恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第2章 擦れ違いは突然に。聖奈の気持ち、月華の想い

小さなため息、募る心配

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月詠に背負われ、ようやく自宅へ戻ってきた恭弥は、まだどこか遠くを見つめたまま、完全に放心していた。
――あれは、自分の理想とはあまりにかけ離れた現実だった。鮮烈すぎる経験に、心がついていけていない。

「恭弥、家に着いたぞ。……まぁ、今日のこと、忘れろって言っても無理だよな。」

月詠自身も、あの出来事の衝撃がまだ頭から離れずにいた。姫柊とのキス、それを見て怒り狂った聖奈の顔。すべてが強烈に脳裏に焼き付いている。

「月詠君、運んでくれてありがとう。あとは私が……。」

そう声をかけてきたのは聖奈だったが、月詠は彼女のことも気になっていた。だから、最後まで恭弥を運ぶことにした。

「最後まで運びまっせ。聖奈さんも疲れたでしょう? こんなときは、この月詠を遠慮なく頼ってください。」

軽く冗談めかしてそう言うと、月詠はそのまま恭弥を背負ったまま、家の中へと足を踏み入れた。

「ありがとう、月詠君。」

聖奈が静かに礼を言う。
玄関から奥へ入ると、ちょうど台所から恭弥の母・奏が出迎えてくれた。

「おかえり。……あら、月詠君? 恭弥、どうしたの? それに聖奈も、なんだか元気がないわね?」

心配そうな母の問いに、聖奈は無理やり笑顔を作ってみせた。

「奏ママ、ただいま~。えっと……そんなことないよ。私は元気爆発特選ジャー!」

あまりに突飛な聖奈の返しに、思わず月詠も月華も吹き出した。

「聖奈さん、それ何……? めっちゃウケるんだけど。」

月詠は笑いながらそう言って、うまく奏の注意を逸らした。

「恭弥、今日の模擬戦で先輩たちに“可愛がられて”こうなったんです。今日はこのまま寝かせてやってください。明日は始業式で午前は休みですし、部活も午後から。ゆっくりできますよ。」

そう言いながら、月詠は恭弥を部屋まで運び、そっとベッドに寝かせた。

「おばさんも心配してたぞ。……今日はしっかり寝て、頭を切り替えろよ、恭弥。」

小さくそう言い残すと、月詠は部屋を後にした。

「おばさん、それじゃあ、明日また迎えに来ますね。」

月詠と月華がそう言って家を後にすると、奏は二人の背中に向かって優しく声をかけた。

「ありがとうね、月詠君、月華ちゃん。」

ドアを閉めてから、奏はふと聖奈に問いかけた。

「聖奈、何があったの? お母さんに話して?」

柔らかい口調だったが、聖奈は黙ったまま浴室へと向かい、脱衣所に入っていった。

『難しいわね……やっぱり。』

 奏は心の中で小さくため息をついた。聖奈は聖歌の娘――血は繋がっていないけれど、奏は我が子のように接してきた。それでも、悩みを共有してもらえないことが、少し寂しかった。そのとき、玄関のドアが開いた。
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