恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第22章 天空の本当の素顔と聖奈の覚醒

指切りした目標も、マッサージも、ぜんぶ青春のうち。

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帰りの車内で、恭弥がふと聖奈に尋ねた。

「なあ、聖奈。あの技……俺のとはちょっと違うけど、魔術の類ってことでいいのか?」

聖奈はうなずきながらも、少し考えるように言った。

「うん、簡単に言えばそんな感じ。基本は一緒の原理だと思う。
ただ、日本風に捉えるか、西洋風に捉えるか……その違いかな。
私はそれを理解して、ある程度“モノにした”つもり。
でもね――恭弥が私と咲の技を止めた、あのときの力。あれだけは別物だった。
なんだろう……あったかくて、すごく幸せな感じがした。あれって、なに?」

逆に質問された恭弥は、頭をかきながら苦笑する。

「正直、俺にもよくわかんない。
あのときはほとんど無意識だった。
気づいたら、頭に浮かんだ言葉を……ただ言ってただけで。」

その答えに、聖奈はふっと微笑み、少しだけ真剣な眼差しを向ける。

「たぶんね……あれは、恭弥――ううん、“パパ”と“奏ママ”の子だから出せた力なんだと思う。
私のママは、本当は……パパの運命の相手じゃなかったって聞いたことあるの。
パパと奏ママは“神の器”と“母体”なんだって。」

その言葉に、恭弥は慌てて聖奈の口をふさいだ。

「こら、それはここで言っちゃダメ。
もし誰かに聞かれたら……特に、運転手さんとかに。」

ちらりと前席を見やると、運転手はナビに従い、黙々とハンドルを切っていた。こちらの会話は届いていないようだった。

「……まあ、確かに母さんと“聖歌母さん”は違うけど、別にそれがどうって話でもないし。
でも――今回のことで、俺にも可能性があるかもしれないって思った。」

「可能性?」

聖奈が聞き返すと、恭弥は笑って言った。

「そう。俺も――去年の聖奈みたいに、個人戦で優勝する。
それが俺の目標。……いや、正確に言えば――聖奈が俺の目標なんだ。
あのときの聖奈みたいに、強くて、かっこよくて、誰よりもまっすぐな――
そんなふうに戦えるようになりたいんだ。」

その言葉に、聖奈も少し照れながら笑った。

「でも私、もう負けちゃったよ?連勝も止まったし……
そんな私が、恭弥の目標になってていいの?」

聖奈の自虐混じりの言葉に、恭弥は力強く答えた。

「関係ない。聖奈は、俺の中じゃずっと最強なんだよ。
負けたって、あれは団体戦。しかも研究に研究を重ねられての結果だろ?
でも今の聖奈は、その研究を超えて、さらに強くなってる。
だからさ――今年も、個人優勝を目指そうぜ。二人で。」

そう言って、恭弥が笑いかけると、聖奈もはにかみながら笑って、小指を差し出した。

「じゃあ……約束ね。」

「……これ、指切り?」

「そう。こっちのほうが、ちゃんと“約束した”って言えるでしょ。」

恭弥も小指を絡め、口に出した瞬間、聖奈が慌てて口を挟む。

「 “嘘ついたら”のあと、どうせまた変なことは言うのなしだからね!もし言っても、却下、却下っ!」

聖奈はそう言って、ぷいっと目を逸らしながらも、小指だけはしっかりと差し出した。

「何言ってんだよ。そんなこと言うわけないだろ?いいかやるぞ!」

恭弥は仕切り直しをした。

「指切りげんまん、嘘言ったら……」

今度は、聖奈が口にしようとした瞬間、恭弥が先に言葉を被せた。

「――聖奈が俺の嫁さんになって、何でも言うことを聞くこと。指切った。」

恭弥の約束に聖奈は―—。

「えぇ~それダメ。何でもはダメ~! ダメに決まってるでしょ!? 
だったら私だって――恭弥をお婿さんにして、私の言うこと全部聞かせるんだから!」

でも恭弥は普通の顔をして頷いた。

「それでもいい。約束は約束だし、指切ったし。嘘でも俺は聖奈を、聖奈は俺を自由に出来るって
意味だよな。」

恭弥は笑顔で答えると、照れながら聖奈はぽつりと言った。

「……バカ。」

二人は笑いながら、家の近くで車を降ろしてもらう。

「玄関まで送ります」と言う運転手を制して、少しだけ歩きながら帰ると伝えるとしぶしぶ運転手は二人を降ろす。

歩道を歩いていると、恭弥がふと思い出したように聞いた。

「そういえばさ、聖奈が特訓してたとき、咲のメイドさんが言ってたんだけど――
なんか“夜だけバイタルが乱れてた”らしいんだよな。
昼間と同じくらいの乱れ方だったって。何してたの?」

聖奈の表情が一瞬で固まる。

「そ、それは……寝る前の軽い運動……よ?そうストレッチだよ……。」

「ふーん。 リフレッシュできた?」

「……っ! な、なんでそんなこと聞くのよ……!」

聖奈は顔を真っ赤にしながら、恭弥を見ないようにしてごまかそうとする。
だが、恭弥はにやりと笑って一歩近づいた。

「だってさ……一晩だけバイタルが乱れてるなんて、意味深すぎるでしょ?
咲のメイドさんも“理由は不明”って困ってたし。」

聖奈がビクリと肩を揺らす。

「そ、それは……その……ただストレッチをして……ちゃんと汗かいてただけ! 深い意味なんてないんだからっ!」

「ふーん。汗ねぇ……そんなに動くようなこと、してたんだ?」

「っ……!」

恭弥は顔をぐっと近づけ、耳元でささやく。

「ねえ、本当は何してたの?」

「……っ!? 恭弥、あなた……⁉」

「なに?」

ニヤリととぼける恭弥に、聖奈はみるみる真っ赤になって――

「この……意地悪ぅっ!そんな子には――こう!」

聖奈が脇をくすぐると、恭弥もすかさず反撃に入る。

「やったな。じゃあ俺は――ここを攻撃だ!」

「ちょっと、恭弥! そこ反則っ……! もう、変なことばっかして……!」

聖奈が恥ずかしそうに身をよじると、恭弥がニヤリと笑って言った。

「じゃあこれからは、俺が代わりにマッサージしてやるよ?。」

聖奈は表情がにこやかになり、そっと囁いた。

「……じゃあ、お願い……♡」

その瞬間――

玄関のドアが勢いよく開いた。

「何時だと思ってるの!? 11時よ、11時!」

玄関に立っていたのは母の奏だった。そしてすぐ隣には朝陽の姿。

「こんなに遅くなって、どういうつもり?」

朝陽の冷たい声に、後ろで凪沙と恭歌が無言で頷き、
聖夜たちは耳を塞いで二階へ避難していった。

「二人とも、まずは中へ入りなさい。……後でしっかり話を聞きます。
お風呂、先に済ませておいてね?」

奏の圧に押され、青ざめながらも家へ入る二人。
けれど――

手だけは、しっかりと繋いだままだった。
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