280 / 448
第15章 予想を超えたクラブ選手権予選開始します
信じる仲間、つなぐ絆――償うチャンスを!今度は、逃げないって決めたから。
しおりを挟む
招集を受け、主審のもとに副主将・日室と中都中学の監督が並び立つ。中央の白線上、その場の空気はぴんと張り詰めていた。
「うちの方が、技の数でも印象点でも上のはずだ。なぜ代表戦を行う必要があるんだ。」
中都中の監督は、苛立ちを隠そうともせず、審判団に食いかかっていた。だが、主審は表情一つ変えずに答える。
「確かに、技数では中都中学さんが上回っていました。しかし、副将戦と大将戦での印象点は、明らかに旭日中学のほうが高評価です。それに、副将だった五十嵐選手を次鋒に回したことで、観客評価にも影響が出ました。総合的判断として、代表戦が妥当と判断しました。」
その言葉に、中都の監督は口を閉ざした。
(くそっ……。勝つための最善だった。だが、それがここで仇になるとは……。これ以上言えば、審判の心象まで悪くなるか……。)
歯噛みしながらも、監督は小さく頭を下げ、いったんベンチへと戻っていった。代表戦に向けて、誰を立てるか。戦略を練り直す時間が必要だった。
一方その頃、旭日中学のベンチでは、日室が悩んでいた。
(誰を出すべきか……。恭弥か、それとも――。)
緊張に包まれる中、日室は意を決して前へ出る。
「集まってくれ。これより代表戦を行う。代表は……恭弥、頼めるか。」
視線を向けられた恭弥は、静かに立ち上がろうとした。だが、その足に、鋭い違和感が走る。大将戦で放った『ゾリアック』の反動が、両脚に残っていたのだ。
(……まずい。でも、大将として、ここで引けるわけには……。)
そのとき、横からスッと誰かが前に出た。
「待ってください。俺が、行きます。」
月詠だった。真っ直ぐ日室を見て、迷いのない声で言った。
「恭弥は、さっきの試合で限界まで力を使いました。今、無理をさせるわけにはいきません。」
一瞬、静まり返った空気を破って、彼は続けた。
「この三か月、俺は剣術部に何の結果も残せていません。でも、今、動けるのは、俺だけです。冬季さんも、日下部さんも、影山先輩も、すでに全力を尽くして、今は動けない。……今の恭弥じゃ、また倒れるかもしれない。」
仲間たちの視線が集まる中、月詠は言葉を重ねる。
「みんな、不安だと思う。でも……俺に、チャンスをください。俺のせいで一度は壊れかけたこの部を、俺の手でつなぎ直したいんです。」
その言葉に、凍夜がゆっくり近づき、月詠の頭を軽く叩いた。
「何を言ってる。償いなんて、誰も望んでないさ。あれがあったからこそ、お前も、恭弥も、月華も、今ここにいるんだ。」
日室も、その言葉に頷いた。
「怒ってるやつなんて、もういない。お前が誰よりも先に、恭弥の体調に気づいた。……俺は、それを見抜けなかった。危うく、無理をさせるところだったよ。」
そして、背後のモニターに向かって声を上げた。
「俺は、月詠に任せたいと思ってる。みんなは、どう思う?」
「もちろんだ!」
「異議なし!」
「全力で頼んだぞ、月詠!」
その声の中で、ひときわ強く響いたのは――かつて月詠を否定し続けた男、増野だった。
「月詠は今や、旭日の誇りだ。恭弥に匹敵する剣士だよ。もし文句言うやつがいたら……俺がぶっ飛ばす!」
その言葉に、月詠はこくりと頷く。
(この剣に、全部乗せる。旭日中の想いも、俺自身の覚悟も――。)
さあ、最後の一本を決める。代表戦、始まる。
「うちの方が、技の数でも印象点でも上のはずだ。なぜ代表戦を行う必要があるんだ。」
中都中の監督は、苛立ちを隠そうともせず、審判団に食いかかっていた。だが、主審は表情一つ変えずに答える。
「確かに、技数では中都中学さんが上回っていました。しかし、副将戦と大将戦での印象点は、明らかに旭日中学のほうが高評価です。それに、副将だった五十嵐選手を次鋒に回したことで、観客評価にも影響が出ました。総合的判断として、代表戦が妥当と判断しました。」
その言葉に、中都の監督は口を閉ざした。
(くそっ……。勝つための最善だった。だが、それがここで仇になるとは……。これ以上言えば、審判の心象まで悪くなるか……。)
歯噛みしながらも、監督は小さく頭を下げ、いったんベンチへと戻っていった。代表戦に向けて、誰を立てるか。戦略を練り直す時間が必要だった。
一方その頃、旭日中学のベンチでは、日室が悩んでいた。
(誰を出すべきか……。恭弥か、それとも――。)
緊張に包まれる中、日室は意を決して前へ出る。
「集まってくれ。これより代表戦を行う。代表は……恭弥、頼めるか。」
視線を向けられた恭弥は、静かに立ち上がろうとした。だが、その足に、鋭い違和感が走る。大将戦で放った『ゾリアック』の反動が、両脚に残っていたのだ。
(……まずい。でも、大将として、ここで引けるわけには……。)
そのとき、横からスッと誰かが前に出た。
「待ってください。俺が、行きます。」
月詠だった。真っ直ぐ日室を見て、迷いのない声で言った。
「恭弥は、さっきの試合で限界まで力を使いました。今、無理をさせるわけにはいきません。」
一瞬、静まり返った空気を破って、彼は続けた。
「この三か月、俺は剣術部に何の結果も残せていません。でも、今、動けるのは、俺だけです。冬季さんも、日下部さんも、影山先輩も、すでに全力を尽くして、今は動けない。……今の恭弥じゃ、また倒れるかもしれない。」
仲間たちの視線が集まる中、月詠は言葉を重ねる。
「みんな、不安だと思う。でも……俺に、チャンスをください。俺のせいで一度は壊れかけたこの部を、俺の手でつなぎ直したいんです。」
その言葉に、凍夜がゆっくり近づき、月詠の頭を軽く叩いた。
「何を言ってる。償いなんて、誰も望んでないさ。あれがあったからこそ、お前も、恭弥も、月華も、今ここにいるんだ。」
日室も、その言葉に頷いた。
「怒ってるやつなんて、もういない。お前が誰よりも先に、恭弥の体調に気づいた。……俺は、それを見抜けなかった。危うく、無理をさせるところだったよ。」
そして、背後のモニターに向かって声を上げた。
「俺は、月詠に任せたいと思ってる。みんなは、どう思う?」
「もちろんだ!」
「異議なし!」
「全力で頼んだぞ、月詠!」
その声の中で、ひときわ強く響いたのは――かつて月詠を否定し続けた男、増野だった。
「月詠は今や、旭日の誇りだ。恭弥に匹敵する剣士だよ。もし文句言うやつがいたら……俺がぶっ飛ばす!」
その言葉に、月詠はこくりと頷く。
(この剣に、全部乗せる。旭日中の想いも、俺自身の覚悟も――。)
さあ、最後の一本を決める。代表戦、始まる。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる