××の十二星座

君影 ルナ

文字の大きさ
上 下
77 / 114
一章

六十四

しおりを挟む
 はー、一仕事終えた気分。そんな呑気なことを考えながら私は夕飯を食べる。今日は一緒に食べる人がいつもより多くて嬉しいなぁ。

 まあ、といってもスコーピオとキャンサー、パイシーズ、ジェミニの四人が帰ってきたからなんだけど。それプラスいつものサジタリアスとアリーズね。

 十二星座の半分はここにいるのかー。慣れたとはいえ皆キラキラだなー。あとお喋り楽しそうだなー。皆仲良いんだなー。眺めているだけで楽しいなー。

 そんな風にほわほわと温かい気持ちでこの様子を観察しながら美味しいご飯を食べる。

「そうだ、ねぇマロンマロン、今日キャンサーと実戦訓練したんでしょ? どうだったの? ぼく見られなかったから……」

 ジェミニはそう言ってしょもんと明らかに落ち込んだ。

「そうだねぇ、ボロ負けだよ。」

 ジェミニが何故急に落ち込んだかは分からないけど、それを振り払うように私はカラカラと笑って負けたと言う。

「もーボロッボロにね。やっぱりもっと体力を付けないとなのかなー?」
「よく分かっているじゃないか。それなら明日からの体力作りは今までの二倍だな。」

 サジタリアスのその言葉がまるで地獄宣告のようで。今だってもう疲れて眠たくて目を開けるのも大変なのに、これ以上体力作りのメニューを増やされると考えると……

 ゾッとしたね。

「さっ……サジタリアスの悪魔……」
「どうとでも言えばいい。」
「き、キャンサーお助けっ!」

 キャンサーならこの状況を打破する術を持っているかもしれない! なんたって何度も私を窮地から救ってくれ……

「頑張れマロン。さすがにボクも擁護できないよ。だってボクより弱いもの。」
「はぅっ……」

 いい笑顔でサラッと言ったな……

「あ、でも、もし教師役がボクになったらもっと厳しくやってあげるけど……どうする?」
「ひゅっ……」

 いい笑顔で言ったと思ったら今度は黒ーい笑顔に変化した。元の顔が良いが故に余計怖く見えてしまう。

「成る程……確かに自分以外のやつらから教えを請うのも良いだろうな。十二人いれば十二通りの教え方があるだろうし……自分だけでは限度もあるだろうし……」
「それなら小生は魔法をみっちり教えましょう。」
「ワタシが教えるならどうするかしら……?」
「ぼくは教えられる程じゃないような気がするなぁー……」
「あら、ジェミニは他の皆には無い戦い方をするでしょう?それの対応力を身につけさせるってのはどうかしらん?」
「成る程!ぼく一人で『マロンvsぼく』の戦い方を学べるもんね!」

 ワイワイと楽しそうに話す皆。あー、今よりもっと厳しくされるのかなー、怖いなー怖いなー眠いなー。

「まあ、それは追々考えようか。我輩も出来ることは協力するつもりだよ。」

 ひょえっ! やっぱりこの中で群を抜いて怖いのはアリーズだなー。どんな鬼畜訓練になるか考えるだけで寒気が……


 思わず両腕をさすってしまったよね。
しおりを挟む

処理中です...