女になる薬で女になったけど状況はかわりません。

みゆきじゅん

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 俺は親戚が経営するアパートで1人暮らしをしている。ほぼ家賃は無料だったので無職で半ば引き篭もりになった今でもかろうじて住まいを追い出されずにいた。俺が女に性転換したところで世の中は何の興味も関心も示さない。俺が女になったことで世の中が変わることもなかった。オカマ時代は悪評批判もあったが、今はどこからどう見ても女性にしかみえない。趣味で買った女性用のシャツとスカートを履いて外に出てもあくまで普通の女として見られているようにしか思えない。べつに注目を浴びたい訳ではなかったが。かくれんぼの遊びをしてすっかり鬼役の子にさがすのを諦められ、ほったらかしにされている気分だった。自分だけが世間を気にしてビクビクドキドキしているだけだったことに気がついた。

「(独り言)女の格好で堂々と街を歩けるのは嬉しいな」
俺はわざとお腕を振って歩いていた。声を掛けてくるのは怪しいアンケートをお願いする男性だけ。街にあるスパの看板が気になって入っていくことにした。
「入浴のみで館内着、フェイスタオルにバスタオル貸し出し付きで2500円か、高いな、岩盤浴は別料金ときたか、まあ、せつかくだから仕方ない入浴のみしていこう」
俺は入口のハワイアンな値段表示板を確認していた。

 普通に女湯に入れて普通に身体を洗って普通にお風呂に入って普通にスパを出た。ただ、俺自身、お風呂場に行き交う女体を楽しめたのは収穫だったが、すぐに飽きた、逆にスパに来ていた女性たちは俺のことなど目もくれずスパを楽しんでいるだけだった。俺は女性として完全に世の中に溶け込んでいた。俺はただ自分の性別がかわったことで重大な事をしたと奢り勘違いしていた、女になれば明るく楽しい生活が待っていると。男でも女でも何も特別なことはないことに気が付いた。根本的にやる事は何も変わっていない。俺は元の引き篭もりに戻る事にしたのだった。
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