恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

文字の大きさ
390 / 448
第21章 愛奈の正体と最後の天将、聖奈は特訓場へ到着する

迷いの先に立っていたのは、やっぱり――聖奈だった。

しおりを挟む
恭弥は、咲の後を追えなかったことを悩んでいた。

(……俺は、なんで咲を追わなかった?)

胸の奥で、鈍い後悔が渦巻く。

(咲に避けられるのが怖かった。だけど、俺が咲に言える言葉って……心から出たものだったか? それとも、ただそばにいてほしいってだけの、安っぽい感情だったのか……。)

(そんな言葉で、咲の心が救われるなんて……思えない。俺にそんな資格、あるのか……?)

自分の気持ちさえも見失いかけていたそのとき――。

恭弥の視線の先に、見覚えのあるシルエットが見えた。
咲が、走ってくる。そのすぐ後ろに……

「聖奈……!?」

驚きが口を突いた。
彼がこの世界で誰よりも愛し、頼りにしてきた存在。まさか、こんなタイミングで――。

(どうする? 咲のこと、話さなくちゃ……)

戸惑いを隠せないまま、恭弥は立ち尽くしていた。
そんな彼に、聖奈はまっすぐ歩み寄ってくる。

「もう、恭弥。あれから全然連絡もくれないし……心配したんだからね?」

明るく言いながらも、聖奈の声にはどこか責めるような響きがあった。

「咲と一緒にいたくて黙ってたの? まあ、最近の私、ちょっとピリピリしてたから……ごめんね。でもそれはそれ!」

聖奈はぴしっと指を立てて言った。

「恭弥、咲とのこと――全部、聞かせてもらうわよ。覚悟しておいて。」

その目は冗談じゃないと語っている。
恭弥が言葉を探していると、ふっと聖奈が彼に寄り添ってきた。

「ほんと、恭弥って……いつも我慢しすぎ。そんな顔してたら、私が気づかないわけないでしょ。」

そして彼の胸に、そっと抱きつく。

「姉としても、彼女としても、頼ってくれていいんだからね。この出来の悪い義弟くん。」

その温もりに、恭弥の張りつめていたものが一気に緩んだ。
彼は、堰を切ったように聖奈に打ち明ける。

「聖奈……俺、咲を傷つけた。それに……愛奈も……。」

恭弥の声は震えていた。
聖奈は、黙って彼の言葉をすべて受け止めた。言葉なんて要らなかった。

その沈黙を破ったのは――まさかの“天将”だった。

『主よ、その綺麗な女子はどういう関係なのだ?』

騰虵の空気の読めなさに、周囲が一瞬止まった。

すると、その場に隠れていた残りの天将たちが、一斉に姿を現した。

『あなたは本当に災厄ですわね。見てわからないのですか?どう見ても、主にとって大切な人ですわ。』

大后がぴしゃりと指摘すると、朱雀も貴人も呆れたように続けた。

『騰虵、お前はもっと状況判断を学ぶべきだ。』

そして、貴人が聖奈の前に進み出て、ひときわ丁寧に頭を下げた。

『お初にお目にかかります、姫。わたくし、主に仕える十二天将の一人、貴人と申します。お見知りおきを。』

それに続き、他の天将たちも次々とひざまずいた。

「……あなたたちが、恭弥に力を貸してくれる“天将”ね。」

聖奈は驚きもせず、優しく微笑んだ。

「貴人に、朱雀。青龍、白虎、玄武、大后、六合、勾陳、大裳……そして騰虵ね。みんなのことは咲から聞いてるわ。」

そう言って、恭弥と咲をそっと自分のそばに寄せる。

「このメンバーで、残る“太陰”と“天空”を説得しに行きましょう。そのためには……」

聖奈は、咲をまっすぐ見つめて言った。

「咲、恭弥に伝えるべき言葉があるよね? そして恭弥も、咲にちゃんと話すべきことがあるはず。お互いに、今こそ……はっきりさせて。」

空気が、静かに張りつめていった。
新たな希望に向かうための、大切な一歩がそこにあった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...