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第23章 男子団体3回戦 レグルスを打ち倒せ
午後試合の悲劇!控室で缶詰されたら……妄想フルスロットルだけです⁉
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恭弥たち旭日中学の男子団体戦――三回戦は、当日の六試合目に組まれていた。
女子団体と違って、男子戦ではバーチャルとは思えないほどの大技・衝突・転倒が日常茶飯事。さすがの高度演算システムも、試合ごとにメンテナンスが必要になる。
しかもこの三回戦からは、全国のシード校がいよいよ参戦。トラブルを未然に防ぐためにも、試合は午前と午後で明確に分けられ、当日朝に抽選で順番が決定された。
結果――旭日中学は午後組。要するに、朝からずっと暇。
「折角、早起きして来たってのによぉ。抽選だけやって“はい、午後ね”って……ついてねえ。」
影山が不満たっぷりにぼやきながら、どら焼きをひとつ頬張った。
「しかも、控え室で缶詰とか。まるで食材じゃねぇか、俺たち。」
「仕方がない。抽選はそれがルールだ。」
主将の凍夜は相変わらずの淡々口調で答えたが、影山はスポーツドリンクを飲み干し、ペットボトルをゴミ箱に放り投げながら続けた。
「抽選はルールでも、缶詰は想定外だろ。
これだって、あの王様気取りの金髪野郎のせいだよな。レグルスさえ騒がなけりゃ、今頃女子組とワイワイ過ごせたのによ。綾野とか姫柊とか桐生とか……あと月華ちゃんに茜ちゃん……」
急に名前を挙げるペースがゆっくりになったのは、想像がふくらみすぎたせいかもしれない。
――――『もう、影山先輩ったら……お茶目さんなんだから……でも私……そ・ん・な・先輩好きですよ!
わぁ~言っちゃった……恥ずかしい……。』
頬を染めながら月華が影山に告ると、咲が割り込んでくる。
『やっぱり、恭弥と比べると、先輩は頼りになる~。
恭弥は聖奈にあげて、私は影山先輩と……一緒に・・・。』――――
「なんて……そんな風に言われたら、俺もう本気にしてしまうわ!いや……そうなって欲しい!」
咲は月華と影山の両腕を引っ張り合う姿を想像して、思わず影山がニヤけながら口にした。
「……影山先輩、欲望がダダ漏れですよ。それに月華と姫柊先輩は……そんなこと絶対しない。姫柊先輩はともかく、少なくとも月華がそんなことしたら、俺がキレますよ。」
月詠が真顔で突っ込むと、室内に一瞬だけ沈黙が流れた。
影山は手の中のどら焼きをじっと見つめてから、再び語りだす。
「……しゃーねーだろ。妄想を生きがいにする男子中学生だからよ。それが男ばかりで、愚痴も言いたくなるわ!」
影山の理想と愚痴に、月詠は苦笑いをしてツッコミを入れた。
「先輩、確かに言っていることはよくわかりますが、まずは試合に出て勝たないと、女の子にはモテないと思います。先輩は、それに……今、補欠だし……。」
つい、本音を言ってしまった月詠に、影山が飲みかけていた2本目のスポーツドリンクを――
「ぶふっっっ!!」
と、まさかの豪快スプレー。
その飛沫は、目の前にいた恭弥のジャージの胸元を直撃した。
「……うわっ、冷たっ!! 何すんだよ、影山先輩!!」
恭弥がびしょ濡れの胸元を押さえて仰け反ると、影山は目をひん剥きながら月詠をにらみつけた。
「つっ……月詠……てめぇ……喧嘩売ってんのか……?」
握りしめたペットボトルから、最後の一滴がポタリと落ちた。
その場に緊張が走った、かと思いきや――
「すみません! 影山先輩、深く反省してますので、では僕はこれで!」
月詠はそのままシャドーに入っていた凍夜の背後を器用にすり抜けると、壁沿いにピューッと距離を取った。
「……あいつ、逃げ慣れてんな。」
影山が呆れ混じりにドリンクの空ボトルを握りしめ、恭弥は濡れた胸元を振りながら答えた。
「それは、月華にいつも怒られていますから……ね。タオル、誰か……取ってくれない?」
恭弥は、冬季からタオルを受け取ると拭き始めた。
今回、旭日中学の控え室が“別館缶詰仕様”になったのは、対戦相手・ノーヴィス・エイシィル学園中等部にレグルスが所属しているからだった。
今朝の騒動を受け、運営が試合直前までの接触を禁止。別室の控え室に隔離されるという、前代未聞の処置となった。
この控え室は選手専用予備室で、本来は滅多に使われていない。今朝の事で選手以外の立ち入りは禁止になった。
だが唯一、練習用のバーチャル空間と繋がっており、体を動かしたりウォーミングアップするには十分な設備が揃っている。
「……それにしても、あの野郎、ウザすぎんだろ。何であんなのが国の王なんだよ。
絶対そのうちクーデター起きるぞ。俺がその国の兵士だったら、3日で反旗翻すわ。」
バーチャル空間に移動して、軽くシャドーを始めた影山がそう毒づいた。
「いや先輩、もう三年前にクーデターは起きてますね。」
月詠が柔軟運動をしながら返す。
「……へ?」
「で、あのレグルスが国民投票で王位に選ばれたらしいです。満場一致で。」
「うっそだろ!? ……満場一致って……おいおい、その国、大丈夫かよ……。」
影山がそう毒づくと、今朝の事を思い出したのか、少し離れていたところで、日下部とストレッチしていた冬季が、影山と月詠の会話に割り込んできた。
「前の王が相当ひどかったらしいけど……政策だけ見れば有能って評判だって。
レグルスは性格クズだし、まあ、姫香に手を出したことだけは、絶対に許さねぇけどな。」
最後の一言に、冬季の口元がピクリとゆがんだ。
怒りとも嫉妬ともつかない感情が、そこには確かにあった。
傍らで黙っていた恭弥と月詠も、視線を交わす。
どちらも無言のままだったが、その目には明らかな“闘志”が宿っていた。
午後の試合。
それはただの三回戦ではない。
少なくとも、彼らにとっては――あの男に、すべての“ケジメ”をつける戦いだった。」
女子団体と違って、男子戦ではバーチャルとは思えないほどの大技・衝突・転倒が日常茶飯事。さすがの高度演算システムも、試合ごとにメンテナンスが必要になる。
しかもこの三回戦からは、全国のシード校がいよいよ参戦。トラブルを未然に防ぐためにも、試合は午前と午後で明確に分けられ、当日朝に抽選で順番が決定された。
結果――旭日中学は午後組。要するに、朝からずっと暇。
「折角、早起きして来たってのによぉ。抽選だけやって“はい、午後ね”って……ついてねえ。」
影山が不満たっぷりにぼやきながら、どら焼きをひとつ頬張った。
「しかも、控え室で缶詰とか。まるで食材じゃねぇか、俺たち。」
「仕方がない。抽選はそれがルールだ。」
主将の凍夜は相変わらずの淡々口調で答えたが、影山はスポーツドリンクを飲み干し、ペットボトルをゴミ箱に放り投げながら続けた。
「抽選はルールでも、缶詰は想定外だろ。
これだって、あの王様気取りの金髪野郎のせいだよな。レグルスさえ騒がなけりゃ、今頃女子組とワイワイ過ごせたのによ。綾野とか姫柊とか桐生とか……あと月華ちゃんに茜ちゃん……」
急に名前を挙げるペースがゆっくりになったのは、想像がふくらみすぎたせいかもしれない。
――――『もう、影山先輩ったら……お茶目さんなんだから……でも私……そ・ん・な・先輩好きですよ!
わぁ~言っちゃった……恥ずかしい……。』
頬を染めながら月華が影山に告ると、咲が割り込んでくる。
『やっぱり、恭弥と比べると、先輩は頼りになる~。
恭弥は聖奈にあげて、私は影山先輩と……一緒に・・・。』――――
「なんて……そんな風に言われたら、俺もう本気にしてしまうわ!いや……そうなって欲しい!」
咲は月華と影山の両腕を引っ張り合う姿を想像して、思わず影山がニヤけながら口にした。
「……影山先輩、欲望がダダ漏れですよ。それに月華と姫柊先輩は……そんなこと絶対しない。姫柊先輩はともかく、少なくとも月華がそんなことしたら、俺がキレますよ。」
月詠が真顔で突っ込むと、室内に一瞬だけ沈黙が流れた。
影山は手の中のどら焼きをじっと見つめてから、再び語りだす。
「……しゃーねーだろ。妄想を生きがいにする男子中学生だからよ。それが男ばかりで、愚痴も言いたくなるわ!」
影山の理想と愚痴に、月詠は苦笑いをしてツッコミを入れた。
「先輩、確かに言っていることはよくわかりますが、まずは試合に出て勝たないと、女の子にはモテないと思います。先輩は、それに……今、補欠だし……。」
つい、本音を言ってしまった月詠に、影山が飲みかけていた2本目のスポーツドリンクを――
「ぶふっっっ!!」
と、まさかの豪快スプレー。
その飛沫は、目の前にいた恭弥のジャージの胸元を直撃した。
「……うわっ、冷たっ!! 何すんだよ、影山先輩!!」
恭弥がびしょ濡れの胸元を押さえて仰け反ると、影山は目をひん剥きながら月詠をにらみつけた。
「つっ……月詠……てめぇ……喧嘩売ってんのか……?」
握りしめたペットボトルから、最後の一滴がポタリと落ちた。
その場に緊張が走った、かと思いきや――
「すみません! 影山先輩、深く反省してますので、では僕はこれで!」
月詠はそのままシャドーに入っていた凍夜の背後を器用にすり抜けると、壁沿いにピューッと距離を取った。
「……あいつ、逃げ慣れてんな。」
影山が呆れ混じりにドリンクの空ボトルを握りしめ、恭弥は濡れた胸元を振りながら答えた。
「それは、月華にいつも怒られていますから……ね。タオル、誰か……取ってくれない?」
恭弥は、冬季からタオルを受け取ると拭き始めた。
今回、旭日中学の控え室が“別館缶詰仕様”になったのは、対戦相手・ノーヴィス・エイシィル学園中等部にレグルスが所属しているからだった。
今朝の騒動を受け、運営が試合直前までの接触を禁止。別室の控え室に隔離されるという、前代未聞の処置となった。
この控え室は選手専用予備室で、本来は滅多に使われていない。今朝の事で選手以外の立ち入りは禁止になった。
だが唯一、練習用のバーチャル空間と繋がっており、体を動かしたりウォーミングアップするには十分な設備が揃っている。
「……それにしても、あの野郎、ウザすぎんだろ。何であんなのが国の王なんだよ。
絶対そのうちクーデター起きるぞ。俺がその国の兵士だったら、3日で反旗翻すわ。」
バーチャル空間に移動して、軽くシャドーを始めた影山がそう毒づいた。
「いや先輩、もう三年前にクーデターは起きてますね。」
月詠が柔軟運動をしながら返す。
「……へ?」
「で、あのレグルスが国民投票で王位に選ばれたらしいです。満場一致で。」
「うっそだろ!? ……満場一致って……おいおい、その国、大丈夫かよ……。」
影山がそう毒づくと、今朝の事を思い出したのか、少し離れていたところで、日下部とストレッチしていた冬季が、影山と月詠の会話に割り込んできた。
「前の王が相当ひどかったらしいけど……政策だけ見れば有能って評判だって。
レグルスは性格クズだし、まあ、姫香に手を出したことだけは、絶対に許さねぇけどな。」
最後の一言に、冬季の口元がピクリとゆがんだ。
怒りとも嫉妬ともつかない感情が、そこには確かにあった。
傍らで黙っていた恭弥と月詠も、視線を交わす。
どちらも無言のままだったが、その目には明らかな“闘志”が宿っていた。
午後の試合。
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少なくとも、彼らにとっては――あの男に、すべての“ケジメ”をつける戦いだった。」
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