髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

79.“毟られる”という言葉。

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「おい」

ドスの効いた低い低い声が、俺に向かって投げかけられる。
そのあまりの低い声に俺の体は大袈裟なくらいビクッと跳ね、さっきの“毟られる”という言葉が今だ反芻し、ビビり倒している俺はカタカタと震えてしまう。

「ユキ、大丈夫だよ、大丈夫…」
「おいドラン、ユキが怖がってるだろうが」
「はぁ?……はぁ、悪かったちびっこ」

ライさんは先程同様優しい声音で、俺を落ち着かせるように撫でながら大丈夫だと言ってくれる。
そんな震えている俺と俺を宥めているライさんを見たのか、ガイさんは低い声でドランという人に抗議する。その声は今までノアさんとの喧嘩で聞いた声よりも低く、ピリピリとした雰囲気を纏っていた。
その声に、俺はさらにビクッとしてしまう。
しかし、ドランと呼ばれた恐らくドワーフ店主(?)さんは一瞬機嫌の悪そうな声を発したが、俺の様子を見たのか謝罪する。しかし余計な一言付きで。

「……それで?ユキに何を言いたいんだよ?」

またも機嫌の悪そうな声でガイさんが、ドワーフ店主さんへ問う。

「それ、フードとれって言いたかったんだよ」

ビクゥッッ!!!
俺の体はさっき以上にびくりと跳ね、さっき以上に震える。
“毟られる”という単語が俺の頭を埋めつくし、恐怖に震えあがるからだを抑えることが出来なかった。
そんな時、右耳がぽわっと暖かくなり少しほっとするが、やっぱりダメだった。
耳のピアスからは『大丈夫だよ』『ほんとにヤバかったら僕が守るから』『そんな事になる前に出てって絶対に守ってあげるから』『怖がらなくていいよ』という意思が伝わってくるが、やはり体の震えは止まらない。少しだけ不安は減ったけれど、アミュートが出てくるような場面を想像し、怖くなってしまうのだ。

「ユキ、大丈夫、落ち着いて、大丈夫よ」
「ユキ、大丈夫だ。」
「ユキ…おい、ドラン…!何泣かせてんだよ」

心配して優しく、落ち着かせようと声をかけてくれる2人。そんな様子を見て、俺の名を呼んだ時の優しい心配するような声音から、ゴゴゴゴゴ…という地響きのような擬音が聞こえてきそうなほどドスの効いた声へ変わるガイさん。
俺は泣いてないよ、と言いたかったが、ライさんの服の俺の目元付近はぐっしょりと濡れていた。……泣いているのか。……情けないな。こんなことでビビり、怖くて泣くなんて…。
毟られたって、今は2歳だ、きっとすぐに生えてくる。どうせ今だって髪を隠して出かけてるんだ、毟られたあとだって生えてくるまで隠せばいいじゃないか。それだけなんだ。アミュートだって毟られる前に助けてくれるって、守ってくれるって言ってくれてる。そんなアミュートの言葉を、信じていたら、上手く消化できていたら、ここまで怖くないのかもしれない。
だけど…だけど俺は知ってるんだ。


毟られた時の痛みを………。











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