出張 もふもふ病院〜そんなあなたにはモフモフを処方します!〜

君影 ルナ

文字の大きさ
7 / 20
ぎゅー

処方6 2回目

しおりを挟む
 ああ、ストレスが溜まってきたのを自覚してしまった。訳もなく涙が出そうになるし、気力なんてものはとうの昔に消え去っていた。それらを総合して、自分はストレス状態であると判断した。

 今も気力体力共に無くなり、ぐったりと布団に寝そべっているところだ。

「こんな時……テディーがいればなぁ……」

 以前、テディーという動くクマのぬいぐるみが私を癒しに来てくれたことがあり、それを思い出してポツリと無意識のうちに独り言ちてしまった。

 何故ぬいぐるみが動くのかは分からないが、可愛いのなら問題はない。あのきゅるるんとした目に、あのふわふわもふもふな毛並み……思い出しただけであの手触りを求めてしまうのも仕方がないだろう。

 そうだ、今の私の状態はきっともふもふ不足に違いない。ストレスも実際溜まっているだろうが、それ以上にあのもふもふが足りないんだ、きっと。

 それならテディーにまた来てもらえばいい、とまで考えたところで、前回はどうやってテディーが来てくれたのか分からないことに気がついた。

 詰んだ。テディーを我が家に呼ぶ方法が分からないと、今日来てもらえない。

「てーでぃーいー……」

 取り敢えず名前を呼ぶが、これで来てくれたら苦労はしない。

「はーあーいー? 今日のお疲れさんはここかな?」
「……!」
「あ、この前のお疲れさんだね。久し振り~」

 ニッコリ笑って私に向かって手を振るテディー。

 ああ、来てくれた! 愛しきもふもふが目の前に! 私の目は少しだけ生気を取り戻した。

「テディー、今日もモフモフさせてー……」
「もちろん良いよ~」

 そう言ってテディーは私の元にトテトテと歩いてくる。その後ポフッと私に抱きついてきた。はわわ、今日のモフモフ具合も素晴らしい。最高だ。

 私は両手と頬でテディーの毛並みを堪能する。極上のふわふわもふもふが私に癒しをもたらしてくれる。

「はわわ……」
「今日もお疲れ様です。存分に僕をもふもふして?」
「そんなこと言われたらずっと付き合ってもらうことになるよ?」
「いいよ~。それでお疲れさんのすとれす?が無くなるなら幾らでも。」

 テディーは素晴らしい毛並みを持ち、更には優しいときた。手放せなくなるのも仕方なかろう。

「今日もお疲れ様です。」
「テディーにそう言ってもらえて嬉しいな~」
「ふふふー」

 テディーのふわふわもふもふに顔を埋めると、溜まっていたストレスがスーッと小さくなっていくのが自分でも分かった。

 テディー、ありがとう。

 心の中で感謝したのを最後に、私は深い眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

下っ端宮女のひたむき後宮恋譚 ~前世の夢を追いかけていたらいつのまにか寵愛されていました~

紀本明
キャラ文芸
妃嬪から嫌がらせを受けつつも耐え忍んでいた下っ端宮女の鈴風(りんふぁ)はある日突然前世の記憶を取り戻す。料理人になるのが夢だった彼女は、今世でもその夢を叶えようと決意した矢先、ぼさぼさ頭の宦官・雲嵐(うんらん)と出会い、毎晩夕飯をつくることになる。料理人になるべく奮闘するも、妃嬪からの嫌がらせはひどくなる一方だった。そんなある日、事件が起こり、鈴風は窮地に立たされるが……――?

悪徳公主と冷徹皇帝陛下の後宮薬膳茶

菱沼あゆ
キャラ文芸
 冷徹非道と噂の皇帝陛下のもとに、これまた悪しき評判しかない異国の王女、琳玲がやってきた。  琳玲は皇后の位は与えられたが、離宮に閉じ込められる。  それぞれの思惑がある離宮の女官や侍女たちは、怪しい薬草で皇帝陛下たちを翻弄する琳玲を観察――。  悪徳公主と冷徹皇帝陛下と女官たちの日々は今日も騒がしい。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

竜華族の愛に囚われて

澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
近代化が進む中、竜華族が竜結界を築き魑魅魍魎から守る世界。 五芒星の中心に朝廷を据え、木竜、火竜、土竜、金竜、水竜という五柱が結界を維持し続けている。 これらの竜を世話する役割を担う一族が竜華族である。 赤沼泉美は、異能を持たない竜華族であるため、赤沼伯爵家で虐げられ、女中以下の生活を送っていた。 新月の夜、異能の暴走で苦しむ姉、百合を助けるため、母、雅代の命令で月光草を求めて竜尾山に入ったが、魔魅に襲われ絶体絶命。しかし、火宮公爵子息の臣哉に救われた。 そんな泉美が気になる臣哉は、彼女の出自について調べ始めるのだが――。 ※某サイトの短編コン用に書いたやつ。

処理中です...