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第16章 つかの間の休息と激戦の女子トーナメント
騒がしすぎる朝、運命に刻まれた誓い――掟を破る覚悟はある?
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朝のホームルーム前、恭弥は茜と並んで日直当番をしていた。黒板の連絡事項を書いていたところに、女子たちが恭弥の周りに集まり始める。
「おはよう、綾野くん! 全国出場、すごいじゃん!」
「でしょ? 私、絶対行くと思ってたんだよね~。」
「それよりさ、綾野くんって、どんな子がタイプ? 芸能人で言うと誰?」
「それよりもっと聞きたいんだけど、綾野くんって、姫柊先輩と別れたって噂本当? だったら……私、彼女立候補しちゃってもいい?」
一気に距離を詰めてくる女子たちに、恭弥はたじたじになる。
同じ頃、教室のあちこちでも似たようなことが起きていた。月詠には別の女子たちが囲んでいて、月華にもやたらノリのいい男子が近づいてきていた。
「高坂さん、今日の部活後、ちょっとお茶でもどう? 僕たちの未来について、語ろうじゃないか。」
月華が最も苦手とする男子――言動も外見もやたら気取っているタイプだった。
「……。」
月華は無言でスルーを決め込むが、男はまったく懲りない。
「照れてるの? かわいいな~。高坂さん、いや、月華さん。君には僕みたいなハイスペック男子がふさわしいよ。」
その軽口に、ついに月華がキレた。
「うっさいのよ、あんた。しつこいし、鬱陶しいし、迷惑。私には好きな人がいるの! あんたなんか最初から論外。もう話しかけないでくれる?」
その視線は自然と月詠の方へと向けられていた。
月詠もまた、女子たちに囲まれていたが、どこか困ったような表情で対応に追われていた。
(ったく……月詠、また黙って耐えてるし。)
見かねた月華は、一歩前に出て宣言した。
「月詠は、私の恋人。だから、ちょっかい出さないでくれる?」
教室が一瞬、静まり返った。だが、月華の言葉を茶化すように、さっきの男子が笑う。
「ははっ、マイ・ハニー、それは無理があるよ。君たちは兄妹でしょ? 兄妹で恋人なんて、法律的にもアウトじゃん?」
「そうそう、兄妹で愛し合うなんて現実には無理よ。でも月詠くん、私はなんでもしてあげるから。ね? 私だったら、何されてもいいんだよ?」
そう言って、女子のひとりが月詠の腕に自分の体を押しつけるようにしてきた、そのとき──。
月詠が突然立ち上がり、月華の元へと歩み寄った。そして。
「……!」
そのまま、月華にキスをした。
「……わかったか? 俺と月華は、そういう関係なんだ。あんたらに入る余地はない。」
教室中が、ざわめきに包まれる。
さっきまで月華に言い寄っていた男子が、顔を赤くして言い返した。
「な、なんだよ……そんな場所で不謹慎だろ、空気読めよ!」
だが、月詠は一歩も引かない。
「言われたくねぇよ。自分が何してきたか忘れたのか? 俺の大事な女にベタベタと──どの口が言うんだよ。」
次の瞬間、月詠はその男の胸ぐらをつかみ、拳を振り上げようとした――が、
「やめろ、月詠!」
背後から、恭弥が抱きとめた。
「手を出したら終わりだぞ。全国大会、出られなくなる。」
その一言で、月詠の拳は止まる。
恭弥は前に出て、男に向き直った。
「いいか。月詠と月華は、代々の契約で結ばれた許嫁だ。誰にも割り込む余地はない。もし掟を破ってでも挑むなら、それ相応の“試練”を受ける覚悟があるんだろうな? 命をかけるような、な。」
その迫力に圧され、男は顔面蒼白になって後ずさりし、ついには尻もちをついた。
「へなちょこ。」
月華が見下ろしながら吐き捨てる。
「私を落としたいなら、命の10や20くらい、捨てる覚悟で来なさいよ。……バーカ。」
その一言で、とどめを刺された男は震え上がる。
月詠はようやく落ち着いたように、恭弥と月華に謝った。
「……悪い。頭に血が上ってた。月華、ごめん。」
「ううん。怒ってくれて、嬉しかったよ。……好きだよ、月詠。」
そう言って、今度は月華の方から、軽く口づけを返した。
その様子を見ていたクラスメートたちは、完全に言葉を失っていた。
そして、恭弥は二人に向かって、ため息まじりに言った。
「……そういうの、せめて二人きりのときにやってくれないか。朝から引くわ。」
月華は肩をすくめ、ニヤッと笑って言い返すのだった――。
「おはよう、綾野くん! 全国出場、すごいじゃん!」
「でしょ? 私、絶対行くと思ってたんだよね~。」
「それよりさ、綾野くんって、どんな子がタイプ? 芸能人で言うと誰?」
「それよりもっと聞きたいんだけど、綾野くんって、姫柊先輩と別れたって噂本当? だったら……私、彼女立候補しちゃってもいい?」
一気に距離を詰めてくる女子たちに、恭弥はたじたじになる。
同じ頃、教室のあちこちでも似たようなことが起きていた。月詠には別の女子たちが囲んでいて、月華にもやたらノリのいい男子が近づいてきていた。
「高坂さん、今日の部活後、ちょっとお茶でもどう? 僕たちの未来について、語ろうじゃないか。」
月華が最も苦手とする男子――言動も外見もやたら気取っているタイプだった。
「……。」
月華は無言でスルーを決め込むが、男はまったく懲りない。
「照れてるの? かわいいな~。高坂さん、いや、月華さん。君には僕みたいなハイスペック男子がふさわしいよ。」
その軽口に、ついに月華がキレた。
「うっさいのよ、あんた。しつこいし、鬱陶しいし、迷惑。私には好きな人がいるの! あんたなんか最初から論外。もう話しかけないでくれる?」
その視線は自然と月詠の方へと向けられていた。
月詠もまた、女子たちに囲まれていたが、どこか困ったような表情で対応に追われていた。
(ったく……月詠、また黙って耐えてるし。)
見かねた月華は、一歩前に出て宣言した。
「月詠は、私の恋人。だから、ちょっかい出さないでくれる?」
教室が一瞬、静まり返った。だが、月華の言葉を茶化すように、さっきの男子が笑う。
「ははっ、マイ・ハニー、それは無理があるよ。君たちは兄妹でしょ? 兄妹で恋人なんて、法律的にもアウトじゃん?」
「そうそう、兄妹で愛し合うなんて現実には無理よ。でも月詠くん、私はなんでもしてあげるから。ね? 私だったら、何されてもいいんだよ?」
そう言って、女子のひとりが月詠の腕に自分の体を押しつけるようにしてきた、そのとき──。
月詠が突然立ち上がり、月華の元へと歩み寄った。そして。
「……!」
そのまま、月華にキスをした。
「……わかったか? 俺と月華は、そういう関係なんだ。あんたらに入る余地はない。」
教室中が、ざわめきに包まれる。
さっきまで月華に言い寄っていた男子が、顔を赤くして言い返した。
「な、なんだよ……そんな場所で不謹慎だろ、空気読めよ!」
だが、月詠は一歩も引かない。
「言われたくねぇよ。自分が何してきたか忘れたのか? 俺の大事な女にベタベタと──どの口が言うんだよ。」
次の瞬間、月詠はその男の胸ぐらをつかみ、拳を振り上げようとした――が、
「やめろ、月詠!」
背後から、恭弥が抱きとめた。
「手を出したら終わりだぞ。全国大会、出られなくなる。」
その一言で、月詠の拳は止まる。
恭弥は前に出て、男に向き直った。
「いいか。月詠と月華は、代々の契約で結ばれた許嫁だ。誰にも割り込む余地はない。もし掟を破ってでも挑むなら、それ相応の“試練”を受ける覚悟があるんだろうな? 命をかけるような、な。」
その迫力に圧され、男は顔面蒼白になって後ずさりし、ついには尻もちをついた。
「へなちょこ。」
月華が見下ろしながら吐き捨てる。
「私を落としたいなら、命の10や20くらい、捨てる覚悟で来なさいよ。……バーカ。」
その一言で、とどめを刺された男は震え上がる。
月詠はようやく落ち着いたように、恭弥と月華に謝った。
「……悪い。頭に血が上ってた。月華、ごめん。」
「ううん。怒ってくれて、嬉しかったよ。……好きだよ、月詠。」
そう言って、今度は月華の方から、軽く口づけを返した。
その様子を見ていたクラスメートたちは、完全に言葉を失っていた。
そして、恭弥は二人に向かって、ため息まじりに言った。
「……そういうの、せめて二人きりのときにやってくれないか。朝から引くわ。」
月華は肩をすくめ、ニヤッと笑って言い返すのだった――。
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