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第十一話 あかつきとみぞれ様
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あの宝石のブローチを日常的に身につけていた人物は、代々の継承者の中でも珍しいらしい。ブローチに刻まれた時の記憶は、ほとんどがカイルと私で占められているのだ。
私の先代の管理者である母の時の記憶も、冠婚葬祭や私に司書資格取得のお祝いでブローチを譲るときのものくらいしか残っていない。
つまり、このブローチは私の幼少期を知らないのだ。それを霏鷹に語らなくていいと分かって、私は安心してしまった。
……してしまったのが、嫌だ。
***
家でじっとしていられなくて、私は行くあてもなく街をぶらつく。
最近は、秋の日照り雨の街がにわかに色めき立って見える。霏鷹の話によると、長雨の季節が訪れたことを喜ぶ夜通しの祭儀が一週間後に行われるらしい。街角には星々や龍を模した小さな飾りが出され、行き交う人々の首元や手首には三日月型のアクセサリーが光っている。
きっと水神の巫たちはてんてこ舞いだ。あれから神々廻――霖羽ちゃんはどうしてるだろうか。
『世界に心を奪われるな。先輩はまず先輩のことじゃ』
いつかの声が耳の奥で繰り返される。神に仕える人だからなのか、彼女の言葉は不思議と胸に引っかかる。
私の右足を走る生々しい傷だってそうだ。『まだ終わりじゃない』と、私に報せるかのようにそこにある。
「おー、クロノちゃん。こっち!」
「え……冴さん……」
唐突に、図書館の前で呼び止められた。傘も差さずに小雨に降られっぱなしの冴さんだ。その隣にいる人物の顔を認めた瞬間、私の体中から変な汗が噴き出す。
私と同じ焦げ茶のセミロングをゆるく結わえて、動きやすそうな上下の服に雨傘を傾ける女性。
「お母さん!?」
「暁。怪我大丈夫なん?」
「けがっ? あ、あーうん……」
気まずさに耐えられず、私はまっさらな煙草を咥える冴さんをぎっとねめつけて声をひそめる。
「ちょっ、人の母親口説くってどんな神経してんですか?」
「誤解だ。ちゃんと説明させてくれ……つーかクロノちゃんよ」
まるで奥歯に何か挟まったような口ぶりだ。私は目を合わせつつも疑問符を浮かべる。
「キミ、お袋さんになァんにも事情言ってなかったな?」
「ア、あぁ、まあ」
「……図星か!」
「その、無駄な心配かけたくなくて……」
言い咎める冴さんの微妙な顔つきに、私はしょぼんと小さくならざるを得なかった。
*
ほぼ同じ背丈の母の腕に絡みついて、黙って背を撫でられ続ける。
幼い頃は私が馬鹿をやると厳しく叱りつけられたものだった。でも最後にはこうして私に寄り添ってくれるのだ。色とりどりの感情が混じって濁り、少し胸が苦しくなる。
母が私の怪我について知ったのは、年に数回ある『気まぐれ帰省』のときに私が実家に居なかったのがきっかけだったようだ。失踪したと勘違いして警察に届けかけたところを、冴さんが対応してくれていたらしい。
「すいませんでした……」
母と一緒にぺこりと頭を下げる。この歳にもなって恥ずかしいったらありゃしない。
「そいつはお袋さんに言っときな。んで、キミは今どこに住んでんだ?」
「それは黙秘します」
「……そーかい」
冴さんは何かを察したように、火のついていない煙草を噛んだ。うん、まあ、ぽかんと話を聞いている母には何も教えないでおこう。
「ね、ねえお母さん。私になんか用だったの」
「郵便見てないん?」
「数週間くらい実家寄ってないから」
「手紙来たんよ。おとん、重めの感染症かかったって」
え、とかろうじて声を出した。
病気。お父さんが、病気? 心象風景の中で、幼い私が哭き始めた。
「嘘だ……」
口から悪言がこぼれる。お母さんも冴さんも何事かと私を見ている。もう、抑えられない。
「いるなら助けてよ!」
狂乱した刹那、ぴたりと小雨が止んだ。
(あぁ)
心中での絶望。どっと雨脚が強まる。
私の頭の上の傘が、ばちばちと雨に打たれている。この雨粒はきっと怒りの粒だ。私はまだ恨んでいた。納得していなかった。
……何を? 分からない。
でも、『彼』に聞かせてしまったかもしれない。やっちまった。
「……降ってきたなァ。一旦図書館入るか」
「そうしますわ。暁さんどうすんの?」
「やってらんない」
私の言動に二人が動揺している。それでも構わず愛用の傘を閉じて、きょとん顔の母の手元へ押しつけた。
「このままじゃ駄目かも。ケリつける!」
くるりと背を見せた。
心が引き寄せられることばかり愛して、知らず知らずに大切なことから目を逸らしてしまうのは、やっぱり私だから。
「おい、こん天気だぞ! やめとけクロノちゃん!」
「暁っ!」
私は引き止めを振り切って、暗い暗い雨の中へ踊り出た。靴の中までぐしょぐしょに濡らしながら、水溜まりだらけの道を駆ける。山のほうで濃灰色の雲が明るく光る。次いで遠雷が鳴り始めた。
ずぶ濡れはあの相合傘の日以来だ。夜明け色の組み紐が水を吸って重くなり、私の後頭部で揺れていく。
『今度は君の番だ』と、御影の声が言う。
そうだ。今度は私が過去を暴かれる番だ。恐れて燻るだけの時間は終わった。夜明けの時なのだ。
これまで私は、自分自身の時の記憶を視たことがなかった。かつてカイルが遺言に込め、私が受け継いだはずの本懐もうっかり頓挫しかけている。
ということは、向かうべき場所はひとつだけ。
前は確か黄昏時で、虹が出ていた。燃えるような夕焼けを浴びた霙が煌めいて、儚く綺麗だったのを覚えてる。
「時を刻み、記憶する湖……」
ゆっくり、ゆっくりと歩みを進めていく。
そして私は、湖沼月鏡の畔――草木の茂る寂しげな汀へと辿り着いた。
……あれ? 誰かいる。
黒と紅のチャイナドレスの後ろ姿。艶めかしくくびれた腰のあたりまで伸びた朱髪の三つ編み。
バッと振り返った切れ長の翠眼に見つかった……かと思ったら、とんでもない勢いですっ飛んで距離を詰めて来た。斜めぱっつん前髪に隠された美貌が、なぜか悲痛に歪んでいる。
「サトル!! 足は、足は大丈夫か!?」
耳をつんざく金切り声。目の前に飛び込んできた『予定外』に、私の臓腑は嫌な冷たさに掴まれる。
「…………な、なんで、ここに、」
――アレスさん。
銀彊会事件で霏鷹の氷閉を食らって、警察に捕らえられていたはずだ。何故五体満足で……というより、どうしてこんな場所にいるのだろうか。
「オマエ、足は……歩けるのか?」
「あしっ?」
私の心配をするなんて意味が分からない。記憶が朧げだが、あの事件で私の足を斬ったのは彼女だったと思う。でも今のアレスさんは本気で言ってるようにしか見えない。
ぐらり。いよいよ平常が崩れる音がし始めた。
「け、怪我はもう大丈夫よ。それよりなんで無事なの」
「ワタシか? ハッ、氷にとじこめられるくらい痛くもかゆくもない」
「凍傷とか低体温症とか、本で見たことあるけど……」
「なんともないが。そうだ、せっかくだし教えてやる」
アレスさんはすんと無表情になると、己の掌をこれ見よがしに私に向ける。
「刮目せよ」
あの皇子を思い出させる、形式的な勿体ぶった宣言。
どこからともなく小刀を取り出して、その掌に深くバツ印をつけてしまった。しかし、血が全く流れ落ちない。傷はみるみる塞がって、最後には何もなかったかのように元通り。
「再生した……!?」
私の声は震える。
そこに追い討ちをかけるように、傷どころかささくれもない手に肩を強く掴まれた。私はそれを引き剥がそうとして、反射的に彼女の手に触れる。
……時の記憶がひとつも視えない。
「あんた、誰……っ」
喉は掠れた悲鳴を捻り出す。体全体が内から駆け上がるような熱に包まれる。
彼女は答えない。口づけしそうなほど顔を近づけてきて、うっすらと口角を上げる。東洋系のとんでもなく美しい顔立ちだ。瞳孔の開いた極彩色のエメラルドグリーンが二つ、横に並んで嵌っている。
そうだ。彼女は幼少期に図鑑で見た猛獣に似ている。この眼光に、今から私は射殺されるのだ。
「ワタシは、『ひのかみ』らしいぞ?」
あの宝石のブローチを日常的に身につけていた人物は、代々の継承者の中でも珍しいらしい。ブローチに刻まれた時の記憶は、ほとんどがカイルと私で占められているのだ。
私の先代の管理者である母の時の記憶も、冠婚葬祭や私に司書資格取得のお祝いでブローチを譲るときのものくらいしか残っていない。
つまり、このブローチは私の幼少期を知らないのだ。それを霏鷹に語らなくていいと分かって、私は安心してしまった。
……してしまったのが、嫌だ。
***
家でじっとしていられなくて、私は行くあてもなく街をぶらつく。
最近は、秋の日照り雨の街がにわかに色めき立って見える。霏鷹の話によると、長雨の季節が訪れたことを喜ぶ夜通しの祭儀が一週間後に行われるらしい。街角には星々や龍を模した小さな飾りが出され、行き交う人々の首元や手首には三日月型のアクセサリーが光っている。
きっと水神の巫たちはてんてこ舞いだ。あれから神々廻――霖羽ちゃんはどうしてるだろうか。
『世界に心を奪われるな。先輩はまず先輩のことじゃ』
いつかの声が耳の奥で繰り返される。神に仕える人だからなのか、彼女の言葉は不思議と胸に引っかかる。
私の右足を走る生々しい傷だってそうだ。『まだ終わりじゃない』と、私に報せるかのようにそこにある。
「おー、クロノちゃん。こっち!」
「え……冴さん……」
唐突に、図書館の前で呼び止められた。傘も差さずに小雨に降られっぱなしの冴さんだ。その隣にいる人物の顔を認めた瞬間、私の体中から変な汗が噴き出す。
私と同じ焦げ茶のセミロングをゆるく結わえて、動きやすそうな上下の服に雨傘を傾ける女性。
「お母さん!?」
「暁。怪我大丈夫なん?」
「けがっ? あ、あーうん……」
気まずさに耐えられず、私はまっさらな煙草を咥える冴さんをぎっとねめつけて声をひそめる。
「ちょっ、人の母親口説くってどんな神経してんですか?」
「誤解だ。ちゃんと説明させてくれ……つーかクロノちゃんよ」
まるで奥歯に何か挟まったような口ぶりだ。私は目を合わせつつも疑問符を浮かべる。
「キミ、お袋さんになァんにも事情言ってなかったな?」
「ア、あぁ、まあ」
「……図星か!」
「その、無駄な心配かけたくなくて……」
言い咎める冴さんの微妙な顔つきに、私はしょぼんと小さくならざるを得なかった。
*
ほぼ同じ背丈の母の腕に絡みついて、黙って背を撫でられ続ける。
幼い頃は私が馬鹿をやると厳しく叱りつけられたものだった。でも最後にはこうして私に寄り添ってくれるのだ。色とりどりの感情が混じって濁り、少し胸が苦しくなる。
母が私の怪我について知ったのは、年に数回ある『気まぐれ帰省』のときに私が実家に居なかったのがきっかけだったようだ。失踪したと勘違いして警察に届けかけたところを、冴さんが対応してくれていたらしい。
「すいませんでした……」
母と一緒にぺこりと頭を下げる。この歳にもなって恥ずかしいったらありゃしない。
「そいつはお袋さんに言っときな。んで、キミは今どこに住んでんだ?」
「それは黙秘します」
「……そーかい」
冴さんは何かを察したように、火のついていない煙草を噛んだ。うん、まあ、ぽかんと話を聞いている母には何も教えないでおこう。
「ね、ねえお母さん。私になんか用だったの」
「郵便見てないん?」
「数週間くらい実家寄ってないから」
「手紙来たんよ。おとん、重めの感染症かかったって」
え、とかろうじて声を出した。
病気。お父さんが、病気? 心象風景の中で、幼い私が哭き始めた。
「嘘だ……」
口から悪言がこぼれる。お母さんも冴さんも何事かと私を見ている。もう、抑えられない。
「いるなら助けてよ!」
狂乱した刹那、ぴたりと小雨が止んだ。
(あぁ)
心中での絶望。どっと雨脚が強まる。
私の頭の上の傘が、ばちばちと雨に打たれている。この雨粒はきっと怒りの粒だ。私はまだ恨んでいた。納得していなかった。
……何を? 分からない。
でも、『彼』に聞かせてしまったかもしれない。やっちまった。
「……降ってきたなァ。一旦図書館入るか」
「そうしますわ。暁さんどうすんの?」
「やってらんない」
私の言動に二人が動揺している。それでも構わず愛用の傘を閉じて、きょとん顔の母の手元へ押しつけた。
「このままじゃ駄目かも。ケリつける!」
くるりと背を見せた。
心が引き寄せられることばかり愛して、知らず知らずに大切なことから目を逸らしてしまうのは、やっぱり私だから。
「おい、こん天気だぞ! やめとけクロノちゃん!」
「暁っ!」
私は引き止めを振り切って、暗い暗い雨の中へ踊り出た。靴の中までぐしょぐしょに濡らしながら、水溜まりだらけの道を駆ける。山のほうで濃灰色の雲が明るく光る。次いで遠雷が鳴り始めた。
ずぶ濡れはあの相合傘の日以来だ。夜明け色の組み紐が水を吸って重くなり、私の後頭部で揺れていく。
『今度は君の番だ』と、御影の声が言う。
そうだ。今度は私が過去を暴かれる番だ。恐れて燻るだけの時間は終わった。夜明けの時なのだ。
これまで私は、自分自身の時の記憶を視たことがなかった。かつてカイルが遺言に込め、私が受け継いだはずの本懐もうっかり頓挫しかけている。
ということは、向かうべき場所はひとつだけ。
前は確か黄昏時で、虹が出ていた。燃えるような夕焼けを浴びた霙が煌めいて、儚く綺麗だったのを覚えてる。
「時を刻み、記憶する湖……」
ゆっくり、ゆっくりと歩みを進めていく。
そして私は、湖沼月鏡の畔――草木の茂る寂しげな汀へと辿り着いた。
……あれ? 誰かいる。
黒と紅のチャイナドレスの後ろ姿。艶めかしくくびれた腰のあたりまで伸びた朱髪の三つ編み。
バッと振り返った切れ長の翠眼に見つかった……かと思ったら、とんでもない勢いですっ飛んで距離を詰めて来た。斜めぱっつん前髪に隠された美貌が、なぜか悲痛に歪んでいる。
「サトル!! 足は、足は大丈夫か!?」
耳をつんざく金切り声。目の前に飛び込んできた『予定外』に、私の臓腑は嫌な冷たさに掴まれる。
「…………な、なんで、ここに、」
――アレスさん。
銀彊会事件で霏鷹の氷閉を食らって、警察に捕らえられていたはずだ。何故五体満足で……というより、どうしてこんな場所にいるのだろうか。
「オマエ、足は……歩けるのか?」
「あしっ?」
私の心配をするなんて意味が分からない。記憶が朧げだが、あの事件で私の足を斬ったのは彼女だったと思う。でも今のアレスさんは本気で言ってるようにしか見えない。
ぐらり。いよいよ平常が崩れる音がし始めた。
「け、怪我はもう大丈夫よ。それよりなんで無事なの」
「ワタシか? ハッ、氷にとじこめられるくらい痛くもかゆくもない」
「凍傷とか低体温症とか、本で見たことあるけど……」
「なんともないが。そうだ、せっかくだし教えてやる」
アレスさんはすんと無表情になると、己の掌をこれ見よがしに私に向ける。
「刮目せよ」
あの皇子を思い出させる、形式的な勿体ぶった宣言。
どこからともなく小刀を取り出して、その掌に深くバツ印をつけてしまった。しかし、血が全く流れ落ちない。傷はみるみる塞がって、最後には何もなかったかのように元通り。
「再生した……!?」
私の声は震える。
そこに追い討ちをかけるように、傷どころかささくれもない手に肩を強く掴まれた。私はそれを引き剥がそうとして、反射的に彼女の手に触れる。
……時の記憶がひとつも視えない。
「あんた、誰……っ」
喉は掠れた悲鳴を捻り出す。体全体が内から駆け上がるような熱に包まれる。
彼女は答えない。口づけしそうなほど顔を近づけてきて、うっすらと口角を上げる。東洋系のとんでもなく美しい顔立ちだ。瞳孔の開いた極彩色のエメラルドグリーンが二つ、横に並んで嵌っている。
そうだ。彼女は幼少期に図鑑で見た猛獣に似ている。この眼光に、今から私は射殺されるのだ。
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