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20.イシ、ステルナ
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そして次の日の夜中。果たしてぼくは昨日と同じような胸苦しさに目覚めた。意識がさめているのに手足が全く動かない。きたー、金縛り。こんな時火事になったらどうするんだろう? 全く迷惑きわまりない、と思いつつ、ぼくは呪文を唱えた。
「何か言いたいことがあるのですか?」
するとまるで水の中で聞いているようなコポコポという雑音にまじって、聞き取りにくい言葉の断片のようなものが聞こえてきた。
「…ズコーッ…イシ…ズコーッ…イシ…」
え? イシ?
「…イシ…ズコーッ…ステナイデ…」
「いし? すてないで?」
「…イシ…ステナイデ…ズコーッ」
なんだ? イシって。人の名前かなんか?つまり、この人はイシとかいう人にふられてそれが悲しくて自殺でもして、それで迷って今も捨てないでと恨み言を言いたいがために幽霊になって出てきたのかな。
「チガウ…イシ…ステナイデ…ズコーッ」
え? 違うって? じゃあ、医師、見捨てないでかな? つまり、不治の病で、お医者さんに見離されて死んだんだけれど、見捨てないでほしかった、助かりたかった、と、こういうことかな。
「チガウ…イシ…ズコーッ…イシ…ステルナ!」
イシ、ステルナ!・・・はて?・・・意思、捨てるな!かな? これってぼくに対するメッセージかな。ぼくがあんまり意思が弱いので、激励にきた…とすると、この人はぼくの守護霊様かなにか?
「ズコーッ…ザ・ザ・ザ・ザ・ザ・ザ」
雑音が、突然映らなくなったテレビみたいな音にかわった。いつの間にか金縛りは解けていた。それじゃ「意思、捨てるな!」は当たりかなと思ってあたりを見回した。すると、布団の上のやや上空にもやっとした灯りが浮かんでいるのが見えた。
「すまんのう、うちのぼうずは頭が悪くて」
いつのまにか座敷オヤジもあらわれて、もやっとした灯りに向かってそんなことを言っている。
頭が悪いってぼくのこと?
「イシとは石のことじゃよ。なんで素直に、石を捨てるな、と解釈してやらんのじゃ」
えー?石を捨てるなだって?そんなことを言いに出てきたの? 人を金縛りにまでして!
それに石を捨てるなって言ったって、ぼく石なんか持ってないし、何が言いたいんだよ。
「イシ・・・ステナイデ・・・イシ・・・ステルナ」
そいつは気を取り直したらしく、またイシ、ステナイデを繰り返した。
だから、その石ってなんだよ。
すると座敷オヤジが見かねて通訳を買って出た。
「なんでも、この家のどこかに石がしまってあるそうじゃ。それを捨てないでくれということらしい。ほれ、ママが 納戸や物置の整理を始めたろう。それで心配になって出てきたみたいじゃ」
「じゃあ、その石はどこにある石なの?」
「オシイレ・・・ズコーッ・・・ハコノナカ・・・」
オシイレって言ったってたくさんあるよ。
「ヘヤ・・・オシイレ・・・ズコーッ・・・」
さっきは座敷オヤジがぼくのことを頭が悪いと言ったけど、頭が悪いのはこいつの方じゃないの? もうちょっとマシな説明ができないのだろうか。と、ぼくは言いかけて、ひらめいたものがあった。
お手伝いさんが言っていたあれ!
『これは捨てられませんね。ずっと大事に持ってなきゃね。はい、だから、この押入れの隅のほうにね。ええと掃除機』
「八畳の部屋の押し入れの中!」
するとそいつは灯りを明滅させて、当たり!というようなリアクションを見せた。
「そうか、行ってみよう!」と座敷オヤジ。
ちょっと待って、行ってみようって、これから? 今何時だと思ってるの?
「草木も眠る丑三つ時。頃合な時間じゃ」
「頃合って、普通、良い子の小学生は寝ている時間じゃないか」
「我らにとっては活動しやすい時間なんじゃ。すまんが一緒に来てくれ」
ぼくはぼくの意思をステさせられた。また押し切られてしまった。
隣の8畳の部屋は、お手伝いさんが押し入れのものをいったん外に出したもんだから、一層の混乱を極めていた。
しかし、かの幽霊さんは我々を先導し、迷わず押し入れの一番おくにポツンとおいてある箱を示した。箱といってもあまり上等な箱ではなかった。古びた木の箱で、それには古色蒼然とした真田紐がかけられていた。さいわい、昨日お手伝いさんが一度開けたためか、紐は蝶結びになって解きやすかった。
あけてみると、何のことはない、漬物石のようなものが一つ、ころんと入っていた。
ぼくはいかにも希少価値のありそうな怪しげな石を想像していたので拍子が抜けた。
「なにこれ?」
「メジルシヨ・・・ズコーッ」
「メジルシ?」
その時、聞き覚えのあるきつい声がした。
「そこにいるの誰?!」
おばさんだった。ぼくは内心、笑ってしまった。なぜなら、おばさんは頭に鉢巻を締めて、そこに懐中電灯をさし、金属バットを持って現れたからだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
余談
カタカナが多くて、読みづらかったことと思います。それに、なんだ?この片言と雑音は?と思われたかも知れません。
私が持っているスピリチュアルの知識によると、霊能力のある人に、霊が初めてコンタクトをとるときは結構片言のようなんです。それはこの世とコンタクトを取るのが不慣れなためと言葉の問題があるらしいのです。
それを、カタカナで表現してみました。
「何か言いたいことがあるのですか?」
するとまるで水の中で聞いているようなコポコポという雑音にまじって、聞き取りにくい言葉の断片のようなものが聞こえてきた。
「…ズコーッ…イシ…ズコーッ…イシ…」
え? イシ?
「…イシ…ズコーッ…ステナイデ…」
「いし? すてないで?」
「…イシ…ステナイデ…ズコーッ」
なんだ? イシって。人の名前かなんか?つまり、この人はイシとかいう人にふられてそれが悲しくて自殺でもして、それで迷って今も捨てないでと恨み言を言いたいがために幽霊になって出てきたのかな。
「チガウ…イシ…ステナイデ…ズコーッ」
え? 違うって? じゃあ、医師、見捨てないでかな? つまり、不治の病で、お医者さんに見離されて死んだんだけれど、見捨てないでほしかった、助かりたかった、と、こういうことかな。
「チガウ…イシ…ズコーッ…イシ…ステルナ!」
イシ、ステルナ!・・・はて?・・・意思、捨てるな!かな? これってぼくに対するメッセージかな。ぼくがあんまり意思が弱いので、激励にきた…とすると、この人はぼくの守護霊様かなにか?
「ズコーッ…ザ・ザ・ザ・ザ・ザ・ザ」
雑音が、突然映らなくなったテレビみたいな音にかわった。いつの間にか金縛りは解けていた。それじゃ「意思、捨てるな!」は当たりかなと思ってあたりを見回した。すると、布団の上のやや上空にもやっとした灯りが浮かんでいるのが見えた。
「すまんのう、うちのぼうずは頭が悪くて」
いつのまにか座敷オヤジもあらわれて、もやっとした灯りに向かってそんなことを言っている。
頭が悪いってぼくのこと?
「イシとは石のことじゃよ。なんで素直に、石を捨てるな、と解釈してやらんのじゃ」
えー?石を捨てるなだって?そんなことを言いに出てきたの? 人を金縛りにまでして!
それに石を捨てるなって言ったって、ぼく石なんか持ってないし、何が言いたいんだよ。
「イシ・・・ステナイデ・・・イシ・・・ステルナ」
そいつは気を取り直したらしく、またイシ、ステナイデを繰り返した。
だから、その石ってなんだよ。
すると座敷オヤジが見かねて通訳を買って出た。
「なんでも、この家のどこかに石がしまってあるそうじゃ。それを捨てないでくれということらしい。ほれ、ママが 納戸や物置の整理を始めたろう。それで心配になって出てきたみたいじゃ」
「じゃあ、その石はどこにある石なの?」
「オシイレ・・・ズコーッ・・・ハコノナカ・・・」
オシイレって言ったってたくさんあるよ。
「ヘヤ・・・オシイレ・・・ズコーッ・・・」
さっきは座敷オヤジがぼくのことを頭が悪いと言ったけど、頭が悪いのはこいつの方じゃないの? もうちょっとマシな説明ができないのだろうか。と、ぼくは言いかけて、ひらめいたものがあった。
お手伝いさんが言っていたあれ!
『これは捨てられませんね。ずっと大事に持ってなきゃね。はい、だから、この押入れの隅のほうにね。ええと掃除機』
「八畳の部屋の押し入れの中!」
するとそいつは灯りを明滅させて、当たり!というようなリアクションを見せた。
「そうか、行ってみよう!」と座敷オヤジ。
ちょっと待って、行ってみようって、これから? 今何時だと思ってるの?
「草木も眠る丑三つ時。頃合な時間じゃ」
「頃合って、普通、良い子の小学生は寝ている時間じゃないか」
「我らにとっては活動しやすい時間なんじゃ。すまんが一緒に来てくれ」
ぼくはぼくの意思をステさせられた。また押し切られてしまった。
隣の8畳の部屋は、お手伝いさんが押し入れのものをいったん外に出したもんだから、一層の混乱を極めていた。
しかし、かの幽霊さんは我々を先導し、迷わず押し入れの一番おくにポツンとおいてある箱を示した。箱といってもあまり上等な箱ではなかった。古びた木の箱で、それには古色蒼然とした真田紐がかけられていた。さいわい、昨日お手伝いさんが一度開けたためか、紐は蝶結びになって解きやすかった。
あけてみると、何のことはない、漬物石のようなものが一つ、ころんと入っていた。
ぼくはいかにも希少価値のありそうな怪しげな石を想像していたので拍子が抜けた。
「なにこれ?」
「メジルシヨ・・・ズコーッ」
「メジルシ?」
その時、聞き覚えのあるきつい声がした。
「そこにいるの誰?!」
おばさんだった。ぼくは内心、笑ってしまった。なぜなら、おばさんは頭に鉢巻を締めて、そこに懐中電灯をさし、金属バットを持って現れたからだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
余談
カタカナが多くて、読みづらかったことと思います。それに、なんだ?この片言と雑音は?と思われたかも知れません。
私が持っているスピリチュアルの知識によると、霊能力のある人に、霊が初めてコンタクトをとるときは結構片言のようなんです。それはこの世とコンタクトを取るのが不慣れなためと言葉の問題があるらしいのです。
それを、カタカナで表現してみました。
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