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第23章 男子団体3回戦 レグルスを打ち倒せ
勝敗を分けた警告ルール――運命を変えた引き分け
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カムイはノーヴィス・エイシィル国の王子だ。
長年の夢だった「日本で剣術を学ぶこと」を実現するため、父である国王に直訴し、ようやく今年、その夢が叶った。
外国の学園がこうして日本の大会に出場できるのは異例中の異例。だが、それだけに国の威信をかけて臨んでいた。
参加にあたっては莫大な資金が必要で、カムイはレグルスに資金援助を依頼していた。だが、そのレグルスがチームの和を乱すような行動を取るのなら……その支援すら断っても構わないと考えるようになっていた。
だがそれは同時に、ノーヴィス・エイシィル学園中等部にとって、日本での活動が完全に閉ざされることを意味していた。
(ここで終われば、仲間たちの夢も潰えるかもしれない……)
だからこそ、カムイは今までレグルスの行動を見過ごしてきた。だが、今回の件でついに覚悟を決めた。
「さあ、みんな。夢を叶えよう。後悔のない試合にしよう。」
そう言って、カムイは仲間たちを静かに送り出した。
主審が舞台中央に立つ。
「これより先鋒戦を開始します。旭日中学、先鋒・日下部君。ノーヴィス・エイシィル学園中等部、ノーマン・ジーク君、前へ。」
日下部とノーマン・ジークが中央へ歩み出る。
お互いに一礼し、主審が注意事項を伝えた。
「この試合には警告が出されています。引き分けの場合、旭日中学にポイントが入ります。ただし、わざと引き分けを狙う行為が認められた場合、ノーヴィス・エイシィル学園中等部の優勢勝ちとします。正々堂々と戦ってください。」
その言葉に、日下部は真剣な面持ちでうなずいた。
そして、両者はバーチャル空間へと移動する。
主審が合図を出す。
「先鋒戦、始め!」
戦いが始まった。
まずは牽制し合う両者。静かな立ち上がりの中、先に動いたのはノーマン・ジークだった。
「我が祖国の誇りをかけていくぞ……スカーレット・フェレミング!」
真紅の衝撃波が日下部を襲う。
紙一重でそれを避けた日下部は、すぐさま反撃に出る。
しかし――ノーマン・ジークは笑みを浮かべ、動こうとすらしない。
「隙あり。川縦割り!」
日下部が技を繰り出そうとした、その瞬間。
不意に背中に激痛が走る。
「ぐっ……な、なんだ……!?」
混乱したまま立ち上がる日下部。
だが再び背中から斬撃を受け、今度は膝から崩れ落ちた。
(何が起きてるんだ……!?)
防御に徹しようとした日下部の前へ、ノーマン・ジークが現れる。
「分かるまい。気づいた時にはもう、負けている。」
言葉と同時に斬りかかってくる。
だが――またしても背中からの一撃。
(……わからん。何がどうなってる?)
その様子を見ていた旭日のベンチ。
真っ先に凍夜が異変に気づいた。
「……分かった。あれはフェイクだ。最初の攻撃がすべてだったんだ。」
「フェイク……?」
恭弥が問いかける。
凍夜は、手振りを交えて説明する。
「最初の“スカーレット・フェレミング”で、本物のノーマン・ジークはすでに背後へ移動してた。今、日下部が見ているのは残像か幻影だ。」
「……ってことは、日下部が前方に集中すればするほど、背中が無防備になる……!」
「その通り。攻撃が来るたびに、前に意識を引きつけられて、背後を突かれる。あれが“スカーレット・フェレミング”の正体だ。」
観客席では気づかぬまま、試合は進む。
試合中に声は届かない――それがバーチャル空間での戦いのルールだ。
観客の中には、興奮した声も上がる。
「さすが優勝候補の先鋒! 見事に相手を翻弄してるな!」
「旭日は女子はすごいけど、男子はやっぱり経験不足か……?」
会場の空気はノーヴィス・エイシィル学園優勢という意見で固まりつつあった。
だが、旭日の応援席は違った。
「日下部、頑張って! ああ、また後ろからだ……!」
今田の叫びに、佐々木も懸命に声を張り上げる。
そんな中――試合時間が残り1分を切ったところで、日下部がふと気づく。
(そうか……攻撃は全部、背中から。だったら――逆を突くしかない!)
そして、前方の幻影が動いた瞬間。
日下部は前方の攻撃をあえて無視し、体を反転させて背後に構える。
「奥義――一点集中兜割!」
渾身の一撃が、背後にいた本物のノーマン・ジークを捉える。
だがその代償に、ノーマン・ジークの攻撃も正面から命中し――
両者、同時にバーチャル空間から消失した。
「両者、相打ち。よって引き分け――勝者、旭日中学・日下部君!」
主審の宣言に、会場がざわついた。
「え? 引き分けなのに勝者は旭日?」
「どう見ても、ノーヴィスの方が押してただろ!」
観客の不満も出る中、結果は覆らない。
これは、レグルスの最初の反則によって定められた“特別ルール”だった。
引き分けは旭日の勝利――この条件が、最後にものを言った。
まさに、粘り勝ちだった。
こうして、男子団体戦の先鋒戦は、旭日中学が先制する形で幕を開けた。
長年の夢だった「日本で剣術を学ぶこと」を実現するため、父である国王に直訴し、ようやく今年、その夢が叶った。
外国の学園がこうして日本の大会に出場できるのは異例中の異例。だが、それだけに国の威信をかけて臨んでいた。
参加にあたっては莫大な資金が必要で、カムイはレグルスに資金援助を依頼していた。だが、そのレグルスがチームの和を乱すような行動を取るのなら……その支援すら断っても構わないと考えるようになっていた。
だがそれは同時に、ノーヴィス・エイシィル学園中等部にとって、日本での活動が完全に閉ざされることを意味していた。
(ここで終われば、仲間たちの夢も潰えるかもしれない……)
だからこそ、カムイは今までレグルスの行動を見過ごしてきた。だが、今回の件でついに覚悟を決めた。
「さあ、みんな。夢を叶えよう。後悔のない試合にしよう。」
そう言って、カムイは仲間たちを静かに送り出した。
主審が舞台中央に立つ。
「これより先鋒戦を開始します。旭日中学、先鋒・日下部君。ノーヴィス・エイシィル学園中等部、ノーマン・ジーク君、前へ。」
日下部とノーマン・ジークが中央へ歩み出る。
お互いに一礼し、主審が注意事項を伝えた。
「この試合には警告が出されています。引き分けの場合、旭日中学にポイントが入ります。ただし、わざと引き分けを狙う行為が認められた場合、ノーヴィス・エイシィル学園中等部の優勢勝ちとします。正々堂々と戦ってください。」
その言葉に、日下部は真剣な面持ちでうなずいた。
そして、両者はバーチャル空間へと移動する。
主審が合図を出す。
「先鋒戦、始め!」
戦いが始まった。
まずは牽制し合う両者。静かな立ち上がりの中、先に動いたのはノーマン・ジークだった。
「我が祖国の誇りをかけていくぞ……スカーレット・フェレミング!」
真紅の衝撃波が日下部を襲う。
紙一重でそれを避けた日下部は、すぐさま反撃に出る。
しかし――ノーマン・ジークは笑みを浮かべ、動こうとすらしない。
「隙あり。川縦割り!」
日下部が技を繰り出そうとした、その瞬間。
不意に背中に激痛が走る。
「ぐっ……な、なんだ……!?」
混乱したまま立ち上がる日下部。
だが再び背中から斬撃を受け、今度は膝から崩れ落ちた。
(何が起きてるんだ……!?)
防御に徹しようとした日下部の前へ、ノーマン・ジークが現れる。
「分かるまい。気づいた時にはもう、負けている。」
言葉と同時に斬りかかってくる。
だが――またしても背中からの一撃。
(……わからん。何がどうなってる?)
その様子を見ていた旭日のベンチ。
真っ先に凍夜が異変に気づいた。
「……分かった。あれはフェイクだ。最初の攻撃がすべてだったんだ。」
「フェイク……?」
恭弥が問いかける。
凍夜は、手振りを交えて説明する。
「最初の“スカーレット・フェレミング”で、本物のノーマン・ジークはすでに背後へ移動してた。今、日下部が見ているのは残像か幻影だ。」
「……ってことは、日下部が前方に集中すればするほど、背中が無防備になる……!」
「その通り。攻撃が来るたびに、前に意識を引きつけられて、背後を突かれる。あれが“スカーレット・フェレミング”の正体だ。」
観客席では気づかぬまま、試合は進む。
試合中に声は届かない――それがバーチャル空間での戦いのルールだ。
観客の中には、興奮した声も上がる。
「さすが優勝候補の先鋒! 見事に相手を翻弄してるな!」
「旭日は女子はすごいけど、男子はやっぱり経験不足か……?」
会場の空気はノーヴィス・エイシィル学園優勢という意見で固まりつつあった。
だが、旭日の応援席は違った。
「日下部、頑張って! ああ、また後ろからだ……!」
今田の叫びに、佐々木も懸命に声を張り上げる。
そんな中――試合時間が残り1分を切ったところで、日下部がふと気づく。
(そうか……攻撃は全部、背中から。だったら――逆を突くしかない!)
そして、前方の幻影が動いた瞬間。
日下部は前方の攻撃をあえて無視し、体を反転させて背後に構える。
「奥義――一点集中兜割!」
渾身の一撃が、背後にいた本物のノーマン・ジークを捉える。
だがその代償に、ノーマン・ジークの攻撃も正面から命中し――
両者、同時にバーチャル空間から消失した。
「両者、相打ち。よって引き分け――勝者、旭日中学・日下部君!」
主審の宣言に、会場がざわついた。
「え? 引き分けなのに勝者は旭日?」
「どう見ても、ノーヴィスの方が押してただろ!」
観客の不満も出る中、結果は覆らない。
これは、レグルスの最初の反則によって定められた“特別ルール”だった。
引き分けは旭日の勝利――この条件が、最後にものを言った。
まさに、粘り勝ちだった。
こうして、男子団体戦の先鋒戦は、旭日中学が先制する形で幕を開けた。
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