恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

文字の大きさ
385 / 448
第21章 愛奈の正体と最後の天将、聖奈は特訓場へ到着する

心を裂くのは、愛よりも正論だった

しおりを挟む
再び静寂がリビングを包み、その静寂を遮るように、咲はぽつりと語り始めた。

帝釈天と迦楼羅に向かって、ただ自分の想いを吐き出すように、咲は話した。話の内容はまとまりのない独白のようだった。けれど、彼女の心は張り裂けそうで、何かを口にしないと、自分が壊れてしまいそうだった。

(私……どうすればいいの……? 愛されたい。でも、愛される資格があるのかさえ、分からない……)

「帝釈天と迦楼羅も……私を応援してくれないの? 離れることが恭弥のためになるの? 本当に、それしか選べないの?」

その問いかけに応えるように、迦楼羅が静かに、しかし厳しい声音で口を開いた。

『最近の主は、あの恭弥殿のことばかりで、ご自分の本来の姿を見失っておる。我は主が、我々の能力をさらに引き出すために修行を積むものだと思っていた。しかし……それは我の思い違いだったようだ。主は聖奈殿と交わした約束を胸に、強敵に立ち向かうと誓ったはず。今のままでは、朱星光月暁を手にした聖奈殿に、いずれ追い抜かれてしまう。主がその誓いを破るというなら、それは主自らを裏切るということですぞ。』

その言葉に、咲の身体がびくりと震えた。目に浮かぶのは、必死に戦う聖奈の姿。かつての自分が掲げた目標、信じてきた誓い。

「違う……私、自分に課した約束を捨てるつもりなんてない……! でも、でも……恭弥は……今、あんなにも傷ついてる。聖奈じゃなくて、私だけが今の恭弥に寄り添える……私だけが……」

(お願い、信じて……今だけは、私でないとダメなの……聖奈じゃない、今この瞬間は……)

その思いをかき消すように、今度は帝釈天が冷静に、しかし容赦なく言葉を紡いだ。

「本当にそうか? あの恭弥という小僧を支えられるのは、主だけなのか? あいつにはちゃんといるじゃねえのか。主よりもずっと、奴を深く愛している人が。」

その一言に、咲の胸が強く締めつけられた。頭の中に浮かんだのは、間違いなく聖奈だった。優しく、強く、恭弥の全てを理解しようとする、ただ一人の少女。

(……いや……聖奈の方が、ちゃんと彼を想ってる。分かってる。そんなこと……分かってるのに……)

「私は……恭弥のそばに、ただ居たいだけなの……どうすればいいの? 今まで通りでいられるには……お願い、私、何でもするから……」

咲の声は懇願にも似ていた。だが、返ってきた帝釈天の言葉は、無情だった。

「主に、あの二人の間に入る余地はない。それは残酷だが、主ももう気づいているはずだ。」

現実を突きつけられ、咲の視界が滲んだ。堪えていた感情が堰を切ったようにあふれ出し、目から涙が次々に零れ落ちた。

(私の居場所なんて、最初からなかったのかもしれない……ただ、一緒に居たかっただけなのに……それすら、私には許されないの……?)

その日、咲の涙は止まることはなかった。

そして、それ以来——咲の顔から笑顔が消え、恭弥もまた、無表情になっていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...