31 / 36
勇者と魔王の息子は一般人です。
第15話「過去話5/これからも続く日常」
しおりを挟む
その日、魔王と勇者の二人と親しい間柄の人たちはとある場所で二人が来るのを待っていた。
「真央ちゃん、準備はいいかな?」
「も、もう少し待て、……こんなに緊張したのは人間領に宣戦布告をして攻め込んだ時以来だ」
「ハハ、真央ちゃんでも緊張することがあるんだね」
「笑うな!」
「大丈夫、僕も緊張してるから」
「なら……条件は同じだな」
「うん、真央ちゃんが失敗しそうになったら僕が先に失敗して目立っとくから」
「そういうことを先に言うから貴様は配慮が足らんのだ」
「ごめんね」
「さぁ、そろそろゆくぞ、皆を待たせておるからな」
「そうだね。僕たちにとって今日は一番の晴れ舞台だ、行こう」
『皆さま、大変お待たせしました。新郎新婦の入場です!』
司会の言葉とともに扉が開き、2人が皆が待っている場所へと入ると、入場用に設定していた曲が流れ始めてたくさんの拍手が二人の結婚式を祝福した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
正人の身体を集合思念が乗っ取った夜から数えて2日目の夕方、解放された正人はというと、慣れない魔法の行使や激しい動きをしたことで心身ともに疲労し、いまだに回復しきれずにいた。
「う~、まだ身体だり~」
「まーく、正人、あまり無理をするな。自分の意志でなかったとはいえ、一晩であれだけ動き回った上に大量の魔法を使ったのだ。魔力とそれをあやつる精神力の回復だけでもあと数日は安静にせねば」
「でもこれ以上休むと授業に付いていけなくなるんだけど」
「それなら安心せい、そこでテレビを見ながらせんべい齧っとる勇者は勉強を教えた友人百余名を全員志望校合格に導いた生きた学問の神と言われた逸話がある」
「ママ、そのエピソード恥ずかしいから内緒にしといてって言ったじゃない」
「知るか、正人が困っているなら我はどんな手段を使ってでも手助けするつもりだ。たとえ勇者であろうとな」
「へ~、それならあっちの力は使わないの?」
「あっち?」
「………(ボソ)予言者真央ちゃん」
「き、貴様!! どこでその話を知ったぁ!?」
「いやぁ、隣町まで占いの噂が流れてきたおかげでこうして再会できた上に結婚できた事を思えばこれはすべて真央ちゃんのおかげと言えるんじゃ」
「だから気軽に真央ちゃんと呼ぶなあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
いつもの見慣れた戦いを始めた2人に対して正人は、疲労の残る身体のせいで止める気も失せ、再びベッドに戻って身体を休めようとした。しかし、インターホンが鳴り、方向を変えて玄関の方に向かった。
「はい、どちら様……ってああ、皆さん」
扉の前に立っていたのは勇者の仲間、セブリナ・ヴァネル・アミスだった。
「正人君、体調はどうですか? 栄養ドリンクや消化に良い果物とヨーグルトを買ってきましたのでどうぞ」
「元気か正人くん? 肉持ってきたから食え!」
「自分は滋養強壮に良いマムシを取ってきました。訓練で調理法は熟知してるので良ければ台所をお借りしてもよろしいですか?」
「皆さんありがとうございます。せっかくですから一緒に夕飯食べて行ってください」
「まぁ、それじゃあお言葉に甘えて」
「お、悪ぃな」
「では、腕によりをかけたマムシ料理をごちそうしましょう」
「はい、ただちょっと待っててくださいね。勇者と魔王の決戦が終わるまで」
「うおぉぉぉ、今日こそ貴様の息の根止めてくれるわ! 勇者!!」
「はっはっはっ、ママの攻撃など全て受け切って我が腕の中で愛を囁いてくれよう!!」
「はぁ、……平和だな」
こうして今日も一般人、平川正人のちょっと非日常的な、それでいて普段は限りなく平凡な毎日は続いていく。あなたの周りでもちょっと気づかないだけでこんな毎日を送っている隣人が居るかもしれない?
END
「真央ちゃん、準備はいいかな?」
「も、もう少し待て、……こんなに緊張したのは人間領に宣戦布告をして攻め込んだ時以来だ」
「ハハ、真央ちゃんでも緊張することがあるんだね」
「笑うな!」
「大丈夫、僕も緊張してるから」
「なら……条件は同じだな」
「うん、真央ちゃんが失敗しそうになったら僕が先に失敗して目立っとくから」
「そういうことを先に言うから貴様は配慮が足らんのだ」
「ごめんね」
「さぁ、そろそろゆくぞ、皆を待たせておるからな」
「そうだね。僕たちにとって今日は一番の晴れ舞台だ、行こう」
『皆さま、大変お待たせしました。新郎新婦の入場です!』
司会の言葉とともに扉が開き、2人が皆が待っている場所へと入ると、入場用に設定していた曲が流れ始めてたくさんの拍手が二人の結婚式を祝福した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
正人の身体を集合思念が乗っ取った夜から数えて2日目の夕方、解放された正人はというと、慣れない魔法の行使や激しい動きをしたことで心身ともに疲労し、いまだに回復しきれずにいた。
「う~、まだ身体だり~」
「まーく、正人、あまり無理をするな。自分の意志でなかったとはいえ、一晩であれだけ動き回った上に大量の魔法を使ったのだ。魔力とそれをあやつる精神力の回復だけでもあと数日は安静にせねば」
「でもこれ以上休むと授業に付いていけなくなるんだけど」
「それなら安心せい、そこでテレビを見ながらせんべい齧っとる勇者は勉強を教えた友人百余名を全員志望校合格に導いた生きた学問の神と言われた逸話がある」
「ママ、そのエピソード恥ずかしいから内緒にしといてって言ったじゃない」
「知るか、正人が困っているなら我はどんな手段を使ってでも手助けするつもりだ。たとえ勇者であろうとな」
「へ~、それならあっちの力は使わないの?」
「あっち?」
「………(ボソ)予言者真央ちゃん」
「き、貴様!! どこでその話を知ったぁ!?」
「いやぁ、隣町まで占いの噂が流れてきたおかげでこうして再会できた上に結婚できた事を思えばこれはすべて真央ちゃんのおかげと言えるんじゃ」
「だから気軽に真央ちゃんと呼ぶなあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
いつもの見慣れた戦いを始めた2人に対して正人は、疲労の残る身体のせいで止める気も失せ、再びベッドに戻って身体を休めようとした。しかし、インターホンが鳴り、方向を変えて玄関の方に向かった。
「はい、どちら様……ってああ、皆さん」
扉の前に立っていたのは勇者の仲間、セブリナ・ヴァネル・アミスだった。
「正人君、体調はどうですか? 栄養ドリンクや消化に良い果物とヨーグルトを買ってきましたのでどうぞ」
「元気か正人くん? 肉持ってきたから食え!」
「自分は滋養強壮に良いマムシを取ってきました。訓練で調理法は熟知してるので良ければ台所をお借りしてもよろしいですか?」
「皆さんありがとうございます。せっかくですから一緒に夕飯食べて行ってください」
「まぁ、それじゃあお言葉に甘えて」
「お、悪ぃな」
「では、腕によりをかけたマムシ料理をごちそうしましょう」
「はい、ただちょっと待っててくださいね。勇者と魔王の決戦が終わるまで」
「うおぉぉぉ、今日こそ貴様の息の根止めてくれるわ! 勇者!!」
「はっはっはっ、ママの攻撃など全て受け切って我が腕の中で愛を囁いてくれよう!!」
「はぁ、……平和だな」
こうして今日も一般人、平川正人のちょっと非日常的な、それでいて普段は限りなく平凡な毎日は続いていく。あなたの周りでもちょっと気づかないだけでこんな毎日を送っている隣人が居るかもしれない?
END
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる