~ファンタジーアラカルト~お好み選びの短編集

イマノキ・スギロウ

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勇者と魔王の息子は一般人です。

第15話「過去話5/これからも続く日常」

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 その日、魔王と勇者の二人と親しい間柄の人たちはとある場所で二人が来るのを待っていた。

「真央ちゃん、準備はいいかな?」

「も、もう少し待て、……こんなに緊張したのは人間領に宣戦布告をして攻め込んだ時以来だ」

「ハハ、真央ちゃんでも緊張することがあるんだね」

「笑うな!」

「大丈夫、僕も緊張してるから」

「なら……条件は同じだな」

「うん、真央ちゃんが失敗しそうになったら僕が先に失敗して目立っとくから」

「そういうことを先に言うから貴様は配慮が足らんのだ」

「ごめんね」

「さぁ、そろそろゆくぞ、皆を待たせておるからな」

「そうだね。僕たちにとって今日は一番の晴れ舞台だ、行こう」

『皆さま、大変お待たせしました。新郎新婦の入場です!』

 司会の言葉とともに扉が開き、2人が皆が待っている場所へと入ると、入場用に設定していた曲が流れ始めてたくさんの拍手が二人の結婚式を祝福した。 


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 正人の身体を集合思念が乗っ取った夜から数えて2日目の夕方、解放された正人はというと、慣れない魔法の行使や激しい動きをしたことで心身ともに疲労し、いまだに回復しきれずにいた。

「う~、まだ身体だり~」

「まーく、正人、あまり無理をするな。自分の意志でなかったとはいえ、一晩であれだけ動き回った上に大量の魔法を使ったのだ。魔力とそれをあやつる精神力の回復だけでもあと数日は安静にせねば」

「でもこれ以上休むと授業に付いていけなくなるんだけど」

「それなら安心せい、そこでテレビを見ながらせんべい齧っとる勇者は勉強を教えた友人百余名を全員志望校合格に導いた生きた学問の神と言われた逸話がある」

「ママ、そのエピソード恥ずかしいから内緒にしといてって言ったじゃない」

「知るか、正人が困っているなら我はどんな手段を使ってでも手助けするつもりだ。たとえ勇者であろうとな」

「へ~、それならあっちの力は使わないの?」

「あっち?」

「………(ボソ)予言者真央ちゃん」

「き、貴様!! どこでその話を知ったぁ!?」

「いやぁ、隣町まで占いの噂が流れてきたおかげでこうして再会できた上に結婚できた事を思えばこれはすべて真央ちゃんのおかげと言えるんじゃ」

「だから気軽に真央ちゃんと呼ぶなあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 いつもの見慣れた戦いを始めた2人に対して正人は、疲労の残る身体のせいで止める気も失せ、再びベッドに戻って身体を休めようとした。しかし、インターホンが鳴り、方向を変えて玄関の方に向かった。

「はい、どちら様……ってああ、皆さん」

 扉の前に立っていたのは勇者の仲間、セブリナ・ヴァネル・アミスだった。

「正人君、体調はどうですか? 栄養ドリンクや消化に良い果物とヨーグルトを買ってきましたのでどうぞ」
「元気か正人くん? 肉持ってきたから食え!」
「自分は滋養強壮に良いマムシを取ってきました。訓練で調理法は熟知してるので良ければ台所をお借りしてもよろしいですか?」

「皆さんありがとうございます。せっかくですから一緒に夕飯食べて行ってください」

「まぁ、それじゃあお言葉に甘えて」
「お、悪ぃな」
「では、腕によりをかけたマムシ料理をごちそうしましょう」

「はい、ただちょっと待っててくださいね。勇者と魔王の決戦が終わるまで」

「うおぉぉぉ、今日こそ貴様の息の根止めてくれるわ! 勇者!!」

「はっはっはっ、ママの攻撃など全て受け切って我が腕の中で愛を囁いてくれよう!!」

「はぁ、……平和だな」

 こうして今日も一般人、平川正人のちょっと非日常的な、それでいて普段は限りなく平凡な毎日は続いていく。あなたの周りでもちょっと気づかないだけでこんな毎日を送っている隣人が居るかもしれない?


 END
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