残響ブルーム -bloom affection-

山の端さっど

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ダイシャドー

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『あの……どうして僕はここに連れてこられたんでしょうか……』
『何をおっしゃるの、安和あんな君。貴方の入学挨拶は見事なものでしたわ。立身出世して立派な男になりたくてこの由緒正しき名門乙女野学園に入学なさったのでしょう? でしたら、文武の武は、由緒正しき競技である台車道で名を上げるのが一番ですわ』
『でも台車道は女性のスポーツなんですよね? 僕は男で……』
『あらあら面白い事を仰る。安和君、貴方は誰よりも乙女でいらっしゃるわ。文句を言う者はわたくしが必ずや討ち滅ぼして差し上げます。ですから安心なさって、未来の旦那様』
『え……あ、あの……今なんて……?』
『立派な男になるなら乙女野家に婿入りするのが一番の出世ですわ』
『えええっ?!』
『部の皆様も、ぜひ安和君を歓迎してくださいな』
『そ、そうだ、皆さんがきっと嫌がりますよ男子なんて……』

『『『まあ、なんてお可愛らしいお方!!! もちろん歓迎いたしますわ!』』』

『あれ?』
『では安和君、こちらの衣装にお着替えを。部の正式な衣装ですわ』
『待って……もう少し丈が長いのあったよね……?』


 〉 〉 〉 》


 ダイシャドー
~最乙女な旦那様の台車道について!~
『サブタイトル書き換えられてるけどいいのかなあ……』


 《 〈 〈 〈


『オイオイオイオイ、オイ話にならねえなオイ。天下の乙女野学園が練習試合にこんなナヨナヨ連れてくるとはなあヨオ!』
『ひっ! 男ですみません!』
『オイオイあたしが男の台車道をバカにしたみてーな印象操作はやめろよナヨナヨ。驚くのはとっくの昔に練習試合メンバー表送られてきた時に終わらせてるわ』
『あっ、何も教えてもらえず連れてこられたのってやっぱりおかしいんだ』
『ナヨナヨもちゃんと見てこいよオイ! 乙女だろ!』
『乙女認定なの……?』
『ア? どう見ても乙女だろナヨナヨ』
『うーん……』

『安和君にはまだ渡していませんわ。台車道の為とはいえ気安く高潔なる乙女プレイヤーの名前を教えるのは乙女として気が進みませんでしたの』
『オイ!?』
『貴方の名前を知らずとも構わないのですわ! なぜなら新入部員の安和君は主将と戦いませんもの! 必要になった時にようやく私が囁いて差し上げれば記憶力抜群の安和君は問題ありませんわ』
『乙女野さん、対戦相手への礼儀も学びたいな僕……とりあえず大変不躾ぶしつけですがお名前を伺っても……』
『……イヤ、逆に面白くなってきたわ。オイナヨナヨ乙女、台車速運びで速度点・精密点・技術点合計30点出してみろよ。そしたら自己紹介してやる。乙女野の礼儀の程が知れるかどうかはオマエ次第って事でどうだ?』
『どうして………………』


 〉 〉 〉 》


『ん。爪先は、絶対台車に踏ませない。これ、乙女のたしなみ』


 《 〈 〈 〈


『あら、ちょうどよろしいところに。お父様、お母様。このわたくし乙女野ころ17歳、僭越せんえつながら次の、夏の大会で大将を務める事に相成あいなりましたの。褒めてくださる?』
『そうかそうか、流石はこゝろだ、鼻が高いよ。全力で務めるといい。ところで……オホン。最近、安和という男子とよく居るそうだな? その……』
『そうですのお父様! よくぞ聞いてくださいましたわ。安和君は我が台車道部きっての乙女ですわ。真面目で実直で頑張り屋で、成績も転入以降学年一位を守り続けているんですのよ。ああ頬についたグリースのなんと勇ましいことか。台車捌きも筋が良く、体力作りと練習を欠かさないものですから早くも大会の先鋒メンバー入りが見えておりますわ。ふふ、どうして体力がついてもあの美しい体型を保てるのかしら、芯から乙女なればこそですわね。そして校外からの評判もありファンクラブも設立。ああ、手のひらの豆すら愛おしい。でも治したい。何より……お父様、私、彼に一目惚れいたしましたの。毎日もっともっと好きになってまいりますのよ。安和君以外との婚姻は考えられませんわ。何を置いてでも』
『う、うむそうか……しかし、たしか彼は』
『ええ、出身を考えればお父様が心配なさるのも無理はありませんわ。ですから私考えましたの。在学中に安和君に台車道で名を上げていただき、どこぞの名士の方に名を買って養子に欲しいと言っていただきますの。そうすれば名門の子息、乙女野家との婚姻に文句はつけられませんわ』
『そ、そうか。だが……』
『それではお父様、私そろそろ練習の時間ですので』

『……かな、いつからうちの子は話を聞かなくなってしまったんだ』
『私も、人の話はお聞きなさいといつも言っているのですが……』
『別にわしはこゝろが望んで励むというなら、後ろ盾がない男と結婚したって一向に構わん。しかし……』
『その安和君は、本当にこゝろと結婚したいと思っているんでしょうかねえ……』

 足音一つ立てず慎ましやかに浮かれて廊下を行く娘を見送り、2人は深いため息をつく。

『……一度、その子の本心を聞いてみたいものだが……』
『貴方が行っても私が行っても家へ呼んでも電話口でもお手紙でも、こゝろに嗅ぎつけられて外堀を埋められてしまいそうですわねえ……』
『やり口は見事なんだがなあ……』









「…………桃音ももね、そろそろ……勘弁しては……」
「ボイスドラマの途中に喋っちゃダメだよ、春樹はるき
「……だがこの内容はあまりにも……それにスポーツ作品でビジュアルが無い媒体というのはかなり……」
「せっかくの誕生日だし、今からでもひびき君と過ごしたいな」
「やめてくれ! 分かった、分かったから……そのくらいなら私が付き合うから……あやつらに今、触れてくれるな……」
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