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第16章 つかの間の休息と激戦の女子トーナメント
全国大会開幕!~でもそばで翼は羽ばたきを見せない~
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全国大会の組み合わせ抽選会が行われたのは、大会の三日前のことだった。
いよいよ、全国の頂点を懸けた本当の戦いが、その幕を上げた。
今大会は決勝まで最大で六試合。旭日中学は運にも恵まれ、女子団体戦は二回戦からの出場となった。
順当にいけば、準決勝で京都代表――豊葦原鷹籠学園中等部とぶつかる可能性があるが、その前に、豊葦原鷹籠は昨年の準優勝校・**神楽坂中等部(東京A代表)**と対戦予定であり、前評判では神楽坂優勢という見方が強かった。
とはいえ、旭日中学も楽な相手ばかりではなかった。
大会前日、最後の調整を終えた練習場にて、凍夜が部員たちを集め、ミーティングを始める。
「明日、女子の初戦だ。初戦から二回戦までは初日、三回戦から準々決勝は二日目、そして準決勝・決勝が最終日。男子団体は女子の翌日から始まり、混合団体もその次に続く。」
緊張が高まる中、凍夜の声に熱が宿る。
「だからこそ、明日は女子がチームの流れをつくる一戦になる。綾野、姫柊、桐生、高坂、桃井、吹田――全力を尽くしてくれ。」
真っ直ぐな激励に、聖奈がすっと前に出た。
「了解しました。旭日中の名に恥じぬよう、全力で戦います。咲、姫香、月華ちゃん、茜ちゃん、吹田先輩――私たちで、勝利をつかもう!」
右手を高く掲げると、他の五人も次々と手を挙げ、拳を重ねる。
「聖奈、咲、月華、茜――頑張れよ!」
恭弥が応援の声を送ったその瞬間、姫香がぴくっと反応した。
「ちょっとちょっと、弟くん! 私と吹田先輩の名前、抜けてるよね!?」
「い、いや、そんなつもりじゃ……!」
慌てて釈明する恭弥に、姫香は冬季の背中に回ってしがみつく。
「ひどくない?ねぇ、冬季~!私って仲間外れなの?可哀想じゃない?」
冬季は苦笑しながら、彼女の頭を軽くなでる。
「……恭弥。可愛い姫香を差し置くとは、なかなか大胆だな。折檻、覚悟してくれ。」
ずるずると恭弥にコブラツイストをかけると、恭弥はあっさりギブアップ。
聖奈も咲も、月華も茜も、笑いながらその様子を見守っていた。
だが――その輪の中で、ただ一人だけ、笑っていない者がいた。
吹田茉央は、遠くを見つめたまま、微動だにしない。
(……やっぱり、ここに“翼”がいないと、物足りないな。)
視線の先にいたのは誰でもない。彼女の心の奥に今も残る、引退した親友の姿だった。
(翼……。もう進路、決めたのかな。全然話せてないや……。)
胸の奥に浮かんでは消える、数々の記憶――。
『私は金山翼。よろしくね、吹田さん。』
『女子団体は、茉央と組めば優勝だよ。』
『負けちゃったけど、来年は一緒に頑張ろうね。』
『――補欠とはいえ、メンバーに入れたんだもん。チャンスはあるよ。』
『茉央、団体で優勝目指して。私はもう、応援席から見てるから。』
過去の言葉が、いくつも、重なるように蘇る。
(……翼。あなたがいたら、私も、もっと自然にあの輪に入れてた気がするのに。)
気づけば、吹田の目元から、ぽたりと涙がこぼれていた。
(私、まだ、ちゃんと吹っ切れてないんだな……。)
声に出さず、ただ静かに頷く。
だが――その涙は、前を向くための一滴でもあった。
(大丈夫。あなたの分まで、私がこのチームで、やりきってみせるから。)
拳を握り直し、吹田は仲間たちの方へ、一歩、歩を進めた。
いよいよ、全国の頂点を懸けた本当の戦いが、その幕を上げた。
今大会は決勝まで最大で六試合。旭日中学は運にも恵まれ、女子団体戦は二回戦からの出場となった。
順当にいけば、準決勝で京都代表――豊葦原鷹籠学園中等部とぶつかる可能性があるが、その前に、豊葦原鷹籠は昨年の準優勝校・**神楽坂中等部(東京A代表)**と対戦予定であり、前評判では神楽坂優勢という見方が強かった。
とはいえ、旭日中学も楽な相手ばかりではなかった。
大会前日、最後の調整を終えた練習場にて、凍夜が部員たちを集め、ミーティングを始める。
「明日、女子の初戦だ。初戦から二回戦までは初日、三回戦から準々決勝は二日目、そして準決勝・決勝が最終日。男子団体は女子の翌日から始まり、混合団体もその次に続く。」
緊張が高まる中、凍夜の声に熱が宿る。
「だからこそ、明日は女子がチームの流れをつくる一戦になる。綾野、姫柊、桐生、高坂、桃井、吹田――全力を尽くしてくれ。」
真っ直ぐな激励に、聖奈がすっと前に出た。
「了解しました。旭日中の名に恥じぬよう、全力で戦います。咲、姫香、月華ちゃん、茜ちゃん、吹田先輩――私たちで、勝利をつかもう!」
右手を高く掲げると、他の五人も次々と手を挙げ、拳を重ねる。
「聖奈、咲、月華、茜――頑張れよ!」
恭弥が応援の声を送ったその瞬間、姫香がぴくっと反応した。
「ちょっとちょっと、弟くん! 私と吹田先輩の名前、抜けてるよね!?」
「い、いや、そんなつもりじゃ……!」
慌てて釈明する恭弥に、姫香は冬季の背中に回ってしがみつく。
「ひどくない?ねぇ、冬季~!私って仲間外れなの?可哀想じゃない?」
冬季は苦笑しながら、彼女の頭を軽くなでる。
「……恭弥。可愛い姫香を差し置くとは、なかなか大胆だな。折檻、覚悟してくれ。」
ずるずると恭弥にコブラツイストをかけると、恭弥はあっさりギブアップ。
聖奈も咲も、月華も茜も、笑いながらその様子を見守っていた。
だが――その輪の中で、ただ一人だけ、笑っていない者がいた。
吹田茉央は、遠くを見つめたまま、微動だにしない。
(……やっぱり、ここに“翼”がいないと、物足りないな。)
視線の先にいたのは誰でもない。彼女の心の奥に今も残る、引退した親友の姿だった。
(翼……。もう進路、決めたのかな。全然話せてないや……。)
胸の奥に浮かんでは消える、数々の記憶――。
『私は金山翼。よろしくね、吹田さん。』
『女子団体は、茉央と組めば優勝だよ。』
『負けちゃったけど、来年は一緒に頑張ろうね。』
『――補欠とはいえ、メンバーに入れたんだもん。チャンスはあるよ。』
『茉央、団体で優勝目指して。私はもう、応援席から見てるから。』
過去の言葉が、いくつも、重なるように蘇る。
(……翼。あなたがいたら、私も、もっと自然にあの輪に入れてた気がするのに。)
気づけば、吹田の目元から、ぽたりと涙がこぼれていた。
(私、まだ、ちゃんと吹っ切れてないんだな……。)
声に出さず、ただ静かに頷く。
だが――その涙は、前を向くための一滴でもあった。
(大丈夫。あなたの分まで、私がこのチームで、やりきってみせるから。)
拳を握り直し、吹田は仲間たちの方へ、一歩、歩を進めた。
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