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第3章
183.入学問題。
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どうやらあの問題集はヘスラルという学園の小等部と中等部の入学試験問題だったようで、難しい方が中等部の問題だったらしい。
ヘスラル学園とは貴族の子が半ば義務のように通う学園で、平民での子も多くいるという。何故貴族の子にとって半ば義務なのかと言うと、ヘスラル学園の卒業生というのは1種のステータスとされ、卒業出来ていないと、ヘスラル学園を卒業できなかった子というレッテルを貼られるそうだ。学費が払えないような弱小貴族はレッテルを貼られる悪循環を産んでいるそうだが、平民でも通う子が多いため、こればっかりは仕方ないのだとか。
そしてそのヘスラル学園小等部は6歳から通うようになっていて、中等部は12歳だという。なんだか小学校と中学校のような場所だが、学力の差は歴然だ。
そして何故そのふたつの問題を俺が解かされたかというと、それはシンプルに俺の学力を調べるためだという。
どのみち6歳になると入学資格を得るので、その年には試験を受けさせられるはずだったという。その為の勉強だったのだとか。
そして、小等部で習うはずの範囲をあらかた自主勉で習得してしまっていた上に、1番苦労する数学を教える前から理解していたことから、入学の必要性が問われ、ネクラスさんにおじいちゃんが相談したという。そうしてネクラスさんは俺に会いに来て問題を渡したのだという。
そして明るみになった俺の学力。正直暗記系の問題は頭に入っていないので解きようがないが、頭を使う系でしかも例題を載せられていたり教科書を読んで説明を見ているものに関しては、この世界の学力水準的に簡単に出来そうだなと思ってしまう。
そんな俺に小等部に入学する必要はどこにもなく、それを今問われているところだった。
父さんはできることなら俺を通わせたくないそうだ。学園へ通うには寮へ入る必要があるのだとか。
俺は体が弱いため、その辺を考慮して小等部は免除される可能性もあり、今回の学力問題もあって学園側が中等部に受かれば小等部卒業の証明をくれるように出来るそうだった。
しかしなにも学校とは勉強するだけの場所ではないように思う。集団行動を学んだり、協調性を育んだり、人間関係を学んだり。それこそ勉強に関すること以外にも学べることは沢山あると思うのだ。だから俺は──
「ぼく、がくえんいく!」
「え?!?!」
「おともだちほしいし!」
「確かにな、学園は色んな子と出会えるからな……しかしなユキくん、それは中等部でも出来るんだよ?」
「…ちゅうとうぶは、ほとんどしょうとうぶとおなじめんばーでしょ?なじめないかも」
「………」
「ユキは可愛いしいい子だから馴染めるさ!」
「……ほんとうに?ほんとうにそうおもうの?ぼく、このかみがめずらしいこと、しってるよ?ほんでよんだもん。そのりゆうも。」
「………」(×全員)
そう。俺の髪は珍しい…と言うより異質だ。ケインにも昔軽く言われたが、本で読んだ内容には“髪の色は愛の証と言われ、1歳になるとその証として白い髪に色が宿る”と書いてあった。言ったら赤ちゃん毛のままの俺は愛を与えられていないようなもの。そんなの、異分子を嫌う歳の子達と仲良くなれるわけが無い。きっといじられるだろう。それはまぁいい。実際前世は愛されてない訳だが、今世では愛されている。『お前愛されてないなんて可哀想だなー』なんて言われたとしても『今幸せなら良くね?』と思ってしまうし別にどうでもいい。覚えてもいない赤子の時の話など正直どうでもいいだろうということで一蹴りだ。そしてそれは、小さいうちから馴染みあるものにしておく必要がある。中等部…つまり12歳頃など多感な時期だろうと思うし、そんな時に異分子が入ってきたらより標的にされ、執拗ないじりがあるだろう。真顔でスルー出来るが、正直あの手の執拗さ加減はうんざりするものがある。だから、早めになじませ、柔軟な頭を持っているうちに価値観を変える必要があるのだ。
ヘスラル学園とは貴族の子が半ば義務のように通う学園で、平民での子も多くいるという。何故貴族の子にとって半ば義務なのかと言うと、ヘスラル学園の卒業生というのは1種のステータスとされ、卒業出来ていないと、ヘスラル学園を卒業できなかった子というレッテルを貼られるそうだ。学費が払えないような弱小貴族はレッテルを貼られる悪循環を産んでいるそうだが、平民でも通う子が多いため、こればっかりは仕方ないのだとか。
そしてそのヘスラル学園小等部は6歳から通うようになっていて、中等部は12歳だという。なんだか小学校と中学校のような場所だが、学力の差は歴然だ。
そして何故そのふたつの問題を俺が解かされたかというと、それはシンプルに俺の学力を調べるためだという。
どのみち6歳になると入学資格を得るので、その年には試験を受けさせられるはずだったという。その為の勉強だったのだとか。
そして、小等部で習うはずの範囲をあらかた自主勉で習得してしまっていた上に、1番苦労する数学を教える前から理解していたことから、入学の必要性が問われ、ネクラスさんにおじいちゃんが相談したという。そうしてネクラスさんは俺に会いに来て問題を渡したのだという。
そして明るみになった俺の学力。正直暗記系の問題は頭に入っていないので解きようがないが、頭を使う系でしかも例題を載せられていたり教科書を読んで説明を見ているものに関しては、この世界の学力水準的に簡単に出来そうだなと思ってしまう。
そんな俺に小等部に入学する必要はどこにもなく、それを今問われているところだった。
父さんはできることなら俺を通わせたくないそうだ。学園へ通うには寮へ入る必要があるのだとか。
俺は体が弱いため、その辺を考慮して小等部は免除される可能性もあり、今回の学力問題もあって学園側が中等部に受かれば小等部卒業の証明をくれるように出来るそうだった。
しかしなにも学校とは勉強するだけの場所ではないように思う。集団行動を学んだり、協調性を育んだり、人間関係を学んだり。それこそ勉強に関すること以外にも学べることは沢山あると思うのだ。だから俺は──
「ぼく、がくえんいく!」
「え?!?!」
「おともだちほしいし!」
「確かにな、学園は色んな子と出会えるからな……しかしなユキくん、それは中等部でも出来るんだよ?」
「…ちゅうとうぶは、ほとんどしょうとうぶとおなじめんばーでしょ?なじめないかも」
「………」
「ユキは可愛いしいい子だから馴染めるさ!」
「……ほんとうに?ほんとうにそうおもうの?ぼく、このかみがめずらしいこと、しってるよ?ほんでよんだもん。そのりゆうも。」
「………」(×全員)
そう。俺の髪は珍しい…と言うより異質だ。ケインにも昔軽く言われたが、本で読んだ内容には“髪の色は愛の証と言われ、1歳になるとその証として白い髪に色が宿る”と書いてあった。言ったら赤ちゃん毛のままの俺は愛を与えられていないようなもの。そんなの、異分子を嫌う歳の子達と仲良くなれるわけが無い。きっといじられるだろう。それはまぁいい。実際前世は愛されてない訳だが、今世では愛されている。『お前愛されてないなんて可哀想だなー』なんて言われたとしても『今幸せなら良くね?』と思ってしまうし別にどうでもいい。覚えてもいない赤子の時の話など正直どうでもいいだろうということで一蹴りだ。そしてそれは、小さいうちから馴染みあるものにしておく必要がある。中等部…つまり12歳頃など多感な時期だろうと思うし、そんな時に異分子が入ってきたらより標的にされ、執拗ないじりがあるだろう。真顔でスルー出来るが、正直あの手の執拗さ加減はうんざりするものがある。だから、早めになじませ、柔軟な頭を持っているうちに価値観を変える必要があるのだ。
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