恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第20章 恭弥は12天将の攻略を目指す!

バフ5倍のゲーム夫婦、リアルは修羅場。愛奈の制裁で恭弥、現実逃避。

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そこに表示されていたのは、自分にそっくりなキャラだった。
さっきの聖奈のキャラもそうだったが、このキャラも、まるで鏡を見ているように似ていた。

「……恭弥、これって……私?」

咲が静かに問いかけると、恭弥は少し気まずそうに頬をかいて、視線を逸らす。

「このゲーム、好みの子の写真とかを読み込むと、そのままキャラになるんだよ。……それで、やる気が出るっていうか。そういうシステムなんだ。だから、普通のキャラよりモチベ上がるっていうか……まあ、誰にも言ってないから、黙っててくれ。勝手に写真使ってキャラ作ったなんてバレたら、絶対バカにされるから……」

(やっべ……正直に言ったけど、やっぱ変だったか?)

咲は画面を指で操作し、キャラ選択のリストを見ていく。そこには月華、茜、姫香――見覚えのある面々が並んでいた。画面左上には「好感度」のゲージ表示。月華たちは半分程度だったが、聖奈はMAX。そして自分のキャラも確認すると、咲のゲージも同じくMAXまで振り切っていた。

「ねぇ、恭弥。この“好感度”がマックスになると、どうなるの?」

咲が問いかけると、恭弥は少し戸惑いながらも説明を始めた。

「好感度が高いと、戦闘時に“バフ”がかかるんだ。具体的には、回避率とか攻撃力、支援頻度が上がる。マックスになると、“パートナー連携”っていう特別な連携技が使えるようになったり、戦闘中に自動で回復してくれたり……何かと世話焼いてくれる仕様になってる」

「ふーん、なるほど。じゃあ、MAXになると……もう一段階強くなるんだ?」

「そう。で、最後には“絆覚醒”ってイベントが発生して、その後は能力が2倍、3倍って跳ね上がる。……ただ、それができるのは最大2人までで、発動条件は“夫婦”になること。相性の関係で、咲と聖奈が、俺とペアになったとき最も強いバフが発動する。……だから、ゲーム内では……その……結婚してる、っていう設定になってる」

(うわあ……本人目の前にして“結婚”とか……無理あるって)

咲は表情を崩さず、小さく頷いた。

「なるほど。……じゃあ、このゲームのこと、聖奈はまだ知らないんだよね?」

「うん、たぶん。」

「ふふ。じゃあ、これは私と恭弥だけの秘密ってことね。……“バフ相性最強夫婦”、いい響きじゃない?」

(秘密ってだけで、ちょっと特別感ある。……しかも、最強コンビって)

そのまま画面を眺めていた咲の指が、無意識に“好感度”の表示に触れた。次の瞬間、画面に補足説明が浮かび上がる。

――『咲 役割:妻(夫婦バフ対象) 効果:恭弥の全能力を20%引き上げ、行動後にランダム支援行動が追加発動。追加効果:×××条件達成で全効果が5倍に増幅。※この条件は既に実行済みです。』

咲はその内容を読み取り、すっと目線だけで恭弥を見る。

「……ねぇ、恭弥。この“×××”って、済……ってことは……もうゲーム上では達成済み、なの?」

恭弥は顔を赤くしながら、こくりとうなずいた。

(うああああ……その質問、いちばん言われたくないやつ……!)

咲は軽く笑って、ほんの少しだけ前へ身を乗り出す。

「じゃあさ。ゲームではもう“夫婦”ってことなら、こっちでも“×××”してみたらどう? ……バフ5倍になるなら、十二天将なんて秒で終わるかもよ?」

(ちょっとだけ冗談。……でも、恭弥の反応は見てみたい)

恭弥は慌てて体を引いて、手を振るように返す。

「いやいや、それはあくまでゲームの話であって! 現実でそんな……冗談だよな、な?」

(頼む、笑って流してくれ……!)

咲は微笑を浮かべ、ふっと肩をすくめる。

「聖奈がいない今がチャンスかもしれないじゃない。……実際に夫婦になって、バフ効果も現実に出たら、すごいと思わない?」

(ふふ……こんなからかい方、ちょっと楽しい)

咲の瞳がまっすぐに恭弥を見つめる。その視線に、恭弥は一瞬だけ目を逸らしてしまった。

(ダメだ、目を逸らせない……ってか、顔、近い……!)

その時だった。
部屋の空気がふっと冷えたように感じた瞬間、愛刀から白い光が滲み出す。
続いて、紫がかった黒の靄のようなものが揺らぎがディスプレイへと乗り移り、その中心から少女の姿が浮かび上がる。

――愛刀・愛奈。
恭弥の愛刀に宿る意識体が、画面内に冷然とした表情で姿を現した。

その瞳は、まっすぐに咲を射抜いていた。まるでその場に実体を持って立っているかのように、確かな存在感を放ちながら。

沈黙を破ったのは、鋭く澄んだ声だった。

『……やめてください。主に対して軽率すぎる。』

ピシッと音が鳴り、咲と主――恭弥の間に、目に見えない強力な結界が張られた。空気が張り詰め、一瞬でふたりの距離が断ち切られる。まるで、咲の接近そのものを根絶するかのようだった。

咲は眉をわずかに動かし、声の主を画面越しに見つめた。

『私が黙っていたのをいいことに、主に寄りかかるなんて――ずいぶんと無神経ですね。』

咲は目を細め、低く応じた。

「どうするかは、恭弥が決めることよ。私は、彼の意思を信じてるだけ。」

『主の弱点を突くような接触は、“判断”ではありません。干渉です。』

咲は何も返さなかった。ただ静かに息をつき、一歩だけ身を引いた。

恭弥は少し戸惑いながら、愛奈に向き直った。

「……愛奈、今までなんで黙っていた? どうして十二天将の交渉の時、俺のお願いを聞いてくれなかったんだ……」

『申し訳ありません、主。十二天将との契約は、清明の意思と思ってください。……今は、それ以上申し上げられません。』

愛奈は再び沈黙した。咲も突然の愛奈の割り込みで、これ以上迫るのは止めることにした。
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