だからさっきも言ったけど、もう君もこの世界での幸せを探して好きに生きた方が、」
「待て勇者、その前にそ奴が起きたら聞くことがあると言ったはずだぞ?」
「あ、そうだったね。と言っても聞くまでもない話だとは思うけど」
「それは我が判断する。おい、正直に答えよ、お主はどうやって……ん?」
「私は神の僕しもべ、神に仕え、世界に救済をもたらす一助なるべく、その身を捧げた。世界の平安の為に魔族を撃ち滅ぼし、勇者様と共に光に満ち溢れた世界を得んが為、祈りと………ぶつぶつ」
魔王が質問をしようと話しかけるとセブリナは放心状態でなにかをぶつぶつとつぶやき、会話が出来るような状態には見えなかった。
「おい、どうにかできんのか?」
「精神洗浄系の魔法は僕得意じゃないしなぁ。一番うまかったのは今目の前にいる彼女だし……」
「はぁ、また待たねばならんのか」
「………のせいだ」
「ん? なんじゃ?」
「お前のせいだーーーーーーー!!!!」
放心状態から一転、強力な魔力の波動を感じさせながらセブリナは臨戦態勢で立ち上がり、幾重もの魔法を構築し始めた。
「魔王であるお前が何かしら怪しい術を使って勇者様を洗脳しているに違いない!! 今すぐ勇者様を解放してもらう!!!!」
「……むしろそんなことが出来るならとっくに自害でもさせとるわ」
「その場合正人も生まれなくなってたけどママはそれでよかった?」
「う、そ、それは……」
「私の勇者様をそれ以上汚すなーーーーーーー!!!」
端から見れば仲睦まじい会話をする二人にセブリナは再度怒りを爆発させる。
「ママ、ここは下がって、僕が」
「でしゃばるな、奴は我をご指名だ。魔王として受けて立ってやろう」
「……わかったよ、でもほどほどにね?」
「承知しておる。今日はワイバーンよりも旨味がたっぷりの地鶏を唐揚げにする予定だからな、下ごしらえの時間も考えて手早く終わらせるとしよう」
築20年、2LDKアパートの和室で魔王とシスターの決戦が今、……夕飯前に始まろうとしてた。
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