恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第5章 学校生活再会しても恋は複雑なんです

虚空に向けられた謝罪

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そんな視線が交差する中、日室が咳払いした。

「ごほん……だから言っただろ? 部活中にイチャイチャするなって。特に綾野弟、お前だ。部内の女子たちのハーレム作る気か?」

「何の話だ?」

生徒会から戻った氷堂兄弟の兄の凍夜が顔を出し、日室に問いかけた。

「……いや、まぁ色々あってな。でも忠告はした。しっかりとな。」

「……そうか。それならいい。」

そう言って、氷堂は話を変えた。

五月に入り、道場には少し蒸し暑さを感じるようになってきた。
その日、部員たちは整列し、主将・氷堂凍夜の声に耳を傾けていた。

「そろそろ、定例の親善試合がある。これは七月のクラブ選手権の前哨戦だ。……各自、気合いを入れて臨め。」

いつも通り淡々とした口調だが、部員たちはその一言に空気を引き締めた。

「レギュラー争いも激しくなるぞ。綾野弟、高坂妹が部に復帰した。高坂兄まで戻ってきたら――今の三年も二年も、うかうかしてられない。覚悟しておけ。三年でも、弱ければ遠慮なく振り落とす。」

ピリッとした緊張感が走る中、二年の今田と増野が妙におどおどしていた。

「今田、増野。言うことがあるだろう? そこに突っ立ってないで、前へ出ろ。」

弟の冬季が凍夜に代わり、声を掛けた。

二人は渋々前へ進み、恭弥と月華の前に立った。重たい沈黙。全員の視線が、彼らに注がれる。

「高坂さん……本当に、君のお兄さんには悪いことをしたと思ってる。だから……謝りたい。本当に、すいませんでした。」

増野がそう言い、今田も深く頭を下げた。

彼らは、恭弥と月華の兄・月詠が姿を消した直接の原因を作った張本人だ。月詠の責任だと決めつけ、何度も言葉で責め立て、部活に来られなくなるまで追い詰めた。

「……謝る相手、間違ってますよ、先輩。」

恭弥が静かに言った。

「そうです。兄に、そして月詠に、直接謝ってください。月詠は……あなたたちの言葉で深く傷ついたんです。毎日どれだけ辛そうだったか、知ってますか?」

月華の声は、淡々としていたが怒りと哀しみが混じっていた。

「たかが兄妹喧嘩です。それなのに、なぜ関係ないあなたたちが口を挟んでくるのか……私には分かりません。」

視線を逸らさずに、彼女は言い切った。

「でも……ここにいないんじゃ、謝れないだろ? だから、伝えてくれないか。」

増野がそう頼むと、恭弥が首を振った。

「謝る機会なら、これまでいくらでもあったはずです。月詠は、ちゃんと毎日学校には来てるんですよ。なのに……どうして一度も教室に顔を出して、謝らなかったんですか?」

彼の言葉は、静かだが鋭かった。

「……それとも、形だけの謝罪で済ませようとしてるんですか?」

その場の空気が、一気に冷えたような気がした。

「恭弥、もういい。」

凍夜が割って入る。

「増野と今田は反省している。明日、教室まで謝りに行かせる。……それでいいな?」

恭弥と月華は、しばし無言だったが、やがて頷いた。

「増野、今田。以前、俺が言ったことを覚えているか?」

凍夜が静かに口を開いた。

「他人にしたことは、いずれ自分に返ってくる。非難する前に、助けることができたか、自分自身に問いかけろ。」

二人はうつむきながらも、涙を浮かべて頷いた。
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