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氷樹の森の大賢者
5.バスケット片手に
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結論からいうと、同じ程度の剣は無かった。
正確に言うと、どれも特殊能力がついていたり、同じような攻撃力帯の武器が短剣だったりで、形状と攻撃力両方を満たす近い武器というのが見繕えない。
一番近いのは私が現在腰から下げているスペルキャストなのだが、これだけはよほどの理由がない限り……いや、あったとしても人に貸すつもりはないのだ。
私にとって何よりも大事な宝物なのだから。
そんなわけでゼフィアに剣を貸すのは見送ることになった。
貸し出すと威力が高すぎて変なことになるんじゃないかという心配があったので。
ステータスだけ見てもだいぶ違っていたことを考えると、ゲーム時代の武器は迂闊に出さないほうがいいだろう、少なくとも自分が使うにとどめたほうがいい。
私の持っているスペルキャストが初心者鍛治師プレイヤーの作品なのだが、それで武器としての性能だけならゼフィアの持っているシルバーソーンの少し上ぐらいなのだ。
ゲーム後期パッチのクエスト裝備とか考えたくもない。
そんなわけで私たちは村から出て、北東にある森を抜けた先の薬草が群生する野原へと向かっている。
森の中はさすがに人が管理できていない領域だけあって足場も悪く、鬱蒼とした森はどこか不気味な空気が漂っていた。
先導のゼフィアが剣を抜いて周囲を警戒しながら歩みを進めるのだが、時折枯れ枝を踏んだりして森に音が響くたびにノフィカが息を飲む。
ゼフィアと違って自衛できないためだろうか、かなり緊張している様子だった。
私も剣を抜いておくべきか迷ったのだが、結局初の森歩きということで今は抜いていない。
道が整備されていないこともあって歩くだけでも辛そうだと思ったからなのだが、スキルの補正が効いているのか大した疲労感はないあたり便利。
これは恐らくスキル、幻惑の舞姫の影響だろう。
内容はこんな感じ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
幻惑の舞姫
"舞姫"のマスタースキル。
どのような場所でも自在に立ちまわることができる。
服装による制限を撤廃。
回避に+10%の上方修正。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お洒落さんに大絶賛されそうなスキルだ。
ともあれそんな森のなかを三十分ほど進んだ頃、森は唐突に終わりを告げ、その先には山の麓まで続く野原と、そこに群生する薬草を含めた草花が生み出す景色が広がっていた。
まばらにではあるが青緑色の花をつけた植物が目当てのもの、ナナフシジャコウソウというらしい。
「くるときに魔物に出くわさなくてよかったな、それじゃあさっさと済ませちまうか」
そう言ってゼフィアは剣を収める。
その様子から、この周辺は安全なのだろうということがうかがえた。
「今日はどれぐらい取るんだ?」
「今日は、そうですね……ここ数日ヴァーラが出没することが増えていますから少し量を増やして一株から三節ほどでお願いします」
「さんふし?」
「あ、リーシア様には説明しないとですね。えっと、この青緑色の花をつけている草がナナフシジャコウソウです、このように七つ節ががあるからナナフシジャコウソウというのですが、全草が魔物よけの香草になっているんです」
と言ってノフィカが示したものは確かに七つ節がある、なんというかラベンダーとつくしを混ぜたような植物だ、太さが一センチ程、花は節ごとに三箇所から横に細い茎が出てそこに咲いている。
一つの節の長さはだいたい15センチほどなので、全長は腰より少し上になるぐらい。
なので三節というと50センチぐらいだろうか。
「このように、少し節のところに力を入れてやるとぽっきりと折れます」
「ふむふむ……おお、とれた」
以外と硬いのか折ったときの感触が結構気持ちいい。
「この節で折ると比較的すぐに新しい芽が出てくるんです。普段は一節かニ節で取るんですが、最近少し気になることがあるので多めに、ひとりあて100株ぐらいおねがいします」
「もっと根本からとっちゃダメなの?」
「節を折るとその年にできる種が減るんです。来年生まれる新しい株が減ってしまうことも避けたいので、背の低いものや節の少ないものからとるのは控えていただけると助かります」
「なるほど了解。そういえばゼフィア、ここにきたら剣を収めたけどこの辺って安全なの?」
一応確認しておく、油断してて何かあると怖いしね。
「ああ、ノフィカが言ったろ、魔物除けの香草だって。ナナフシジャコウソウの群生地は魔物が寄ってこないことで有名なんだよ、よほどのことがない限り大丈夫だと思うぜ」
「そっか、それじゃあ私は向こうの方で集めてくるわ」
「あんまり遠くまで行くなよ、万が一ってこともあるからな」
そんな感じで薬草採取ははじまった。
あまり踏み荒らさないように気をつけながら一本、また一本と手折って集めていく。
集めていると確かに癖のある香りを感じられる。
魔物が嫌う臭いなのか、それともなんらかの忌避成分があるのか……除虫菊みたいなもんかな。
20本ほど集めたところで抱えている腕がしんどくなってきたので一旦カゴに入れに行く、ゼフィアはさすがにノフィカのそばについているようで、ふとある考えが脳裏をかすめた。
この状況……わたし、もしかして2人の逢瀬の時間を邪魔してるお邪魔虫なのでは?
「おう、以外と手際いいな」
「ええと、20本ですね」
「じゃ、あと80本あつめたらもどってくるわ、邪魔しないから、ごゆっくり」
「は?」
そそくさと離れる私を見てノフィカは何か思い至ったのだろう、途端に焦って声を上げる。
「あの、リーシア様またなにか変な勘違いしてませんか!?」
私が残りの80本ほどのナナフシジャコウソウを集めて戻ってくるころには2人はすでにノルマを終えて休憩している様子だった。
やはり慣れている人は早いのね、私も急いだつもりなんだけど。
作業中はこっそりインベントリにしまっておいたナナフシジャコウソウを両手に抱えて2人のところへと歩いて行く、その途中気づいたけれどゼフィアは休んでいるのではなく何かに警戒しているようだ。
ノフィカが私を見つけ手招きする様子も何か急かしたようなもので、私は少し身をかがめながら早足に2人の元へともどる。
「リーシア様、無事でよかったです」
「そっちは何もなかったか?」
「う、うん。いたって普通だったけど、何かあったの?」
「はっきり何かあったわけじゃないんだが、少し空気に殺気が混ざってる感じでな、探しに行こうかとも思ったんだがノフィカを置いて動くわけにもいかなくて困ってたんだ、戻ってきてくれて助かった」
ノフィカは私から受け取ったナナフシジャコウソウをカゴに急いで詰め込むと、籠のふたを閉めて背負い込む。
「よし、急いで戻るぞ。リーシアは後ろを頼む」
「了解、ノフィカ大丈夫?」
「これぐらいならなんとか、あまりはやくは走れそうにないですが」
大きなカゴを背負って若干頼りなさそうだが、この場合荒事ができないだろう彼女にもってもらうしかない。
腰から剣を抜き放ち背後と周囲に気を配りながら森の中を駆ける。
本来なら私がしんがりを務めるとか無茶なんだろうけど、道も覚えていない私では先導することもできない。
付いてきたのは果たして正解だったのだろうか。
先頭を行くゼフィアが邪魔な枝を斬りはらい草をある程度分けてくれることで歩くペースはそこそこ早いだろうか、比較対象がないから体感だけど。
草をかき分ける音と、枝を払う音。
そんな中にうなり声のようなものが聞こえた気がした。
「コボルトだな……数が少なければなんとかなるんだが」
「強いの?」
ゲーム時代は中級者ぐらいで戦えるモブで、ゼフィアぐらいのレベルだと1回戦うごとに休憩か回復アイテムが必須ぐらいの強さだったけども。
「強くはない、けど慣れてないと動きを追うのが難しいな。獣だけあって森でも素早く動くからひらけたところに出ないとこっちが不利だ」
地の利は向こうにありってことか。
茂みから突然襲いかかられたら対処のしようがないし、森の中に入ったのはもしかしてまずかった?
ゼフィアはまだ余裕そうだけれどノフィカはさすがに疲れが出てきているようだし、この際ナナフシジャコウソウは籠ごとインベントリに突っ込むか?
「リーシア、もう少し進んだら多少ひらけた場所に出る。そこで俺がコボルトを引きつけるからノフィカを連れて森を抜けてくれ。ノフィカ、道はわかるな?」
「わ、わかりますけど……大丈夫なんですか?」
「どうとでもするさ」
私が囮になるって言ってもいろんな意味で却下されそうだし、普段から魔物と戦ってるゼフィアがなら多分大丈夫だろうけど、不安要素は私たちだよねー、はっはっは。
いやいや笑い事じゃないわ。
ひときわ高く茂った草を抜け開けた場所に出る、そこで私たちは足を止めることになった。
いや、足を止めざるを得なかった。
一つはノフィカが足を引っ掛けて盛大に転倒し背負っていたナナフシジャコウソウをぶちまけてしまったこと、ナナフシジャコウソウを頭から盛大にかぶっている。
こんな状況でなければ笑い話で済んだんだけどね。
「ノフィカ大丈夫!?」
「コボルトが待ち伏せ!? しかもこんな数でまとまってるだと!?」
もう一つは数えただけで二十近い数のコボルトたちが私たちを待ち伏せしていたのだ、そして背後からも5匹のコボルトが飛び出してくる。
さすがに状況的に周囲への対応を優先したのかゼフィアは剣を構えた状態で周りを牽制している。
そのおかげかコボルトがすぐさま襲いかかってくることはなかった。
ノフィカはすぐに立ち上がろうとしていたのだが中腰ぐらいまで立ち上がったところでまた倒れてしまった。
足を抑えている様子なのだが、これは変な形にひねるか折るかしたか。
「走れそうにないわね……気のせいかな、状況がどんどん悪化してる気がするわ」
「悪化してるんじゃない、追い込まれたんだ。こんなこと初めてだが……リーシア覚悟決めろ、もうやるしかない」
だよねぇ。
意を決して飛びかかってきたコボルトをゼフィアは一刀で斬り返す。
手傷を負わせこそしたものの一撃ではしとめきれなかったコボルトはいきり立って牙をむき、手に持っている棍棒を振り回した。
こうして私の異世界での初戦闘はかなり不利な状況で幕を開けた。
正確に言うと、どれも特殊能力がついていたり、同じような攻撃力帯の武器が短剣だったりで、形状と攻撃力両方を満たす近い武器というのが見繕えない。
一番近いのは私が現在腰から下げているスペルキャストなのだが、これだけはよほどの理由がない限り……いや、あったとしても人に貸すつもりはないのだ。
私にとって何よりも大事な宝物なのだから。
そんなわけでゼフィアに剣を貸すのは見送ることになった。
貸し出すと威力が高すぎて変なことになるんじゃないかという心配があったので。
ステータスだけ見てもだいぶ違っていたことを考えると、ゲーム時代の武器は迂闊に出さないほうがいいだろう、少なくとも自分が使うにとどめたほうがいい。
私の持っているスペルキャストが初心者鍛治師プレイヤーの作品なのだが、それで武器としての性能だけならゼフィアの持っているシルバーソーンの少し上ぐらいなのだ。
ゲーム後期パッチのクエスト裝備とか考えたくもない。
そんなわけで私たちは村から出て、北東にある森を抜けた先の薬草が群生する野原へと向かっている。
森の中はさすがに人が管理できていない領域だけあって足場も悪く、鬱蒼とした森はどこか不気味な空気が漂っていた。
先導のゼフィアが剣を抜いて周囲を警戒しながら歩みを進めるのだが、時折枯れ枝を踏んだりして森に音が響くたびにノフィカが息を飲む。
ゼフィアと違って自衛できないためだろうか、かなり緊張している様子だった。
私も剣を抜いておくべきか迷ったのだが、結局初の森歩きということで今は抜いていない。
道が整備されていないこともあって歩くだけでも辛そうだと思ったからなのだが、スキルの補正が効いているのか大した疲労感はないあたり便利。
これは恐らくスキル、幻惑の舞姫の影響だろう。
内容はこんな感じ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
幻惑の舞姫
"舞姫"のマスタースキル。
どのような場所でも自在に立ちまわることができる。
服装による制限を撤廃。
回避に+10%の上方修正。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お洒落さんに大絶賛されそうなスキルだ。
ともあれそんな森のなかを三十分ほど進んだ頃、森は唐突に終わりを告げ、その先には山の麓まで続く野原と、そこに群生する薬草を含めた草花が生み出す景色が広がっていた。
まばらにではあるが青緑色の花をつけた植物が目当てのもの、ナナフシジャコウソウというらしい。
「くるときに魔物に出くわさなくてよかったな、それじゃあさっさと済ませちまうか」
そう言ってゼフィアは剣を収める。
その様子から、この周辺は安全なのだろうということがうかがえた。
「今日はどれぐらい取るんだ?」
「今日は、そうですね……ここ数日ヴァーラが出没することが増えていますから少し量を増やして一株から三節ほどでお願いします」
「さんふし?」
「あ、リーシア様には説明しないとですね。えっと、この青緑色の花をつけている草がナナフシジャコウソウです、このように七つ節ががあるからナナフシジャコウソウというのですが、全草が魔物よけの香草になっているんです」
と言ってノフィカが示したものは確かに七つ節がある、なんというかラベンダーとつくしを混ぜたような植物だ、太さが一センチ程、花は節ごとに三箇所から横に細い茎が出てそこに咲いている。
一つの節の長さはだいたい15センチほどなので、全長は腰より少し上になるぐらい。
なので三節というと50センチぐらいだろうか。
「このように、少し節のところに力を入れてやるとぽっきりと折れます」
「ふむふむ……おお、とれた」
以外と硬いのか折ったときの感触が結構気持ちいい。
「この節で折ると比較的すぐに新しい芽が出てくるんです。普段は一節かニ節で取るんですが、最近少し気になることがあるので多めに、ひとりあて100株ぐらいおねがいします」
「もっと根本からとっちゃダメなの?」
「節を折るとその年にできる種が減るんです。来年生まれる新しい株が減ってしまうことも避けたいので、背の低いものや節の少ないものからとるのは控えていただけると助かります」
「なるほど了解。そういえばゼフィア、ここにきたら剣を収めたけどこの辺って安全なの?」
一応確認しておく、油断してて何かあると怖いしね。
「ああ、ノフィカが言ったろ、魔物除けの香草だって。ナナフシジャコウソウの群生地は魔物が寄ってこないことで有名なんだよ、よほどのことがない限り大丈夫だと思うぜ」
「そっか、それじゃあ私は向こうの方で集めてくるわ」
「あんまり遠くまで行くなよ、万が一ってこともあるからな」
そんな感じで薬草採取ははじまった。
あまり踏み荒らさないように気をつけながら一本、また一本と手折って集めていく。
集めていると確かに癖のある香りを感じられる。
魔物が嫌う臭いなのか、それともなんらかの忌避成分があるのか……除虫菊みたいなもんかな。
20本ほど集めたところで抱えている腕がしんどくなってきたので一旦カゴに入れに行く、ゼフィアはさすがにノフィカのそばについているようで、ふとある考えが脳裏をかすめた。
この状況……わたし、もしかして2人の逢瀬の時間を邪魔してるお邪魔虫なのでは?
「おう、以外と手際いいな」
「ええと、20本ですね」
「じゃ、あと80本あつめたらもどってくるわ、邪魔しないから、ごゆっくり」
「は?」
そそくさと離れる私を見てノフィカは何か思い至ったのだろう、途端に焦って声を上げる。
「あの、リーシア様またなにか変な勘違いしてませんか!?」
私が残りの80本ほどのナナフシジャコウソウを集めて戻ってくるころには2人はすでにノルマを終えて休憩している様子だった。
やはり慣れている人は早いのね、私も急いだつもりなんだけど。
作業中はこっそりインベントリにしまっておいたナナフシジャコウソウを両手に抱えて2人のところへと歩いて行く、その途中気づいたけれどゼフィアは休んでいるのではなく何かに警戒しているようだ。
ノフィカが私を見つけ手招きする様子も何か急かしたようなもので、私は少し身をかがめながら早足に2人の元へともどる。
「リーシア様、無事でよかったです」
「そっちは何もなかったか?」
「う、うん。いたって普通だったけど、何かあったの?」
「はっきり何かあったわけじゃないんだが、少し空気に殺気が混ざってる感じでな、探しに行こうかとも思ったんだがノフィカを置いて動くわけにもいかなくて困ってたんだ、戻ってきてくれて助かった」
ノフィカは私から受け取ったナナフシジャコウソウをカゴに急いで詰め込むと、籠のふたを閉めて背負い込む。
「よし、急いで戻るぞ。リーシアは後ろを頼む」
「了解、ノフィカ大丈夫?」
「これぐらいならなんとか、あまりはやくは走れそうにないですが」
大きなカゴを背負って若干頼りなさそうだが、この場合荒事ができないだろう彼女にもってもらうしかない。
腰から剣を抜き放ち背後と周囲に気を配りながら森の中を駆ける。
本来なら私がしんがりを務めるとか無茶なんだろうけど、道も覚えていない私では先導することもできない。
付いてきたのは果たして正解だったのだろうか。
先頭を行くゼフィアが邪魔な枝を斬りはらい草をある程度分けてくれることで歩くペースはそこそこ早いだろうか、比較対象がないから体感だけど。
草をかき分ける音と、枝を払う音。
そんな中にうなり声のようなものが聞こえた気がした。
「コボルトだな……数が少なければなんとかなるんだが」
「強いの?」
ゲーム時代は中級者ぐらいで戦えるモブで、ゼフィアぐらいのレベルだと1回戦うごとに休憩か回復アイテムが必須ぐらいの強さだったけども。
「強くはない、けど慣れてないと動きを追うのが難しいな。獣だけあって森でも素早く動くからひらけたところに出ないとこっちが不利だ」
地の利は向こうにありってことか。
茂みから突然襲いかかられたら対処のしようがないし、森の中に入ったのはもしかしてまずかった?
ゼフィアはまだ余裕そうだけれどノフィカはさすがに疲れが出てきているようだし、この際ナナフシジャコウソウは籠ごとインベントリに突っ込むか?
「リーシア、もう少し進んだら多少ひらけた場所に出る。そこで俺がコボルトを引きつけるからノフィカを連れて森を抜けてくれ。ノフィカ、道はわかるな?」
「わ、わかりますけど……大丈夫なんですか?」
「どうとでもするさ」
私が囮になるって言ってもいろんな意味で却下されそうだし、普段から魔物と戦ってるゼフィアがなら多分大丈夫だろうけど、不安要素は私たちだよねー、はっはっは。
いやいや笑い事じゃないわ。
ひときわ高く茂った草を抜け開けた場所に出る、そこで私たちは足を止めることになった。
いや、足を止めざるを得なかった。
一つはノフィカが足を引っ掛けて盛大に転倒し背負っていたナナフシジャコウソウをぶちまけてしまったこと、ナナフシジャコウソウを頭から盛大にかぶっている。
こんな状況でなければ笑い話で済んだんだけどね。
「ノフィカ大丈夫!?」
「コボルトが待ち伏せ!? しかもこんな数でまとまってるだと!?」
もう一つは数えただけで二十近い数のコボルトたちが私たちを待ち伏せしていたのだ、そして背後からも5匹のコボルトが飛び出してくる。
さすがに状況的に周囲への対応を優先したのかゼフィアは剣を構えた状態で周りを牽制している。
そのおかげかコボルトがすぐさま襲いかかってくることはなかった。
ノフィカはすぐに立ち上がろうとしていたのだが中腰ぐらいまで立ち上がったところでまた倒れてしまった。
足を抑えている様子なのだが、これは変な形にひねるか折るかしたか。
「走れそうにないわね……気のせいかな、状況がどんどん悪化してる気がするわ」
「悪化してるんじゃない、追い込まれたんだ。こんなこと初めてだが……リーシア覚悟決めろ、もうやるしかない」
だよねぇ。
意を決して飛びかかってきたコボルトをゼフィアは一刀で斬り返す。
手傷を負わせこそしたものの一撃ではしとめきれなかったコボルトはいきり立って牙をむき、手に持っている棍棒を振り回した。
こうして私の異世界での初戦闘はかなり不利な状況で幕を開けた。
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