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第14章 大会直前の練習試合、相手チームは美人なお姉さんだらけです
凍夜の不在と、揺れるバスの中で――
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「なんでだよ、なんで黙ってたんだよ……!」
日室の拳が凍夜の肩を揺さぶる。強くはない。けれど、その怒りと悲しみは、凍夜の胸にも痛く響いた。
「みんなが動揺して、練習に身が入らなくなると思った。だから……最後まで言わないつもりだった。レギュラーが決まって、心の余裕が生まれてから伝えようと……それだけだ。」
静かにそう答えた凍夜に、日室は思わず声を荒げる。
「ふざけんな……。俺は、小学のときからずっと一緒だったんだぞ。俺が倒れたとき、お前は泣きながら支えてくれたじゃねえか! なんで、自分のことになると誰にも頼らねえんだよ……!」
言いながら、日室は軽く拳を凍夜の胸に当てる。
「痛かったろ? 苦しかっただろ? だったら言えよ。俺は、どんなお前でも支える。頼ってほしかった……!」
その声に、凍夜は初めて小さくうなずいた。
「……悪かった。部を頼む。」
その日、凍夜は松葉杖をつき、誰にも見送られないよう静かに病院へと向かった。
*
移動バスの中――凍夜の姿はなかった。
部員たちを乗せた車内には、重く沈んだ空気が漂っていた。
恭弥は窓の外を見つめながら、ある後悔を噛みしめていた。
(あの薬があれば、主将の足も……でも、もう無いんだ。使うんじゃなかった……)
かつて使った“神の秘薬”――リィオティーナ・オーラムしか作れないその薬は、今はもう手元にない。しかも勝手に使ったことで、母・奏からも叱られていた。
「……ねえ、恭弥。私のせいでもあるよね。あのとき、私が意地張らなければ……」
隣で聖奈が、そっと声をかける。
咲と茜も後部座席から心配そうに覗き込んできた。
「……ほら、恭弥くん。好きなお菓子、持ってきたの。ね、食べて……」
茜が差し出すスナック菓子に、恭弥は無言で目を伏せた。
「まさか……年上のお姉さんと戦えるから、緊張してるってことはないよね? 恭弥を癒すのは私と聖奈だけで十分だからねっ」
咲がいつもの調子で茶化すが、それでも恭弥の表情は曇ったままだった。
そんな彼の様子に、ついに聖奈が語気を強める。
「……恭弥、あなたが今やるべきこと、わかってるよね? 主将の代わりに、大将を務めるのよ。しっかりして……!」
その言葉とともに、パシンと頬を叩く音が、バスの車内に響いた。
「……姉弟喧嘩かよ、やめとけって……」
後ろで見ていた吹田と金山が止めに入るが、聖奈はもう一度、恭弥の頬を軽く叩いた。
「気合い入れてってことよ。あんたが落ち込んでたら、主将が安心して休めないでしょ……!」
車内はさらに静まり返る。
「綾野姉、それでいい」
沈黙の中、月詠が小さく口を開いた。
「今の凍夜がここにいたら、こう言ったと思う。『何をくよくよしてる。お前に期待なんてしてない。自分のやるべきことだけ、黙ってこなせ』……ってな。」
その言葉に、恭弥の肩が微かに震えた。
少しずつ、胸の奥に火が灯っていく。
主将のいない戦い――けれど、その背中を守るのは、自分たちだ。
バスは静かに、杉浜女子大学へと向かって走り続けていた。
日室の拳が凍夜の肩を揺さぶる。強くはない。けれど、その怒りと悲しみは、凍夜の胸にも痛く響いた。
「みんなが動揺して、練習に身が入らなくなると思った。だから……最後まで言わないつもりだった。レギュラーが決まって、心の余裕が生まれてから伝えようと……それだけだ。」
静かにそう答えた凍夜に、日室は思わず声を荒げる。
「ふざけんな……。俺は、小学のときからずっと一緒だったんだぞ。俺が倒れたとき、お前は泣きながら支えてくれたじゃねえか! なんで、自分のことになると誰にも頼らねえんだよ……!」
言いながら、日室は軽く拳を凍夜の胸に当てる。
「痛かったろ? 苦しかっただろ? だったら言えよ。俺は、どんなお前でも支える。頼ってほしかった……!」
その声に、凍夜は初めて小さくうなずいた。
「……悪かった。部を頼む。」
その日、凍夜は松葉杖をつき、誰にも見送られないよう静かに病院へと向かった。
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移動バスの中――凍夜の姿はなかった。
部員たちを乗せた車内には、重く沈んだ空気が漂っていた。
恭弥は窓の外を見つめながら、ある後悔を噛みしめていた。
(あの薬があれば、主将の足も……でも、もう無いんだ。使うんじゃなかった……)
かつて使った“神の秘薬”――リィオティーナ・オーラムしか作れないその薬は、今はもう手元にない。しかも勝手に使ったことで、母・奏からも叱られていた。
「……ねえ、恭弥。私のせいでもあるよね。あのとき、私が意地張らなければ……」
隣で聖奈が、そっと声をかける。
咲と茜も後部座席から心配そうに覗き込んできた。
「……ほら、恭弥くん。好きなお菓子、持ってきたの。ね、食べて……」
茜が差し出すスナック菓子に、恭弥は無言で目を伏せた。
「まさか……年上のお姉さんと戦えるから、緊張してるってことはないよね? 恭弥を癒すのは私と聖奈だけで十分だからねっ」
咲がいつもの調子で茶化すが、それでも恭弥の表情は曇ったままだった。
そんな彼の様子に、ついに聖奈が語気を強める。
「……恭弥、あなたが今やるべきこと、わかってるよね? 主将の代わりに、大将を務めるのよ。しっかりして……!」
その言葉とともに、パシンと頬を叩く音が、バスの車内に響いた。
「……姉弟喧嘩かよ、やめとけって……」
後ろで見ていた吹田と金山が止めに入るが、聖奈はもう一度、恭弥の頬を軽く叩いた。
「気合い入れてってことよ。あんたが落ち込んでたら、主将が安心して休めないでしょ……!」
車内はさらに静まり返る。
「綾野姉、それでいい」
沈黙の中、月詠が小さく口を開いた。
「今の凍夜がここにいたら、こう言ったと思う。『何をくよくよしてる。お前に期待なんてしてない。自分のやるべきことだけ、黙ってこなせ』……ってな。」
その言葉に、恭弥の肩が微かに震えた。
少しずつ、胸の奥に火が灯っていく。
主将のいない戦い――けれど、その背中を守るのは、自分たちだ。
バスは静かに、杉浜女子大学へと向かって走り続けていた。
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