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本編
第四話 フランシア殿下 1
しおりを挟む拝啓、前世の私。
今日から一年間、私は、男装をしながら兄の変わりに王子様の護衛騎士をする事になりました。
今日も体に問題はなく、私は元気にやっています。
アイーシャは、昔からの習慣である自身の前世へのメッセージを心の中で唱え、剣を装備して宿屋を出た。
敬語もたくさん練習したし、見だしなみも整えた。準備万端。いざ、ダイヤモンド学園へ───。
「私のクラスはどこだろうか·····」
名門校ダイヤモンド学園は、大きく三つの学科に別れいる。そして、そこから更に成績ごとにクラスが決まる。今日からアイーシャが通うのは騎士科だが、勿論求められるのは剣術だけでは無い。
騎士科のクラスは三つ。まず、文武両道、優秀者が集まるaクラス。どちらかに力が偏っている、良くも悪くも普通なbクラス。そして、劣等·····、問題児集まると言われている、cクラス。
流石にcクラスは無い··········と、思っていたのに·····。
「···············は?」
アイーシャの視線の先、クラス発表の掲示板に書かれた自身の名前の場所を見てアイーシャは、言葉を失った。
「cクラス·····?」
そんなまさか·····!と、アイーシャは目をこらす。だが、何度見ても変わらない。
それに、アイーシャの名前の下を見てみれば、きちんと、フランシア殿下やグラットン、そして、他の側近の名前もある。
cクラス·····全4名。
「嘘だろ·····」
これには、アイーシャも衝撃を受けた。
だが、決まった事は変えられない。
何故cクラスになったのかは分からないが、とりあえず教室に向かってみることにした。
─────────────────────────────
先に着いているかも知れないとは思っていたが·····。
アイーシャが教室の扉を開くと、そこには昨日の入学式で壇上に上がって皆に入学の挨拶をしていた、フランシア殿下が席に座っていた。
「···············」
フランシア殿下がゆっくりと視線だけをアイーシャに向けた。
「っ、!」
それは完璧な美青年。
小顔で色白。柔らかそうな金髪が教室開いた窓から入ってくる風に揺らされている。その瞳の色はどこか暗いが、それでもどこか宝石の様に輝いて見えた。
アイーシャは、その空虚な瞳と目が合った瞬間、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
そして、気づいた。自信が今までに無いほど緊張しているという事に。
(フランシア殿下、今日から、私が、守るべき人·····)
アイーシャが、何を言うべきか手をこまねいていると、フランシア殿下の無機質な声が、二人きりの静かな教室に響いた。
「何時までそこに立っているつもりなの? 用がないのなら出ていって貰えないかな」
「あ··········」
その声に、言葉に、アイーシャの顔は一気に青ざめた。
怒らせてしまった·····と、アイーシャは自分の失態を悟り、挽回せねばと思いっきり頭を下げた。
「も、申し訳ありません!フランシア殿下! わ、私は、今日から側で、殿下の護衛をする、ルスキア・アイザックと申しますッ! どうぞ、よろしくお願いしますッ!!!」
アイーシャは勢いよくそう言いきり、フランシア殿下の言葉を待った。
「··········そう、君がルスキア・アイザックなのか·····。話は父上から聞いているよ。───まあ、無理のない程度に頑張ってくれ」
「は、はい!期待に応えられるよう、精一杯頑張りまつっ!」
か、噛んでしまった·····。
アイーシャは下を向いたまま、恥ずかしさに顔を赤くした。
い、言い直した方が良いのだろうか·····
そう思い、少しだけ顔を上げて、アイーシャはフランシア殿下を盗み見た。
しかし、フランシア殿下は、アイーシャなど眼中に無いのか、いつの間にか出していた本を読み始めていた。
「あ、あの、フランシア殿下·····」
「··········」
アイーシャはどうすれば良いのか戸惑った。そして、とりあえず席に着こうと思い着くが、どこに座れば良いのか分からない。
この教室にある席は四つ。
フランシア殿下の座っている席は二列目の窓際の方で、空いている席は、フランシアの前と隣と右斜め前·····。
ど、どこに座るのが正解なんだ·····??
アイーシャは考えた。
そして───
「失礼します·····」
アイーシャはフランシア殿下の隣に座った。
その時、フランシア殿下がアイーシャをチラリと見たが、特に何も言わずにまた本に視線を戻した。
アイーシャは、隣の席に座っても、フランシア殿下が何も言わない事から、自分の選択は間違ってなかったと思う事にした。
隣なら余りフランシア殿下の視界には入らないには入らないよね·····。
アイーシャはあの時、フランシア殿下のあの宝石のような瞳に見つめられていると思うと、多分、落ち着かなくて、授業に集中なんて出来ないと思った。
だから、余り視界に映らないだろうと判断して隣に座った。
もし、最初から席が決まっていて、前に座らないと行けない·····なんて事になってたら·····。
と、とりあえず、早く誰か来てくれ!
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ここまで読んでくれてありがとうございます!!
いつの間にかお気に入りが50人になっていました!嬉しかったです!お気に入りしてくれた皆様ありがとうございます!!
これからも、どうぞ宜しくお願いします(*' ')*, ,)✨ペコリ
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