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第22章 天空の本当の素顔と聖奈の覚醒
変わりゆく姿、揺れ踊る心――技の果てに
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すぐに反撃が飛んでくる。グュルランドの爪が、恭弥目掛けて振り下ろされた。その攻撃は凄まじく、アトモスフィアの壁に深くヒビが入るほどだったが――ぎりぎりのところで持ちこたえた。
それでも衝撃は大きく、壁の表面が軋む音が辺りに響く。
(まずい……あれが直撃してたら、本当に終わってた。やっぱり、こいつの破壊力は桁違いだ……!)
再展開する前に攻撃されることを恐れた恭弥は、間合いを大きく取り、体勢を立て直そうとする。
「技が効かない……でも、あれを使えれば勝てる。でも詠唱の時間が無さすぎる……どうすれば……」
(落ち着け……何かあるはずだ。これまでの動きを思い出せ……)
恭弥はここまでの戦い方を思い返し、ひとつの技を思い出した。それなら、詠唱を稼ぐぐらいの時間は稼げる。
(……よし、あれなら動きを止められる! 今しかない!)
その技の間合いに入り、再び叫ぶ。
「くらえ、エクステンションボイド・エクスプロージョン!」
放たれた技は予想通りグュルランドの動きを封じた。恭弥はすぐに詠唱を開始する。
「五行陰陽道・火・金・土・木・水・我四位を囲む五芒星に。
陰陽の影光柱を上げたり。天空に六芒星輝き、我の敵を滅ぼせ。
舞え、十二天将の軌跡・命閃光!」
クュルランドの足元に五芒星が現れ、瞬時に足を封じられた。続いて頭上に六芒星が出現し、上空からクュルランドを押さえつけた。
こうなると、クュルランドは完全に身動きが取れない。五芒星と六芒星が惹き合うようにして、クュルランドを強く締め付けていく。
完全に動きが止まったその時――
六芒星の頂点から、十二天将の光の刃が、クュルランド目掛けて鋭く貫いた。
その瞬間、クュルランドは断末魔のような咆哮を上げ、地を揺るがすほどの衝撃波が辺りに走る。
三本の角は無残に折れ、牙は捥がれ、爪は指ごと斬り落とされた。
クュルランドの全身が眩しい光に包まれ、その身体から黒い邪悪な妖気が分離した。
その妖気はまるで最後の抵抗を示すかのようにのたうち、空気を濁らせる。が、すかさず十二の光の刃がそれを捉え、正確に貫いた。
妖気は、断末魔の悲鳴すら残さず、跡形もなく消え去った。
そして、五芒星と六芒星から解放されたクュルランドの身体は、ゆっくりと変化していく。
(……まだ油断はできない。だけど――様子が違う。これは……)
光がふわりと舞い、まるで時間が止まったような静寂が広がる。
角も牙も消え失せ、その巨大な身体は小さく縮んでいった。
気づけば、そこにはまるで生まれたての猫のような――いや、神秘的な祝福を受けたかのような柔らかい毛並みの幼獣が静かに座していた。
(……マジか、子猫?)
貴人はそれを確認し、聖奈たちを守っていた結界を解いた。
『あのクュルランドをここまで改心させるとは……。これも主の力なのか?』
貴人は、静かに恭弥を見つめながらそう感じていた。
一方の恭弥や聖奈たちは、目の前のあまりに急な変化に困惑していた。
ついさっきまで咆哮を響かせて暴れまわっていた巨大な獣――グュルランドが、今はすっかり小さくなっていたのだ。
三本の角は消え、鋭い牙と爪も失われ、生まれたての仔猫のような姿に変わり果てている。その姿がふらりと近づき、恭弥の足元に身体をすり寄せるようにじゃれついた。
(……何が起きたんだ? 油断はできない。見かけだけ変わったフリって可能性も……)
恭弥はすぐに警戒を解かず、アトモスフィアの再展開に備えて身構えながらも、静かに貴人の方へと目を向けた。
対して、聖奈・咲・愛奈の三人は、結界の内側から小さくなったグュルランドの様子を眺め――そのあまりの愛くるしさに、ぽかんとしたあとで思わず口にしていた。
聖奈が結界越しに一歩前へ出て、目を見開いたまま呟く。
「……な、なにこれ……かわいい……?」
(嘘でしょ……さっきまであんなに怖かったのに……なんで…?モフモフなのよ……?こんなの…きゃわぁいしゅぎる……!)
咲は両手で頬を押さえ、信じられないといった表情で声を上げた。
「ふにゃふにゃしてるよ……!? 信じられないって!」
(あのド迫力からこの癒し系に急展開って、反則でしょ!? なにこの可愛さ……ああっ、今すぐ抱きしめたい!)
愛奈は呆然としながらも、グュルランドの姿を目で追い、ぽつりと漏らす。
「主様、あれ……すっごく可愛いです……」
(あの丸いお目々に……ちょこんとした体つき……ふわふわな毛並み……しゅりしゅりしたいよぉぉ……!)
三人とも、それぞれに混乱しながらも――結界の外で恭弥の足元に甘える幼獣の姿に、思わず笑みを浮かべていた。
(でも……優しそうな顔になってる。もう、さっきのグュルランドじゃない……)
そんな空気を感じ取った恭弥がわずかに肩の力を抜いた時、貴人が穏やかな口調で言葉を投げかけてきた。
『主殿、お見事。クュルランドには新たな命が宿りました。つまり、主殿がその邪気を払い、彼は生まれ変わったのです。……もう、人間に害をなすことはないでしょう。』
その言葉が、恭弥の中にあった最後の緊張をやわらげた。
(……そうか……俺の技は、ちゃんと通じていたんだ。力だけじゃなく、意味のある技として……)
そう思った瞬間、恭弥の口元に、ごく小さな笑みが浮かんでいた。
だが、あまりにも聖奈と咲、愛奈が今すぐにも結界の外へ飛び出さんとしているので、恭弥は違った意味を込めて思った。
(本当に大丈夫か?お前らのテンションの方が怖いんだけど……)
呆れた顔で溜息をついた
それでも衝撃は大きく、壁の表面が軋む音が辺りに響く。
(まずい……あれが直撃してたら、本当に終わってた。やっぱり、こいつの破壊力は桁違いだ……!)
再展開する前に攻撃されることを恐れた恭弥は、間合いを大きく取り、体勢を立て直そうとする。
「技が効かない……でも、あれを使えれば勝てる。でも詠唱の時間が無さすぎる……どうすれば……」
(落ち着け……何かあるはずだ。これまでの動きを思い出せ……)
恭弥はここまでの戦い方を思い返し、ひとつの技を思い出した。それなら、詠唱を稼ぐぐらいの時間は稼げる。
(……よし、あれなら動きを止められる! 今しかない!)
その技の間合いに入り、再び叫ぶ。
「くらえ、エクステンションボイド・エクスプロージョン!」
放たれた技は予想通りグュルランドの動きを封じた。恭弥はすぐに詠唱を開始する。
「五行陰陽道・火・金・土・木・水・我四位を囲む五芒星に。
陰陽の影光柱を上げたり。天空に六芒星輝き、我の敵を滅ぼせ。
舞え、十二天将の軌跡・命閃光!」
クュルランドの足元に五芒星が現れ、瞬時に足を封じられた。続いて頭上に六芒星が出現し、上空からクュルランドを押さえつけた。
こうなると、クュルランドは完全に身動きが取れない。五芒星と六芒星が惹き合うようにして、クュルランドを強く締め付けていく。
完全に動きが止まったその時――
六芒星の頂点から、十二天将の光の刃が、クュルランド目掛けて鋭く貫いた。
その瞬間、クュルランドは断末魔のような咆哮を上げ、地を揺るがすほどの衝撃波が辺りに走る。
三本の角は無残に折れ、牙は捥がれ、爪は指ごと斬り落とされた。
クュルランドの全身が眩しい光に包まれ、その身体から黒い邪悪な妖気が分離した。
その妖気はまるで最後の抵抗を示すかのようにのたうち、空気を濁らせる。が、すかさず十二の光の刃がそれを捉え、正確に貫いた。
妖気は、断末魔の悲鳴すら残さず、跡形もなく消え去った。
そして、五芒星と六芒星から解放されたクュルランドの身体は、ゆっくりと変化していく。
(……まだ油断はできない。だけど――様子が違う。これは……)
光がふわりと舞い、まるで時間が止まったような静寂が広がる。
角も牙も消え失せ、その巨大な身体は小さく縮んでいった。
気づけば、そこにはまるで生まれたての猫のような――いや、神秘的な祝福を受けたかのような柔らかい毛並みの幼獣が静かに座していた。
(……マジか、子猫?)
貴人はそれを確認し、聖奈たちを守っていた結界を解いた。
『あのクュルランドをここまで改心させるとは……。これも主の力なのか?』
貴人は、静かに恭弥を見つめながらそう感じていた。
一方の恭弥や聖奈たちは、目の前のあまりに急な変化に困惑していた。
ついさっきまで咆哮を響かせて暴れまわっていた巨大な獣――グュルランドが、今はすっかり小さくなっていたのだ。
三本の角は消え、鋭い牙と爪も失われ、生まれたての仔猫のような姿に変わり果てている。その姿がふらりと近づき、恭弥の足元に身体をすり寄せるようにじゃれついた。
(……何が起きたんだ? 油断はできない。見かけだけ変わったフリって可能性も……)
恭弥はすぐに警戒を解かず、アトモスフィアの再展開に備えて身構えながらも、静かに貴人の方へと目を向けた。
対して、聖奈・咲・愛奈の三人は、結界の内側から小さくなったグュルランドの様子を眺め――そのあまりの愛くるしさに、ぽかんとしたあとで思わず口にしていた。
聖奈が結界越しに一歩前へ出て、目を見開いたまま呟く。
「……な、なにこれ……かわいい……?」
(嘘でしょ……さっきまであんなに怖かったのに……なんで…?モフモフなのよ……?こんなの…きゃわぁいしゅぎる……!)
咲は両手で頬を押さえ、信じられないといった表情で声を上げた。
「ふにゃふにゃしてるよ……!? 信じられないって!」
(あのド迫力からこの癒し系に急展開って、反則でしょ!? なにこの可愛さ……ああっ、今すぐ抱きしめたい!)
愛奈は呆然としながらも、グュルランドの姿を目で追い、ぽつりと漏らす。
「主様、あれ……すっごく可愛いです……」
(あの丸いお目々に……ちょこんとした体つき……ふわふわな毛並み……しゅりしゅりしたいよぉぉ……!)
三人とも、それぞれに混乱しながらも――結界の外で恭弥の足元に甘える幼獣の姿に、思わず笑みを浮かべていた。
(でも……優しそうな顔になってる。もう、さっきのグュルランドじゃない……)
そんな空気を感じ取った恭弥がわずかに肩の力を抜いた時、貴人が穏やかな口調で言葉を投げかけてきた。
『主殿、お見事。クュルランドには新たな命が宿りました。つまり、主殿がその邪気を払い、彼は生まれ変わったのです。……もう、人間に害をなすことはないでしょう。』
その言葉が、恭弥の中にあった最後の緊張をやわらげた。
(……そうか……俺の技は、ちゃんと通じていたんだ。力だけじゃなく、意味のある技として……)
そう思った瞬間、恭弥の口元に、ごく小さな笑みが浮かんでいた。
だが、あまりにも聖奈と咲、愛奈が今すぐにも結界の外へ飛び出さんとしているので、恭弥は違った意味を込めて思った。
(本当に大丈夫か?お前らのテンションの方が怖いんだけど……)
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