恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第15章 予想を超えたクラブ選手権予選開始します

背負いきれぬ責任の重さに、俺はただ逃げていた。

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翌日の試合から、恭弥は大将を外され、男女混合団体でもスタメンから外されていた。ベンチで俯く彼の姿を、咲も月華も茜も心配そうに見つめていたが、決めた本人である聖奈は、恭弥に一言も声をかけることなく、ただ試合に集中し、与えられた役割を淡々とこなしていた。

それでも、その日の千葉県代表4位・あゆみ稲毛中学との試合は、苦戦の末に全勝をおさめ、混合戦を含め旭日中学の士気は大きく回復した。

一方その中で、恭弥は自分が用瀬谷中学との一戦で見せた、あまりにも情けない戦いを繰り返し思い返していた。

(なんで、俺はあの試合に集中できなかったんだ……なんで今、俺はここにいるんだ……。 なぁ、聖奈……何か、何か言ってくれよ……そうじゃないと、俺……俺は……。)

心の中で必死に訴えながらも、恭弥はただ、大将戦で戦う聖奈の姿を黙って見ていることしかできなかった。

あの試合以来、聖奈は必要最低限の指示以外、恭弥に話しかけていなかった。他の部員たちは気にかけて声をかけてくれるものの、聖奈だけは断固として距離を保ち続けていた。

それはやがて、部員たちの間でも違和感として囁かれ始める。

「ブラコンで有名な綾野が、ここまで恭弥に話しかけないなんて……4月以来じゃない?」

「その時は確か、綾野がスランプだった時期だろ。でも今回は調子いいし……まさか絶縁?」

そんな噂が飛び交う中、恭弥は自分の甘さと責任の重さに押し潰されそうになっていた。

そして、混合団体の総当たり戦中、予想外の事態が起きた。

青森県代表3位・甲田荒川中学との激戦の末、月詠が体調を崩し、その日の夜に高熱を出してしまった。無理を押しての出場が祟った結果であり、医師からは翌日の出場停止が言い渡される。

控えの枠が凍夜で埋まっている以上、残された選択肢は一つ――恭弥を再び起用するしかなかった。

「明日のスタメンを発表する。先鋒:桐生、次鋒:冬季、三将:日下部、中堅:高坂妹、五将:姫柊、副将:恭弥、大将:綾野姉。以上だ。」

副主将・日室が淡々と発表する。

「月詠が倒れた以上、お前を出すしかない。選択の余地はないんだ。覚悟を決めろ、恭弥。お前は……できる。」

その言葉に、恭弥は神妙に、けれどどこか自信なさげに頷いた。

だが、それでもなお、聖奈から言葉をかけられることはなかった。

その様子を見た咲は、ついに聖奈を呼び止める。

「ねえ、聖奈。なんで今になっても、恭弥に声をかけないの? あの子、怯えてるわ。今だからこそ、姉として……あなたが言葉をかけるべきじゃないの?」

問いかけに、聖奈は静かに答える。

「……私だって、励ましたい。でも、今は違うの。ここで私が言葉をかけたら、きっと恭弥は甘える。そうなったら……意味がないの。」

「咲、お願いだから、余計なことは言わないで。あのことを恭弥が知ってしまったら……きっと、もう立ち直れなくなる。」

その言葉を聞いて、咲はなにも言えなかった。

だが、その会話を、偶然にも恭弥が耳にしてしまっていた。

(……あのこと? なんのことだ?)

聖奈がこちらに気づいて振り返る気配に、恭弥は慌てて身を隠す。

そのすぐ脇を通り過ぎていく彼女の目には、確かに涙が浮かんでいた。

思わず追いかけようとした恭弥を、咲が呼び止めた。

「恭弥、今の……聞いてたの?」

「咲、聖奈が言ってた“あのこと”って……なんだよ。俺が負けたら、どうなるんだ……?」

問い詰める恭弥に、咲は言葉に詰まる。

その時、月華と姫香が現れた。

「あのことっていうのは……聖奈さんが、あなたのために全てを背負うってことよ。」

「もし明日、試合に負けたら……聖奈は、剣術をやめる。刀を置くって、皆の前で言い切ったのよ。」

(聖奈が刀を置く?俺が不甲斐ないせいで、聖奈に全責任を負わせて……?)

月華と姫香の言葉に、恭弥の目が大きく見開かれる。

「それほどまでに、聖奈はあなたに期待してるのに……。いつまで情けない顔してるのよ?」

姫香はその小さな手で、恭弥の肩を掴み、強く揺さぶった。

「聖奈は、弟君の代わりに大将を務めてる。でも、もう限界なの。混合団体の大将は、負担が重い。だからこそ、大将は覚悟と責任を持たなきゃいけないのに……あなたはその意味すら忘れてた?」

「咲だって……なんで黙ってるの? 甘やかすなんて、今は一番やっちゃいけないことよ。」

姫香の激しい言葉に、咲は唇を噛んで俯くしかなかった。

「……あんた、男でしょ? 聖奈を本当に大事に思ってるなら、しっかりしてよ。私は、聖奈と一緒に全国に行くの。今年も、来年も、ずっと。だから、ちゃんと考えて。」

そう言って、姫香は踵を返し、部屋へと戻っていった。

その後を追って、月華も言葉を投げる。

「……私も、姫香さんと同じ意見だよ。今の恭弥は、腑抜けている。」

そうして場を去る二人。

残された咲は、恭弥に何かを言いかけて、結局なにも言えずにその場を去った。

ただ一人残された恭弥の胸には、どうしようもない後悔と、言葉にできない痛みだけが残った。

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