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004:事実
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「アトラ~白い皿を取って~右横に戸棚の中に入れてあるから」
「分かった」
────“あった!白い皿が!
でも2番目の棚か・・・取りずらいけどここは腕だけで伸ばせば取れるかも”────
「取って来たよ」
「ありがとう」
アトラは魔法が使えないため、自分の手で現実世界の人間たちの生活をしている。
魔力が失った今、3日前のような力は発揮できない。
「アトラの奴、手伝いを率先してやるようになったな。」
「あたし達の出番は無さそうね・・・」
「ミューラ、ラウル
少しはアトラを見習って手伝いをしなきゃ貴方達の自立に響くわよ」
「だってアトラがいるんだから大丈夫でしょ」
「何言ってるの!アトラが率先しているのはお母さんの家事が大変だから手伝ってくれているからなのよ
だらだらしている暇があったらアトラみたいに動けるように頑張りなさい!」
「いいよおばさん、俺がアイツ等に動かないでって言ったんだから」
「でも・・・」
「家事の事なら俺に任せて」
「アトラ・・・」
ミューラとラウルの母34歳。
金髪の頭で前髪がカチューシャのようなバンドで上げている。
ラウルのサラサラヘアの髪型はお母さんから来ている。
ミューラのウェーブの髪型は父親似かもしれない。その父親が丸い茶色の眼鏡をかけてパジャマ姿で起きてきた。
ミューラとラウルの父46歳。
サラリーマンでいつも自転車通勤の優しいお父さん。
「おはよう、おじさん」
「おはようアトラ
お前偉いな~朝から手伝いなんて」
「いいや、そんな偉いっていうものじゃないよ
ちょっとしたボランティアだよ」
「ボランティア?」
「うん、学校が行けられない俺にとっては家族の家政婦になればなって思ってさ
彼奴等には俺の代わりに学校へ行けられればなってさ」
「そうなんだ・・・。
俺もアトラをラウルとミューラと共に学校へ編入すればいいがな~・・・」
「おじさん、気持ちは受け取ったよ!」
父はそんなアトラを心配していた。
子供なのにどうして否定をするのかよく分からないが、無理しているんだろうなというのは知っていた。
アトラは学校へ行きたいが、本当の事情はミューラとラウルしか知らない。
それだけ大人達には知られていないため、本当の事は話さないでおいている。
家族の食事が終わり、アトラが3人分の食器洗いもやっている。
母は洗濯物を取り込んでおり、仕事中にも関わらず指示を送る。
「アトラ、それが終わったら床掃除を宜しくね」
「分かった!」
まるで祖父が居た時の生活のようにアトラは家事をする。
食器の泡を洗い流し、終わると次の仕事へと入り、掃除機をかける。
────“魔法が使えないってそういうものなんだろうなって大体理解したが、体力を使うとはな・・・
現実世界っていうのはこういうものだったのか・・・すげぇ疲れる・・・”────
肩を回しながら家事の苦労さを知った。
今まで当たり前に魔法を使って生活を送っていた少年にとってはまるで下働きをする労働者のような気分にさせられ、なんだか良い気持ちすらならない。
“魔法界へ今すぐに戻りたい!”彼の思いが強くなった。
「ありがとうね、アトラ
2人で買い物へ行きましょ」
「うん・・・」
初めて大人の女性と買い物なんて行った事がないアトラは、緊張しながら母の顔をチラチラとみながら歩いた。
その視線に気づいた少年に母は聞いた。
「どうしたの?緊張しているの?」
「じょっ・・・女性と一緒に行った事がないので、俺こう見ても初めてなんだよ・・・」
敬語混じりに話す少年に少し笑った。
「ふふふっ」
「なっ・・・」
「アトラって本当に恥ずかしがり屋さんなのね」
「だって・・・他人だし、女性と余り出かけた事が無いし、いつもおじいちゃんと一緒だつたから・・・」
「おじいちゃん?」
「俺にはおじいちゃんが居て、たまに手伝ってくれる優しい人だったんだ
今は離れ離れになって寂しいけど、帰って来れるように魔力が何時でも発揮できるようになりたい・・・」
アトラの思いを察した母は言った────
「じゃあ魔法が使えるまでしばらく練習ね」
「うん・・・」
「アトラが魔法を使えるようになったら私達から離れてしまうのね・・・
魔法使いは箒に乗って空を飛べるし、その世界で暮らすようになるし、私達のような一般の人間と暮らすという事ができなくなってしまいそうで寂しい・・・」
──── 母の寂しさを知ったアトラはその母の寂しさを知った。
なんとも口に出来ないもどかしさにただ人の話を聞くしかできなかった。
スーパーマーケットへ来ると母はメモ紙を出し、確認をしながら探していた。
「今日は洗濯をする洗剤とウェットシートを買わなきゃね」
「ウェットシートってなんだ?」
「トイレの周りを掃除をするものよ」
「へぇ・・・そんなものがあるのか・・・」
「知らなかったでしょ?」
「まぁ・・・。」
「あると結構便利なのよ
色んな汚れを落とす事も出来るし、洗剤やシートや蒸気クリーナーで汚れによって掃除をすると便利なの」
「へぇ・・・」
掃除の話をする母に魔法でなんとか済ましてしまうアトラには分からなかった。
そんな少年の出身の事すら知らない母はぶっちゃけた質問をする。
「君は雑巾でなんとか清掃を終わらす人?」
「まあ水を使ってしっかり拭くけど?」
「時間がかかったんじゃない?」
「まあ・・・」
事情を話すしか無い、アトラは思い切って本当の事を話した。
「おばさん、俺・・・ミューラとかラウルにしか明かしていないけど、本当は魔法界の人間なんだ」
「魔法界?」
「うん」
「そんな・・・なんで本当の事を言ってくれなかったの?」
「ごめんなさい、2人にしか明かしていなかったから・・・」
母はその事実を知り、少年が何者なのかを理解できた。
「ようやく分かったわ、貴方が1人で蛸の男を倒した理由が・・・」
「え?」
「家全体が泡だらけだったというのは本当は貴方の魔法が要因だったのね!
でも凄いわ!魔法で泡で蛸の男が撃退できるなんて夢のようだし、普通の人が洗剤で戦ったらそんな泡なんて出やしなかったもの!」
「まあ・・・」
「今度、泡の魔法が使えるようになったら家全体を綺麗にして欲しいわ!」
「はぁ・・・」
アトラの両手が母の両手に包まれ、なんだか恥ずかしくなった。
期待される思いがその少年の事実をいい方向へ動かし、希望へと繋がった。
「よお、金出せよ」
黒ずくめの強盗がスーパーマーケットに押し入った。
────続
「分かった」
────“あった!白い皿が!
でも2番目の棚か・・・取りずらいけどここは腕だけで伸ばせば取れるかも”────
「取って来たよ」
「ありがとう」
アトラは魔法が使えないため、自分の手で現実世界の人間たちの生活をしている。
魔力が失った今、3日前のような力は発揮できない。
「アトラの奴、手伝いを率先してやるようになったな。」
「あたし達の出番は無さそうね・・・」
「ミューラ、ラウル
少しはアトラを見習って手伝いをしなきゃ貴方達の自立に響くわよ」
「だってアトラがいるんだから大丈夫でしょ」
「何言ってるの!アトラが率先しているのはお母さんの家事が大変だから手伝ってくれているからなのよ
だらだらしている暇があったらアトラみたいに動けるように頑張りなさい!」
「いいよおばさん、俺がアイツ等に動かないでって言ったんだから」
「でも・・・」
「家事の事なら俺に任せて」
「アトラ・・・」
ミューラとラウルの母34歳。
金髪の頭で前髪がカチューシャのようなバンドで上げている。
ラウルのサラサラヘアの髪型はお母さんから来ている。
ミューラのウェーブの髪型は父親似かもしれない。その父親が丸い茶色の眼鏡をかけてパジャマ姿で起きてきた。
ミューラとラウルの父46歳。
サラリーマンでいつも自転車通勤の優しいお父さん。
「おはよう、おじさん」
「おはようアトラ
お前偉いな~朝から手伝いなんて」
「いいや、そんな偉いっていうものじゃないよ
ちょっとしたボランティアだよ」
「ボランティア?」
「うん、学校が行けられない俺にとっては家族の家政婦になればなって思ってさ
彼奴等には俺の代わりに学校へ行けられればなってさ」
「そうなんだ・・・。
俺もアトラをラウルとミューラと共に学校へ編入すればいいがな~・・・」
「おじさん、気持ちは受け取ったよ!」
父はそんなアトラを心配していた。
子供なのにどうして否定をするのかよく分からないが、無理しているんだろうなというのは知っていた。
アトラは学校へ行きたいが、本当の事情はミューラとラウルしか知らない。
それだけ大人達には知られていないため、本当の事は話さないでおいている。
家族の食事が終わり、アトラが3人分の食器洗いもやっている。
母は洗濯物を取り込んでおり、仕事中にも関わらず指示を送る。
「アトラ、それが終わったら床掃除を宜しくね」
「分かった!」
まるで祖父が居た時の生活のようにアトラは家事をする。
食器の泡を洗い流し、終わると次の仕事へと入り、掃除機をかける。
────“魔法が使えないってそういうものなんだろうなって大体理解したが、体力を使うとはな・・・
現実世界っていうのはこういうものだったのか・・・すげぇ疲れる・・・”────
肩を回しながら家事の苦労さを知った。
今まで当たり前に魔法を使って生活を送っていた少年にとってはまるで下働きをする労働者のような気分にさせられ、なんだか良い気持ちすらならない。
“魔法界へ今すぐに戻りたい!”彼の思いが強くなった。
「ありがとうね、アトラ
2人で買い物へ行きましょ」
「うん・・・」
初めて大人の女性と買い物なんて行った事がないアトラは、緊張しながら母の顔をチラチラとみながら歩いた。
その視線に気づいた少年に母は聞いた。
「どうしたの?緊張しているの?」
「じょっ・・・女性と一緒に行った事がないので、俺こう見ても初めてなんだよ・・・」
敬語混じりに話す少年に少し笑った。
「ふふふっ」
「なっ・・・」
「アトラって本当に恥ずかしがり屋さんなのね」
「だって・・・他人だし、女性と余り出かけた事が無いし、いつもおじいちゃんと一緒だつたから・・・」
「おじいちゃん?」
「俺にはおじいちゃんが居て、たまに手伝ってくれる優しい人だったんだ
今は離れ離れになって寂しいけど、帰って来れるように魔力が何時でも発揮できるようになりたい・・・」
アトラの思いを察した母は言った────
「じゃあ魔法が使えるまでしばらく練習ね」
「うん・・・」
「アトラが魔法を使えるようになったら私達から離れてしまうのね・・・
魔法使いは箒に乗って空を飛べるし、その世界で暮らすようになるし、私達のような一般の人間と暮らすという事ができなくなってしまいそうで寂しい・・・」
──── 母の寂しさを知ったアトラはその母の寂しさを知った。
なんとも口に出来ないもどかしさにただ人の話を聞くしかできなかった。
スーパーマーケットへ来ると母はメモ紙を出し、確認をしながら探していた。
「今日は洗濯をする洗剤とウェットシートを買わなきゃね」
「ウェットシートってなんだ?」
「トイレの周りを掃除をするものよ」
「へぇ・・・そんなものがあるのか・・・」
「知らなかったでしょ?」
「まぁ・・・。」
「あると結構便利なのよ
色んな汚れを落とす事も出来るし、洗剤やシートや蒸気クリーナーで汚れによって掃除をすると便利なの」
「へぇ・・・」
掃除の話をする母に魔法でなんとか済ましてしまうアトラには分からなかった。
そんな少年の出身の事すら知らない母はぶっちゃけた質問をする。
「君は雑巾でなんとか清掃を終わらす人?」
「まあ水を使ってしっかり拭くけど?」
「時間がかかったんじゃない?」
「まあ・・・」
事情を話すしか無い、アトラは思い切って本当の事を話した。
「おばさん、俺・・・ミューラとかラウルにしか明かしていないけど、本当は魔法界の人間なんだ」
「魔法界?」
「うん」
「そんな・・・なんで本当の事を言ってくれなかったの?」
「ごめんなさい、2人にしか明かしていなかったから・・・」
母はその事実を知り、少年が何者なのかを理解できた。
「ようやく分かったわ、貴方が1人で蛸の男を倒した理由が・・・」
「え?」
「家全体が泡だらけだったというのは本当は貴方の魔法が要因だったのね!
でも凄いわ!魔法で泡で蛸の男が撃退できるなんて夢のようだし、普通の人が洗剤で戦ったらそんな泡なんて出やしなかったもの!」
「まあ・・・」
「今度、泡の魔法が使えるようになったら家全体を綺麗にして欲しいわ!」
「はぁ・・・」
アトラの両手が母の両手に包まれ、なんだか恥ずかしくなった。
期待される思いがその少年の事実をいい方向へ動かし、希望へと繋がった。
「よお、金出せよ」
黒ずくめの強盗がスーパーマーケットに押し入った。
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