みかんに殺された獣

あめ

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僕はみかん。食用みかん。僕には獣のお友達がいます。狼くんです。

僕は本来、果物なので狼くんに食べられるはずでした。
だけど狼くんは、僕に意思がある事に気付き食べませんでした。
それから僕たちはずっとお友達。

だけど僕の体調は少しずつ悪くなってきました。もう少し…もう少し、狼くんと一緒にいたい。一緒にいたいけど、果実の僕は狼くんと同じ時を過ごすことは出来ない……もうすぐ……もうすぐで僕は……

僕はあと少しの時を、狼くんと一緒に楽しく過ごしたい。
それが僕の望み。
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