恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第20章 恭弥は12天将の攻略を目指す!

最初の説得は朱雀から!――十二天将交渉マニュアル開始

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このバーチャル空間へ来てから1週間が経過した。現実世界ではまだ3分程度だ。
恭弥と咲は剣術の技術的な訓練よりも、恭弥の知識向上を優先して時間を費やした。その成果として、ようやく五行の理を理解し始めていた。

「恭弥、おさらいだけど五行のことを説明してみて。」

咲が恭弥に促すと、恭弥は自信を持って答え始めた。

「五行は木・火・土・金・水の5つから成り立つ。木は火の威力を増し、火は燃えて土となり、土は金属を生み出し、金属は凝結により水を生み、水は木を育む。これを相乗という。その一方、木は土から養分を奪い、火は金属を溶かし、土は水を吸収し、金属は木を傷つけ、水は火を消す。これを相克という。つまり、この理をどう使うかで、助けにも災いにもなる。それは人間の心と同じで、善にも悪にもなる可能性を秘めているから、その使い方を誤らないように学ぶ必要があるんだ。」

恭弥の説明に、咲は目を輝かせて称賛した。

「凄いじゃない。この1週間で本当に成長したね。ひとつ付け加えるなら、相乗も相克も時には心を鬼にして使う必要があるということ。説得が効かない相手がいて、そのままにすれば多くの人を傷つけてしまう場合、優しさゆえに心を殺してでも相手を止める必要があるの。その時は、誰に命じられるでもなく、自分で決断し、その決断に責任を持たなければいけない。たとえ間違っていてもね。」

咲の真剣な言葉に恭弥は静かに頷いた。

「一度口にした言葉は、最後まで責任を持たなければ意味がない。」

咲はその言葉に満足そうに微笑んだ。

さらに時間が経ち、バーチャル空間で1ヶ月が経過すると、恭弥は十二天将の交渉術を中心に陰陽道、十二支、季節、時間など、広範囲の知識を身に付けていった。そして十二天将の特徴を把握した上で、本格的な交渉に挑むことを決めた。

前回の失敗を踏まえ、今回は咲の助言に従って、一体ずつ交渉を進めることにした。最初の相手に選んだのは前回唯一会話が成立した炎を纏った鳥の姿――朱雀だった。

「愛奈、十二天将の『朱雀』を召喚してくれ。」

恭弥が名指しで召喚を命じると、愛奈は静かに応じ、目の前に炎に包まれた朱雀が現れた。

『ほう、今度は我の名を知った上で召喚したか。だが、お前に我を従わせられるかは別問題だぞ?』

朱雀は不敵に笑い、鋭い視線を向けた。恭弥は臆することなく深く頭を下げて願った。

「朱雀よ、あなたは十二天将の中でも最も知識が深く、南を守護する温厚な四神の一柱だと学びました。無知で未熟な私ですが、あなたの知恵をどうか貸していただけませんか。正義のため、多くの人を守るために、あなたの力が必要なのです。」

朱雀はその誠意に満ちた言葉を受け止め、厳粛な面持ちで問い返した。

『ならば問おう。汝は我の力をどのように使う? 何を成すために力を求めるのか?』

恭弥は即座に答えた。

「愛する者のため、友のため、絆を守り繋ぐためです。今の自分にできることを全力で行い、皆の幸せを願います。」

『ならばさらに問う。その力を手にして汝が暴走したとき、我が炎で汝を焼き尽くすことになっても構わぬか。その覚悟はあるか?』

朱雀の言葉には明確な威圧があったが、恭弥は揺らぐことなく強く答えた。

「その覚悟はあります。それこそが、自分で決めたことに対する責任ですから。」

その強い意志を確認すると、朱雀は静かに頷き、こう告げた。

『よろしい。ならば汝と一時の仮契約を結ぼう。十二天将全てと契約を結んだ暁には、その絆は本物となるだろう。それまでは、仮契約者として我が知恵を授けよう。』

朱雀がそう言い終えると、恭弥の持つ愛奈の柄に埋め込まれた宝玉が赤く輝き始めた。交渉は成功したのだ。

「恭弥、うまくいったの?」

咲が心配そうに尋ねると、恭弥は笑顔で答えた。

「うん、朱雀が協力してくれるって。」

咲は喜びのあまり恭弥に抱きついた。

「よかった!まずは大成功だね!早速、朱雀に次に攻略しやすそうな天将を聞いてみようよ。何か手掛かりが掴めるかもしれない。」

咲が抱きついたまま嬉しそうに提案すると、朱雀がやや戸惑った声で恭弥に尋ねた。

『汝、この娘は汝の想い人か? 少々大胆すぎるのではないか?』

恭弥は微笑みながら答えた。

「いや、俺の一番守りたい人は他にいる。咲はその次に大切な人だよ。」

朱雀は咳払いをするように小さく唸った後、慎重に忠告を述べ始めた。

『確かに、汝の心の内を覗けば、優先順位は“二番目”のようだな……だが、それはそれで刺激があるものだ。
攻略の順番を誤れば、あれを手懐けるのは難しかろう。』

朱雀が意味深に言葉を残すと、恭弥は眉をひそめて問いかけた。

「“あれ”って、誰のこと? それと俺のことは“恭弥”って呼んでくれて構わないよ。改めて、よろしくお願いしますね、朱雀さん。」

その返答に朱雀は一度頷き、落ち着いた口調で返す。

『ならば我も、気を使わず“朱雀”と呼んでくれ、恭弥。
さて、今の問いに答えよう。十二天将の中に“嫉妬神”がいる。名は――『太陰』。
あれは極めて厄介な性格でな、二股や愛人関係といった曖昧な感情の揺れを決して許さぬ。
今のお前の行動を見れば、まず間違いなく拒絶されよう。ゆえに、太陰の交渉は最後に回すべきだ。』

朱雀は咲と恭弥のやり取りを見たうえで、やや苦笑気味にそう助言を与えた。

「なるほどね……じゃあ朱雀、次は誰と交渉すればいいと思う?」

恭弥の問いに対し、朱雀は間を置かずに四人の候補を挙げた。

『そうだな。我と同じく四方を司る神々――青龍、白虎、玄武、そして“天后”だな。
順番としては、青龍 → 天后 → 白虎 → 玄武が望ましいだろう。
青龍は発展と商運を司る神。お前の正義に対する純粋な想いが、きっと奴の心に響くはず。
次に天后。彼女は癒しの女神であり、慈愛をもって人に接する。
お前の澄んだ心に、何かを感じ取るだろう。
白虎は武を極めた猛将。だが力だけではなく、精神の強さを見抜く目を持っている。
……そして最後に、玄武だ。』

そこまで語った朱雀は、突然言葉を濁した。

恭弥がその様子を見て首を傾げると、朱雀はわざとらしく咳払いをしてはぐらかすように笑った。

『まあ、玄武については心配せずともよい。
まずは青龍、天后、白虎と、順を追って心を通わせること。
その過程で、おのずと玄武の道も開けよう。はっはっはっ。』

朱雀は結局、玄武の詳細な性格について最後まで語らなかった。

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