恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第21章 愛奈の正体と最後の天将、聖奈は特訓場へ到着する

三角関係、聖奈の来訪で揺れる――想いと“時の檻”の交差点

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「咲お嬢様、咲お嬢様に面会されたい方がここに来られております。如何されましょう?」

屋敷の使用人が、扉の外から咲に丁寧に声をかけた。

その言葉を偶然耳にした恭弥は、胸騒ぎを覚えて思わず咲のいる部屋へと駆け出した。

咲のもとへ到着したときには、すでに彼女と使用人の会話が始まっていた。

「誰? 面会者って。私、誰とも約束してないわよ? 誰なの?」

少し苛立ったように問い返す咲に、使用人は恭しく答えた。

「咲お嬢様のご友人、綾野様と名乗られる方です。どうなされますか?」

その名前を聞いた瞬間、咲の瞳が大きく見開かれた。直後に部屋へ滑り込んできた恭弥も、その場で固まる。

(どうしてこのタイミングで……。どうして、ここが分かったの?)

明らかに動揺を隠せない咲に、恭弥が声をかけようとしたそのとき、使用人が再度伺いを立てる。

「お嬢様、いかがなさいますか?」

咲は恭弥の顔を一瞬だけ見た後、小さく息を吐いて言った。

「通して。そのまま、こっちに音声を流してちょうだい。」

そう命じると、咲は恭弥の言葉を遮るように、きっぱりと言い放つ。

「恭弥、聖奈が来たわよ。よかったじゃない、これであなたは一人じゃなくなるわ。」

咲は少し笑ったが、その笑みの裏に隠された想いに気づいた者はいなかった。

「でも、聖奈にもこっちに来てもらうしかないのよ。ここからは、時間が経過しないと出られないもの。」

恭弥が何かを言いかけた、そのときだった。スピーカーから聖奈の声が響く。

『咲、そこに恭弥いる? 咲を追っていったまま連絡がないのよ。心配になって、咲の実家に電話したらここにいるって言われたの。そろそろ時間も時間だから、引き上げるように恭弥に伝えてくれない?』

その声に、咲は静かに返す。

「聖奈……。確かに恭弥はここにいるわ。でも、今すぐこのバーチャル空間からは出られないの。」

咲の声は冷静だったが、どこか挑むような響きが含まれていた。

「ここは姫柊グループが開発したタイムバーチャル。時間の流れを操作して、短い現実時間で何年分もの特訓ができる仕組みなの。」

「でもね、聖奈。そっちからなら、こっちへ来ることは可能よ。どうする? 今、私と恭弥はこっちで約二ヶ月も一緒に過ごしてるの。」

咲の言葉は、まるで聖奈の心をわざと揺さぶるようだった。

『……それは、ちょっとダメでしょう!? わかった、私、そっちに行く。どうやったらいいの?』

聖奈の声は明らかに焦っていた。使用人から説明を受けながら、すぐに準備を始める。

だが、それを制止するように、恭弥が口を開いた。

「聖奈、来るな。今は修行の時間なんだ。集中したい。だから、来るな。」

その言葉に、聖奈の声が怒気を含む。

『なにそれ? 私に来るなってことは……咲と二人きりでいたいってこと?』

『どうせ恭弥のことだから、咲に甘えて、手取り足取り、身体をくっつけながら特訓とかして、イチャイチャしてるんでしょう?』

『……私が邪魔なわけね? そうはいかないから! 今すぐ行くわよ。お説教してあげるんだから、覚悟してなさい!』

聖奈は怒りを露わにしながら、咲の使用人を急かして準備を進めていく。

一方の咲は、そのやり取りを聞いてどこか吹っ切れたように、少しだけ微笑んだ。そして、恭弥からそっと視線を逸らし、静かに部屋の奥へと歩いていった。

恭弥はその背を追おうとして、ふと立ち止まる。

(また……拒絶されたら……?)

その思いが、彼の足を止めさせた。

咲はある程度の距離を取ると、静かにその場に座り込んだ。

(私、何やってるんだろう。聖奈が来て、よかったはずなのに……。)

(聖奈だったら、きっと恭弥を癒してあげられる。私の役目は、もう終わったのに……。)

(でも、どうしてこんなに胸が苦しいの?)

咲は、自分でもわからない感情に押しつぶされそうになっていた。

(距離が開くほど、苦しくなる。聖奈が来たことで、さらに痛みが増した。来て当然なのに、私……心のどこかで拒否してる……。)

(聖奈は親友。今は、ライバル。剣術の? それとも……)

(わからない。わからないよ……。)

咲は頭を抱え、首を強く左右に振った。

その様子を、帯刀していた帝釈天と迦楼羅は黙って見つめるだけだった。
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