髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

文字の大きさ
183 / 218
第3章

183.入学問題。

しおりを挟む
どうやらあの問題集はヘスラルという学園の小等部と中等部の入学試験問題だったようで、難しい方が中等部の問題だったらしい。
ヘスラル学園とは貴族の子が半ば義務のように通う学園で、平民での子も多くいるという。何故貴族の子にとって半ば義務なのかと言うと、ヘスラル学園の卒業生というのは1種のステータスとされ、卒業出来ていないと、ヘスラル学園を卒業できなかった子というレッテルを貼られるそうだ。学費が払えないような弱小貴族はレッテルを貼られる悪循環を産んでいるそうだが、平民でも通う子が多いため、こればっかりは仕方ないのだとか。

そしてそのヘスラル学園小等部は6歳から通うようになっていて、中等部は12歳だという。なんだか小学校と中学校のような場所だが、学力の差は歴然だ。

そして何故そのふたつの問題を俺が解かされたかというと、それはシンプルに俺の学力を調べるためだという。
どのみち6歳になると入学資格を得るので、その年には試験を受けさせられるはずだったという。その為の勉強だったのだとか。
そして、小等部で習うはずの範囲をあらかた自主勉で習得してしまっていた上に、1番苦労する数学を教える前から理解していたことから、入学の必要性が問われ、ネクラスさんにおじいちゃんが相談したという。そうしてネクラスさんは俺に会いに来て問題を渡したのだという。
そして明るみになった俺の学力。正直暗記系の問題は頭に入っていないので解きようがないが、頭を使う系でしかも例題を載せられていたり教科書を読んで説明を見ているものに関しては、この世界の学力水準的に簡単に出来そうだなと思ってしまう。
そんな俺に小等部に入学する必要はどこにもなく、それを今問われているところだった。

父さんはできることなら俺を通わせたくないそうだ。学園へ通うには寮へ入る必要があるのだとか。
俺は体が弱いため、その辺を考慮して小等部は免除される可能性もあり、今回の学力問題もあって学園側が中等部に受かれば小等部卒業の証明をくれるように出来るそうだった。

しかしなにも学校とは勉強するだけの場所ではないように思う。集団行動を学んだり、協調性を育んだり、人間関係を学んだり。それこそ勉強に関すること以外にも学べることは沢山あると思うのだ。だから俺は──

「ぼく、がくえんいく!」
「え?!?!」 
「おともだちほしいし!」
「確かにな、学園は色んな子と出会えるからな……しかしなユキくん、それは中等部でも出来るんだよ?」
「…ちゅうとうぶは、ほとんどしょうとうぶとおなじめんばーでしょ?なじめないかも」
「………」
「ユキは可愛いしいい子だから馴染めるさ!」
「……ほんとうに?ほんとうにそうおもうの?ぼく、このかみがめずらしいこと、しってるよ?ほんでよんだもん。そのりゆうも。」
「………」(×全員)

そう。俺の髪は珍しい…と言うより異質だ。ケインにも昔軽く言われたが、本で読んだ内容には“髪の色は愛の証と言われ、1歳になるとその証として白い髪にが宿る”と書いてあった。言ったら赤ちゃん毛のままの俺は愛を与えられていないようなもの。そんなの、異分子を嫌う歳の子達と仲良くなれるわけが無い。きっといじられるだろう。それはまぁいい。実際前世は愛されてない訳だが、今世では愛されている。『お前愛されてないなんて可哀想だなー』なんて言われたとしても『今幸せなら良くね?』と思ってしまうし別にどうでもいい。覚えてもいない赤子の時の話など正直どうでもいいだろうということで一蹴りだ。そしてそれは、小さいうちから馴染みあるものにしておく必要がある。中等部…つまり12歳頃など多感な時期だろうと思うし、そんな時に異分子が入ってきたらより標的にされ、執拗ないじりがあるだろう。真顔でスルー出来るが、正直あの手の執拗さ加減はうんざりするものがある。だから、早めになじませ、柔軟な頭を持っているうちに価値観を変える必要があるのだ。













しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。

まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。 温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。 異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか? 魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。 平民なんですがもしかして私って聖女候補? 脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか? 常に何処かで大食いバトルが開催中! 登場人物ほぼ甘党! ファンタジー要素薄め!?かもしれない? 母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥ ◇◇◇◇ 現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。 しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい! 転生もふもふのスピンオフ! アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で… 母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される こちらもよろしくお願いします。

黒豚辺境伯令息の婚約者

ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。 ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。 そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。 始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め… ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。 誤字脱字お許しください。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ
ファンタジー
「佐藤さんはお亡くなりになりました」 「え?」 佐藤竜、独身リーマン。ビルの倒壊で享年(40)案内役に連れられ天へと向かうが⋯⋯⋯⋯ 「佐藤竜はさぁ、色んな世界でも特に人気の高い地球の日本に産まれて一体何を成し遂げたの?」 「え?」 「五体満足な体。戦いの無い安全な環境で育ち、衣食住は常に満たされて、それで何をしたの?」 俺は恵まれた環境であまりにもショボい人生を送っていたらしい。このままでは⋯⋯⋯⋯ 「はぁ。どうしようかな。消すかな」 「な、何をですか?!」 「君を」 「怖いです!許して下さい!」 「そう?消えれば無に還れるよ?」 「お、お願いします!無は嫌です!」 「う~ん。じゃあ君は佐藤と真逆の人生を歩ませようかな?そこで人生経験ポイントを佐藤の分まで貯めなよ?佐藤とこれから転生する君の二人分の体験だよ?失敗したら今度こそは無にするからね」 「はい、死ぬ気で頑張ります!!」 ここから真逆の人生で経験ポイント貯める佐藤の戦いが始まる?!

処理中です...