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第2章 擦れ違いは突然に。聖奈の気持ち、月華の想い
事故という名のハプニング、近すぎる距離、意識する素肌
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その頃、恭弥はベットの上で頭の中が悶々としていたので、さっぱりしようと、一人洗面所へと向かった。鏡に映る自分の顔を見つめながら、水道水の冷たい水で頬を打つ。
「今日は……本当に、色々ありすぎたな。」
独り言のように呟いた声は、静かな空間に溶けていく。
まさか、あの姫柊先輩に告白されるとは思ってもいなかった。
けれど、恭弥の胸の奥にある想いは、誰よりも――聖奈に向けられていた。
『でも……あのキス。あの感触……。』
唇に指先をそっとあてる。初めて経験したあの柔らかな感覚が、まだ残っている気がした。
その時だった。ふいに浴室の扉が開き、湯気とともに凪沙が現れた。
「おっと、これはこれは……人気者の恭弥じゃないか。何見てるのさ?」
湯上がりの姿で現れた姉に、恭弥は目を丸くして固まる。
慌てて背を向けようとするが、凪沙に肩を掴まれて動けない。
「そんなに慌てなくてもいいのに。昔は一緒に入ってたでしょう?」
ふざけるように笑う凪沙は、からかい半分で恭弥の様子を観察する。
恥ずかしさのあまり、恭弥は逃げ出そうとするも、姉の手はしっかりと彼を捕らえていた。
「……って、ちょ、やめてよ、姉さん!」
凪沙のイタズラ心は収まらず、恭弥のジャージを引っ張る。
「恭弥、これから風呂入るのだろ?姉さんが脱がしてやるよ。」
慌てて制止しようとするが、その勢いでふたりの体勢は崩れてしまう。
そのタイミングで、風呂から出てきた聖奈が現れた。
「凪沙姉さん? 何してるの……きゃっ!?」
タオルを巻く間もなく、無防備な姿で現れた聖奈と、ばっちり目が合ってしまった。
顔を真っ赤にしてその場にしゃがみこむ聖奈。恭弥も凪沙の手に阻まれ、動けずにいた。
「ど、どうして恭弥がここにいるのよ! 出てって、早くっ!」
状況は最悪だ。恭弥は何とか顔を背けようとするが、凪沙のさらなる悪ふざけは止まらない。彼女はまるで面白がるように、軽々と恭弥を聖奈の方へと押し出してしまった。
「ほらほら、夢にまで見た聖奈のお姉さんだよ~。しっかりしなって!」
そのまま体勢を崩した恭弥は、バランスを失い、思いきり聖奈に倒れ込んだ。
「わっ……!」
気がつけば、ふたりの体はぴたりとくっついていた。
顔を上げると、すぐそこにある聖奈の素肌――その体温と香りに、恭弥の鼓動は一気に跳ね上がる。
「お二人さん、ごゆっくり。」
この状況を招いた凪沙は、ニヤリとしながら洗面所から出ていった。
「……恭弥、早く、どいて……。」
震える声でそう言う聖奈の頬は、湯上がりの熱さ以上に赤く染まっていた。
恭弥は慌てて体を起こそうとするが、またもや足を滑らせてしまい、思わぬところに手が当たってしまう。
「っ……!」
その柔らかな感触に、恭弥の意識が真っ白になる。
「恭弥、もう……満足でしょ?」
聖奈は顔を伏せたまま、優しく彼の手をどけた。
そして、そっと距離を取ると、落ち着いた声で言葉を続けた。
「これは……事故。凪沙姉さんが悪いの。だから……忘れなさい。あと、部活であったことも、全部。」
その表情はどこか寂しげで、けれど凛としていた。
聖奈は手早くタオルを巻き、部屋着を羽織ると、最後に恭弥を一瞥してから扉を開けた。
「……それ、早くしまいなさいよ。変な意味じゃなくて……ね。」
そう言い残して、彼女は部屋へ戻っていった。
その背中は真っ赤に染まっていて、恭弥はただその場に取り残される。
恭弥はそのまま浴室に入り、熱めの湯に身を沈めながら、彼はひとり呟いた。
『……聖奈姉さん、綺麗だった。あんなの……忘れられるわけないだろ……。』
一方その頃、部屋の片隅でタオルを握りしめたままの聖奈も、胸の鼓動を抑えきれずにいた。
『な、なにがどうなってるの……見られた、私……でも私も……見ちゃった……。』
恭弥のがっしりとした体、そして――もう弟ではなく、確かに『男』になったその姿。
『あれで平気だったのって……私が、恭弥のこと……好きだから?』
顔を覆いながら、ベッドに倒れ込む。
夕食になるまで、二人とも平常心でいられるはずもなかった――胸に、熱を抱えたまま。
「今日は……本当に、色々ありすぎたな。」
独り言のように呟いた声は、静かな空間に溶けていく。
まさか、あの姫柊先輩に告白されるとは思ってもいなかった。
けれど、恭弥の胸の奥にある想いは、誰よりも――聖奈に向けられていた。
『でも……あのキス。あの感触……。』
唇に指先をそっとあてる。初めて経験したあの柔らかな感覚が、まだ残っている気がした。
その時だった。ふいに浴室の扉が開き、湯気とともに凪沙が現れた。
「おっと、これはこれは……人気者の恭弥じゃないか。何見てるのさ?」
湯上がりの姿で現れた姉に、恭弥は目を丸くして固まる。
慌てて背を向けようとするが、凪沙に肩を掴まれて動けない。
「そんなに慌てなくてもいいのに。昔は一緒に入ってたでしょう?」
ふざけるように笑う凪沙は、からかい半分で恭弥の様子を観察する。
恥ずかしさのあまり、恭弥は逃げ出そうとするも、姉の手はしっかりと彼を捕らえていた。
「……って、ちょ、やめてよ、姉さん!」
凪沙のイタズラ心は収まらず、恭弥のジャージを引っ張る。
「恭弥、これから風呂入るのだろ?姉さんが脱がしてやるよ。」
慌てて制止しようとするが、その勢いでふたりの体勢は崩れてしまう。
そのタイミングで、風呂から出てきた聖奈が現れた。
「凪沙姉さん? 何してるの……きゃっ!?」
タオルを巻く間もなく、無防備な姿で現れた聖奈と、ばっちり目が合ってしまった。
顔を真っ赤にしてその場にしゃがみこむ聖奈。恭弥も凪沙の手に阻まれ、動けずにいた。
「ど、どうして恭弥がここにいるのよ! 出てって、早くっ!」
状況は最悪だ。恭弥は何とか顔を背けようとするが、凪沙のさらなる悪ふざけは止まらない。彼女はまるで面白がるように、軽々と恭弥を聖奈の方へと押し出してしまった。
「ほらほら、夢にまで見た聖奈のお姉さんだよ~。しっかりしなって!」
そのまま体勢を崩した恭弥は、バランスを失い、思いきり聖奈に倒れ込んだ。
「わっ……!」
気がつけば、ふたりの体はぴたりとくっついていた。
顔を上げると、すぐそこにある聖奈の素肌――その体温と香りに、恭弥の鼓動は一気に跳ね上がる。
「お二人さん、ごゆっくり。」
この状況を招いた凪沙は、ニヤリとしながら洗面所から出ていった。
「……恭弥、早く、どいて……。」
震える声でそう言う聖奈の頬は、湯上がりの熱さ以上に赤く染まっていた。
恭弥は慌てて体を起こそうとするが、またもや足を滑らせてしまい、思わぬところに手が当たってしまう。
「っ……!」
その柔らかな感触に、恭弥の意識が真っ白になる。
「恭弥、もう……満足でしょ?」
聖奈は顔を伏せたまま、優しく彼の手をどけた。
そして、そっと距離を取ると、落ち着いた声で言葉を続けた。
「これは……事故。凪沙姉さんが悪いの。だから……忘れなさい。あと、部活であったことも、全部。」
その表情はどこか寂しげで、けれど凛としていた。
聖奈は手早くタオルを巻き、部屋着を羽織ると、最後に恭弥を一瞥してから扉を開けた。
「……それ、早くしまいなさいよ。変な意味じゃなくて……ね。」
そう言い残して、彼女は部屋へ戻っていった。
その背中は真っ赤に染まっていて、恭弥はただその場に取り残される。
恭弥はそのまま浴室に入り、熱めの湯に身を沈めながら、彼はひとり呟いた。
『……聖奈姉さん、綺麗だった。あんなの……忘れられるわけないだろ……。』
一方その頃、部屋の片隅でタオルを握りしめたままの聖奈も、胸の鼓動を抑えきれずにいた。
『な、なにがどうなってるの……見られた、私……でも私も……見ちゃった……。』
恭弥のがっしりとした体、そして――もう弟ではなく、確かに『男』になったその姿。
『あれで平気だったのって……私が、恭弥のこと……好きだから?』
顔を覆いながら、ベッドに倒れ込む。
夕食になるまで、二人とも平常心でいられるはずもなかった――胸に、熱を抱えたまま。
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