恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第11章 旭日中学剣術部の恋愛事情 前編

入院中でも空気読まない最強ヒロイン!姉弟の恋も友情もぜーんぶ応援しちゃうよ!

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病室のカーテンが、やさしく風に揺れた。

「なによりも、姫香に酷いことしてしまった。姫香、冬季くんのこと好きでしょ。親善試合が終わったら、冬季くんに告白して、彼にファーストキスをあげるって言ってたのに……。」

咲はベッドの上で、小さくつぶやいた。

「レグルスに奪われて、私、姫香に何てお詫びをすればいいの……。姫香の大事なキスを、私が守れなかった……。」

その声を聞いて、聖奈の表情が強張った。

「咲……姫香だけじゃないわよ。ファーストキス。……あなただって、恭弥のファーストキスを奪ったじゃないの。あのとき、私がどんな気持ちだったか分かってる?」

咲は、少し驚いたように聖奈を見て、それからふっと笑った。

「それはそれ。私だって、恭弥の唇には興味あったし。最初は私がいいなって思ってたら、恭弥がくれたんだもん。」

さらりと言う咲に、聖奈の頬が赤くなる。

「なんだとコラ、表出ろや!」

聖奈は勢いよく咲のパジャマの胸元を掴んで、ガタガタ揺らした。

「わ、ちょ、やめて、やめてっ! 私、入院してるんだからぁ!」

ふたりのやり取りに、恭弥があわてて割って入った。

「聖奈、落ち着いてって! もう済んだ話だろ? 今は、これからの部活をどうするか話す方が先だよ!」

その言葉に、聖奈は標的を恭弥に切り替えた。

「もし恭弥があのとき抵抗してたら……もしかしたら、私が最初だったかもしれないのに……!」

咲がニヤリと口元をゆがめた。

「でも、あれがあったから……聖奈、恭弥のことを“弟”じゃなく、“男の子”として意識し始めたんじゃない?」

聖奈は、口を開きかけたが――結局、何も言えなかった。
咲の言葉は、確かに図星だったから。

恭弥が咳払いをひとつして、場をなごませようとした。

「……まぁ、そんなわけだから。聖奈、まずは落ち着こうか。」

聖奈はちょっとふくれっ面になりながら、ふいっとそっぽを向いた。

「だったら、ここで……キスして。」

突然の一言に、病室の空気がピンと張りつめる。

「えっ、いまなんて……?」

咲が期待のこもった目でジーッと恭弥を見つめている。

「ねぇ、まだ? まだやらないの? 私、しっかり見届けてあげるからねっ!」

冗談とも本気ともとれない咲の言葉に、恭弥は顔を赤らめながら、ため息をついた。

「……わかったよ。」

恭弥がそう言って、聖奈の額に、そっとキスをした。

その優しい仕草に、咲が思わず拍手をして声をあげる。

「わぁ~っ! 初めてリアルで恋人っぽいキス見ちゃった! でもいいなぁ……。」

咲は枕をぎゅっと抱きしめる。

「いいなぁ、恭弥。私にもして?」

恭弥が驚いて目を見開くと、聖奈が大きくうなずいた。

「咲には特別に許してあげるわよ。入院してるし、ちょっと元気出るかもしれないしね。」

恭弥は照れくさそうに笑いながら、咲の額にもそっとキスをした。

咲は目をつむったまま、にっこり笑った。

「ふふっ。……なんだか、ちょっと生き返った気分。」

病室の外からは、月詠と月華がそっと様子をうかがっていた。

「恭弥のやつ、モテモテだなぁ……。」

ぼそっとつぶやく月詠に、月華が小さく笑った。

「ふふっ。あんまり見すぎると、恭弥に怒られるよ?」

ふたりのやり取りをよそに、病室の中では、穏やかな風がそよいでいた。

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