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第14章 大会直前の練習試合、相手チームは美人なお姉さんだらけです
杉浜女子大との戦いへ――静かなる出発
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7月の下旬、朝の涼しい空気の中、旭日中学剣術部の部員たちは、滞在していたホテルの前に整列していた。
この一ヶ月お世話になったのは、姫柊グループが間もなくオープンを控える高級ホテル。校舎修繕のために練習場を失っていた剣術部は、姫柊咲の母・姫柊美弥子の計らいで、ここを練習拠点として過ごしてきたのだった。
玄関前には、美弥子と支配人、そして何人かのスタッフが見送りに立っていた。
「この一ヶ月、練習場を貸していただき、ありがとうございました。」
主将・氷堂凍夜が深々と頭を下げ、部員たちもそれに続いた。
「ありがとうございました!」
その声は、どこか誇らしげで、同時に名残惜しさを含んでいた。
「皆様のご健闘を、ホテル一同、心よりお祈りしております。」
美弥子の激励に再び頭を下げる部員たち。バスに乗り込む直前、咲・恭弥・聖奈の三人が彼女のもとへ向かう。
「母さん、ありがとう。行ってくるね。」
「頑張っていらっしゃい。去年の悔しさ、しっかり晴らしてらっしゃいな。 聖奈さんも、咲のことをお願いね。……それから、恭弥さん。」
一拍おいて、美弥子が微笑む。
「咲との関係、ちゃんと育ててきてね? 私はまだ、あなたを婿に迎えることを諦めていないから。」
その言葉に聖奈の頬がぴくりと引きつり、咲は苦笑してすぐに言い添えた。
「母さん、それはもういいから。聖奈、嫉妬しないで。私は恭弥くんを取らないから。」
けれども、わずかに顔を背けた聖奈の視線は、どこか釘を刺しているようにも見えた。
*
バスが走り出すと、部員たちはそれぞれに静かに目を閉じる。数人が低く会話を交わすものの、全体に漂うのは緊張と覚悟の空気だった。
恭弥もまた、車窓の外を見つめながら思い返していた。
――あの日のスタメン発表。
女子団体、男子団体、そして混合団体。それぞれの試合ごとに名前が呼ばれ、緊張の波が部屋中を包んでいた。
だが、男子団体戦の発表で、誰もが待っていたある名前が呼ばれなかった。
ざわつく空気。
「……主将の名前が、ない……?」
誰かの小さな声が、静寂の中に浮かんだ。
凍夜は何も語らなかった。ただ、静かに、次の試合の名を読み上げるだけだった。
部員たちは皆、その理由を訊けずにいた。動揺を隠せないまま、しかし、それでも試合は目前に迫っている――。
それぞれの胸の内に、静かな決意と不安が混ざり合いながら、バスは杉浜女子大学へと進んでいく。
この一ヶ月お世話になったのは、姫柊グループが間もなくオープンを控える高級ホテル。校舎修繕のために練習場を失っていた剣術部は、姫柊咲の母・姫柊美弥子の計らいで、ここを練習拠点として過ごしてきたのだった。
玄関前には、美弥子と支配人、そして何人かのスタッフが見送りに立っていた。
「この一ヶ月、練習場を貸していただき、ありがとうございました。」
主将・氷堂凍夜が深々と頭を下げ、部員たちもそれに続いた。
「ありがとうございました!」
その声は、どこか誇らしげで、同時に名残惜しさを含んでいた。
「皆様のご健闘を、ホテル一同、心よりお祈りしております。」
美弥子の激励に再び頭を下げる部員たち。バスに乗り込む直前、咲・恭弥・聖奈の三人が彼女のもとへ向かう。
「母さん、ありがとう。行ってくるね。」
「頑張っていらっしゃい。去年の悔しさ、しっかり晴らしてらっしゃいな。 聖奈さんも、咲のことをお願いね。……それから、恭弥さん。」
一拍おいて、美弥子が微笑む。
「咲との関係、ちゃんと育ててきてね? 私はまだ、あなたを婿に迎えることを諦めていないから。」
その言葉に聖奈の頬がぴくりと引きつり、咲は苦笑してすぐに言い添えた。
「母さん、それはもういいから。聖奈、嫉妬しないで。私は恭弥くんを取らないから。」
けれども、わずかに顔を背けた聖奈の視線は、どこか釘を刺しているようにも見えた。
*
バスが走り出すと、部員たちはそれぞれに静かに目を閉じる。数人が低く会話を交わすものの、全体に漂うのは緊張と覚悟の空気だった。
恭弥もまた、車窓の外を見つめながら思い返していた。
――あの日のスタメン発表。
女子団体、男子団体、そして混合団体。それぞれの試合ごとに名前が呼ばれ、緊張の波が部屋中を包んでいた。
だが、男子団体戦の発表で、誰もが待っていたある名前が呼ばれなかった。
ざわつく空気。
「……主将の名前が、ない……?」
誰かの小さな声が、静寂の中に浮かんだ。
凍夜は何も語らなかった。ただ、静かに、次の試合の名を読み上げるだけだった。
部員たちは皆、その理由を訊けずにいた。動揺を隠せないまま、しかし、それでも試合は目前に迫っている――。
それぞれの胸の内に、静かな決意と不安が混ざり合いながら、バスは杉浜女子大学へと進んでいく。
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