恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第15章 予想を超えたクラブ選手権予選開始します

かわいすぎて剣を振れない!?――戦場で揺れる柏田くん

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「それではスタメンを言うぞ。
先鋒、桐生。次鋒、日下部。三将、高坂妹。中堅、月詠。五将、姫柊。副将、綾野姉。そして、大将、綾野恭弥。
……相手がどんな順番で来ようが、これがうちのベストメンバーだ。」

日室の力強い言葉に、メンバーたちは自信を湛えた表情で頷いた。

「両校選手、前へ。」

主審の声が響き、両校の選手が中央線へと歩を進めた。
この整列が、相手の出場順を初めて知る瞬間となった。

姫香の前に現れたのは、体格のいい男子。姫香よりも三十センチ以上は背が高い。
日下部の相手は、彼の肩にも届かぬほどの小柄な女子だった。
月華の前に立つのは、まるで壁のような体格の男子。
月詠の相手は、筋肉のバランスが美しいスラリとした美女。
咲の前には、笑みを湛えた雰囲気あるイケメンが。
聖奈と対峙するのは、彼女より少し背の高い長身の女子。
そして、恭弥の前に立ったのは、体幹が鍛え上げられた精悍な男――石川淳だった。

「これより、旭日中学対用瀬谷中学の試合を開始します。お互い、礼!」

主審の合図で、両校大将が前に出て握手を交わす。

「よろしくお願いします。」

「こちらこそ。俺は石川淳。……えーと、君は?」

「綾野恭弥です。」

「綾野君か。正々堂々と戦おうな。」

恭弥と石川は笑顔で握手を交わし、それぞれのベンチへ戻っていった。

その直後、主審から先鋒の呼び出しが入る。

「行ってくるね!」

姫香が軽やかに答え、中央線へと向かう。

一方、用瀬谷中学ベンチでは――。

「ど、どうしよう……俺、聞いてないよ……無理、絶対無理……!」

震える声で呟いたのは、先鋒の柏田聡だった。

「しょうがないじゃん、覚悟決めて行きなよ。」

次鋒の江上がそう言って、柏田の背中を押す。

いやいやながら前に出た柏田の目の前には、姫香がにっこりと立っていた。

「いい試合をしましょう。」

その一言に、柏田は目をそらして小さく頷く。

(めちゃくちゃ可愛い……。どうしよう、緊張しすぎて言葉も出なかった……不愛想って思われたかも……。)

一方の姫香は、真っ直ぐに柏田を見つめていた。

(近くで見ると、すっごく大きい……でも、真剣な目をしてる。返事がないのは、それだけ集中してるってことね。)

そして、ふたりはバーチャルフィールドへと転送される。

ベンチの用瀬谷監督がつぶやいた。

「まさか相手の先鋒が女子だったとは……これは予想外だな。聡、大丈夫か……? いつもの“あれ”が出なければいいが……」

「始め!」

主審の号令が下ると、姫香は間合いを取りながら慎重に動き始めた。

(まずは様子見。体格差がある相手に、いきなり突っ込むのは危険。)

氷の力を纏い、姫香は遠距離技を放つ。

「氷結晶・水結矢!」

青白い光を帯びた無数の氷矢が、柏田を狙って飛ぶ。しかし柏田は眉一つ動かさず、それらを筋肉で受け止めた。

(……効いてない!? じゃあ、次は正面突破しかない!)

姫香が間合いを詰めようとした、その時――柏田の心は葛藤していた。

(親父の言った通りだ……女の子は守るもの……こんな可愛い子、攻撃できるわけない!)

そんな彼を見かねて、ベンチから檄が飛ぶ。

「聡、攻めろ!本気でいかないと負けるぞ!」

「正々堂々、戦いなさい!」

しかし、柏田は姫香から目が離せず、動けなかった。

(どうしよう……攻撃したら、きっと傷つけてしまう……。)

その隙を突いて、姫香が踏み込む!

「氷結晶・爆砕牙!」

鋭く氷を纏った一撃が放たれた――柏田はとっさに姫香の肩を掴み、引きはがす形でかわす。

(……本気だ。この子、強い。でも……戦ったら、俺が彼女を傷つける。)

柏田は遠距離技で時間を稼ぎつつ、引き分け狙いに切り替える。

だが姫香の覚悟は揺るがない。

(臆してたら勝てない! 全力で行く!)

「水結晶・爆砕牙・改!!」

そして――柏田も奥義を放つ!

「コズミック・バースト・ブレイク!」

光と氷、二つの技が激突した瞬間、凍りついたような静寂が体育館に広がる。

次の瞬間、爆発音と閃光があたりを包み込んだ。

姫香の身体が宙に浮かぶ――爆風に吹き飛ばされたのだ!

『必ず、女を守れ!』

父親の言いつけを胸に、柏田は猛ダッシュで吹き飛ばされた姫香を追い、間一髪のところで彼女を抱き止めた。

「大丈夫ですか? 怪我していませんか?」

柏田の真剣な表情に、姫香は戸惑いながらも答える。

「ええ、何とか。でも、どうして……?」

「親父の教えで、女の子を守るのが俺の役目だと叩き込まれてまして……それに、あなたみたいな可愛い子を傷つけるわけにはいきません。」

その言葉に、姫香は驚き、頬が赤く染まっていく。

しかし次の瞬間、柏田の表情が一変する。

彼の手が偶然、姫香の体の柔らかい部分に触れてしまっていたのだ。

「す、すみませんっ!」

柏田は勢いよく姫香から離れると、目を泳がせながら不意に試合時計を見た。
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