××の十二星座

君影 ルナ

文字の大きさ
15 / 125
一章

しおりを挟む
「じ、じゃあ早く行こう。こんな森の中に長居はしたくはないからさ。」

 照れを隠すように話を変える。こんな(多分)鬱蒼とした森の中になんて長居したくはないだろうと思ってね。それに……

「そうね。」
「そうしましょう。案内をお願いしても?」
「うん。じゃあ……」

 私は目を閉じていても歩き回ったり走ったり出来る。何故なら気配を探るのが得意だからだ!

 そんな私はいつも通りフッと気配を探る。うん、良し。これでどこに木があるか、二人がいるかを鮮明に感じる。それに周辺に危険は無さそうだ。

「よし、行こう!」

 私達は歩き出した。






 木の上から見た時も思ったが、二人に出会ったのは結構な森の奥だったらしい。時間をかけて森を出ると、目を閉じていても仄かに感じる明かりにホッと一息つけた。

 二人が泊まっているという宿に到着し、私も共に個室へと入る。どうやらここはリアスが泊まっている部屋だと言う。

 私はリアスに椅子を勧められ、そこに座る。二人とも各々好きな場所に座り、私はやっと座れてホッと一息つく。

「戻ってこれて良かったわね。」
「これもマロンさんのおかげですね。改めてありがとうございます。」
「いいえー。」
「ところでマロン、あなたこれからどうするつもりなのかしら?」
「これから……そうだねぇ、どうしようかな。」

 これから、か。ノープランでここまで来てしまったからなぁ。どうしようか。特にやりたいことも無いし……。うーん、首を傾げてどうするか悩む。

「マロン、行くところがないならあたくし達に着いてこない?」
「……何故?」

 私に向かう気配でリアスの真意を探る。こんなどこの誰かも分からないような私を連れてどこに行くつもりなのだろうか、と。

 まさか私を油断させて殺すつもりなのでは……? やはりこの二人もあいつらと繋がっていたのだろうか。

 二人ならギリいけるか? 最悪の場合を予測して……

「マロンさん、本音で話しましょうか。」
「ちょっと、パイシーズ! それは秘密でしょう!」
「リアスさんこそ。何故外で小生をそう呼ぶんですか?」
「っ……!」

 ……あれ? 仲間割れを始めた? なんか二人の雰囲気が変わったぞ。こんな時私はどうすればいいんだ?

 私がつい先程まで感じていた負の感情はもう無くなっていた。拍子抜け、ってやつかな? それとも毒気を抜かれた?

「理由もなく連れて行くだなんて、不審に思われても仕方がありませんよ?」
「そっ、そ、それは……そうかもしれないけど……」
「可能性はゼロではありません。ですからほら、話してしまいましょう。」

「……全てではなく少しならいいんじゃないかしら。もし違ったら、という可能性もあるのでしょう? その時全てを話してしまっていたらどうするつもり? 記憶を消すなんてこと、出来ないでしょう?」
「……分かりました。」

 お、話し合い? 言い合い? が終わったようだ。あまり長引かなくて良かった。私、仲裁とか絶対出来ないもの。

「ではマロンさんに話せるところまで話しましょうか。」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...