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事例 壱 『コウシュ村』
拾捌
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慌てて懐中電灯を手に持ちその中を照らしてみると、ハシゴが下に向かって伸びているのが見えた。
「……これって『地下』に続いてそうだよな。」
少年(仮)の日記に書かれていた『ちか』が、まさか日記を見つけたこの場所で見つかるとは。驚きである。
「……え、これ、降りろってこと?」
そんな無茶振りさせます? この俺に?
「……帰りたーい」
降りたくないけど、このまま帰りたいけど、きっと開かずの襖がそれを許してはくれないのだろう。
半ベソかきながら懐中電灯を口に咥え、踏むたびにギィギィ軋むハシゴを一段一段確実に降りていく。
・─・・ ・─ ─・ ─・・─・
・・・─ ・─ ─ ─・ ─ ─
タン、と足が地面に触れ、ようやく地下に着いたかと安堵して──いつハシゴが壊れるか気が気じゃなかった──いると、その安堵をぶち壊すモノが懐中電灯で照らされた。
俺がいる『こちら側』と『あちら側』を隔てるように降りる鉄棒、あちら側の壁を埋め尽くす赤黒い文字──まさかとは思うが血だろうか──、そしてそのどれもが誰かに対しての恨み辛みで……
その恨み辛みが俺に向かってくるような気がして、正直、ここに長居はしたくないと思った。
あの文字が全部血だったとしたら、お婆さんの首を刎ねたあの光景の次にグロくて、これまた何かを吐き出してしまいそうになる。
「……」
それにしても、どこの誰が何のために俺をここに誘導したのだろう。ここには牢屋以外に何もないのに。
まさか俺を誘導したのは、ここに閉じ込められていた『逃げたニエ』だろうか? こんな待遇を強いられていたんだよ、と訴えるために。
「うーん、でも、なんかしっくりこないなぁ……」
もしそうだとして。何故俺にそれを伝えたがっていたんだ? 俺はこんな家、知らないし。何なら何故この家にいたのかも覚えていないし。
「釈然としないな……」
それがどうもおさまりが悪く、気持ち悪かった。
「……ここで他に見せたいものはありますかー」
さっきの鍵を見つけた時のように、いるか分からないモノにそう呼びかけてみる。
何らかの目的のために、行き詰まった俺を助けるが如く鍵を差し出してきたんだ。もしかしたらここで見せたいものがあれば、答えてくれるかもしれない。
数秒、数十秒、数分。先程の鍵の時と同じくらいの時間を待ってみたが、しかし何も起こらない。
「戻っても良いってことですかー」
もはや感覚が麻痺しきっているのか、鍵の在処を教えてくれたモノをお助けキャラ呼ばわりしてやる。
そしてそれはウンともスンとも言わないので、きっとこの牢屋を見せたかったんだろうと勝手に解釈して、さっさと戻るべくハシゴに手をかけるのだった。
「……これって『地下』に続いてそうだよな。」
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「……え、これ、降りろってこと?」
そんな無茶振りさせます? この俺に?
「……帰りたーい」
降りたくないけど、このまま帰りたいけど、きっと開かずの襖がそれを許してはくれないのだろう。
半ベソかきながら懐中電灯を口に咥え、踏むたびにギィギィ軋むハシゴを一段一段確実に降りていく。
・─・・ ・─ ─・ ─・・─・
・・・─ ・─ ─ ─・ ─ ─
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「……」
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「うーん、でも、なんかしっくりこないなぁ……」
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