××の十二星座

君影 ルナ

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一章

二十六 サジタリアス

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 マロン以外の五人がガックリと項垂れる。だが自分の発言は正論だろう。

 先にいるメンバーでマロンの鑑定を見届けて、もし全属性持ちだと判明したのなら。そこに居合わせなかったメンバーに『全属性持ちだった』と事後報告をしたとしたら。

 きっとアリーズは笑いながらネチネチと嫌味という名の説教三時間コースに直行だろうし、ポラリスに並々ならぬ執着を見せるキャンサーは先にいたメンバーを切りつける勢いで責めてきそうだ。他のやつらも怒るだろう。

 十二星座はただでさえ(主に)戦闘面で抜きん出た才能を持つ者の集まり。この世界一強い奴等の集まり。そんな奴等が怒ってそれぞれの武器を出してきたら……。

 多分地獄絵図が出来上がるだろう。それに今いるメンバーで戦闘向きなのは五人、今いないメンバーのそれは六人。数的不利でもある。そんな分かりきった負け戦に参加する気もない。

 だからこそ皆の到着を待つべきだ。

 待つといっても、そもそも期間を決めてポラリス候補を探しに行き、その期間内に間に合うように城に戻ってきて再び作戦会議をする、と事前に決めておいたのだ。その期間を数えるとあと二、三日で皆揃う計算だ。だからその選択を提案したのだ。

「……じゃあ取り敢えず今日はのんびりするかー。」
「そうね。ならまずは各々荷物整理としましょうか。で、サジタリアスはどうせ暇だろうからマロンに部屋へ案内してあげたらどうかしら?」

 アクエリアスはそう提案する。

「む、面倒くさ」
「でも待つと決めたのはあなたでしょう?」
「……仕方ない。」

 アクエリアスに言いくるめられてしまった。だが仕方ない。マロンの鑑定を待たずに事後報告をして今いない六人に殺されるか、待ってこの五人に睨まれるか。それなら誰だって後者を選ぶだろう。

 はぁ、間に挟まれるのも楽ではない。好きでその位置にいるわけではないが、今いる中で自分の他にこのように色々と考えを張り巡らせられるのはカプリコーンくらいだろう。しかしカプリコーンはそれを分かっていても尚自分自身の好きに振る舞うだろうが。

 自分の立ち位置に思わず溜息が出てしまう。
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