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一章
八十二
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「お、カプリコーンちゃんじゃん! おっはー!」
あ、やっぱりAさん……じゃなくてポラリス様はそのテンションが素ですか。そうですか。
「ポラリス様、ご機嫌麗しゅう。」
上の立場のお人に対してだからだろう、カプリコーンはいつも以上に振る舞いも、言葉遣いも、さらに雰囲気もキッチリカッチリしていた。
わあ、笑い上戸じゃないかっこいいカプリコーンなんて珍しい。そんな不敬とも取られるようなことを私は呑気に脳内で考えていた。
「あーもー、そんな畏まらなくて良いって何度も言ってるよね?」
「は、はあ……」
「あー! ここにいたのかポラリス! 仕事放ってどこに行くつもりだゴルァ!」
「うわー五月蝿いのが来ちゃったー……」
うわー、また新しく知らない人がこっちにやって来た。銀色の目だから目の前のポラリス様の代の十二星座様なのだろうことは推測出来た。
が、圧倒的に人相が悪い。この私でさえも少し震えてしまいそうな程、といえば何となく分かりやすいかもしれない。
「おいゴルァポラリス! お前が仕事を溜めるからこっちに皺寄せ来るって分かってやってんのかゴルァ!」
Aさ……ポラリス様はあんなにガン飛ばされていてもどこ吹く風。ゴルァ様(仮)はそんな様子のポラリス様を見てさらに怒りを爆発させていた。
なんだろう、展開が早くてついていけない感じ……。そう意識を彼方に飛ばしていると、
「……マロン、取り敢えずここから抜け出そう。」
我らのカプリコーンがボソリと私に提案する。それに音もなく頷き答え、ソロソロと離脱することにしたのだった。
その後のポラリス様? どうなったんだろうね?
「ほわー……あの人が今のポラリス様なのかー……」
「良い人なんだよ。仕事をほっぽって遊びに行こうとする人だけど……」
カプリコーンは顔を引き攣らせながらも、現ポラリス様のフォローをする。自由な人の元に仕える人は大変だなぁ、だなんて明後日なことを考えるしか私には出来なかった。
「あらマロン。遅いわよ。」
「アクエリアスちゃん、そんな言わなくても良いじゃな~い。ポラリス様に捕まってたの、貴女も見ていたでしょ?」
「……あの方、悪い方ではないのだけれど……ね。」
逃げた先には、アクエリアスとスコーピオが。いつの間に、と聞く前に二人はことの次第を暴露してくれた。
「あなたがポラリス様に捕まっている間にコッソリ出て来れて良かったわ。あの方話も長いし、ずっとあのテンションだから、こちらはなかなか体力を削られるものね……」
「でもカプリコーンはアタシ達と違って優しいわよね~、マロンを助けるためにあのポラリス様へ特攻するなんて。」
「あはは、何のことかなー?」
スコーピオの言葉を笑い飛ばすカプリコーン。まるで誤魔化すようなそれに、私は驚いてしまった。私を助けるため……?
「カプリコーン……ありがと」
ちょん、とカプリコーンの服の裾を掴んでお礼を言う。すると、
「さ、ささささて、全員揃ったことだし、街に行きますか!」
あからさまに話を逸らそうとするカプリコーン。まあ、異論はないのでそれに従ってゾロゾロと街に向かうことにした。
街に行くことにばかり気が向いていたから、お礼を言った時カプリコーンの耳が赤くなっていたことに私は気付けなかった。
あ、やっぱりAさん……じゃなくてポラリス様はそのテンションが素ですか。そうですか。
「ポラリス様、ご機嫌麗しゅう。」
上の立場のお人に対してだからだろう、カプリコーンはいつも以上に振る舞いも、言葉遣いも、さらに雰囲気もキッチリカッチリしていた。
わあ、笑い上戸じゃないかっこいいカプリコーンなんて珍しい。そんな不敬とも取られるようなことを私は呑気に脳内で考えていた。
「あーもー、そんな畏まらなくて良いって何度も言ってるよね?」
「は、はあ……」
「あー! ここにいたのかポラリス! 仕事放ってどこに行くつもりだゴルァ!」
「うわー五月蝿いのが来ちゃったー……」
うわー、また新しく知らない人がこっちにやって来た。銀色の目だから目の前のポラリス様の代の十二星座様なのだろうことは推測出来た。
が、圧倒的に人相が悪い。この私でさえも少し震えてしまいそうな程、といえば何となく分かりやすいかもしれない。
「おいゴルァポラリス! お前が仕事を溜めるからこっちに皺寄せ来るって分かってやってんのかゴルァ!」
Aさ……ポラリス様はあんなにガン飛ばされていてもどこ吹く風。ゴルァ様(仮)はそんな様子のポラリス様を見てさらに怒りを爆発させていた。
なんだろう、展開が早くてついていけない感じ……。そう意識を彼方に飛ばしていると、
「……マロン、取り敢えずここから抜け出そう。」
我らのカプリコーンがボソリと私に提案する。それに音もなく頷き答え、ソロソロと離脱することにしたのだった。
その後のポラリス様? どうなったんだろうね?
「ほわー……あの人が今のポラリス様なのかー……」
「良い人なんだよ。仕事をほっぽって遊びに行こうとする人だけど……」
カプリコーンは顔を引き攣らせながらも、現ポラリス様のフォローをする。自由な人の元に仕える人は大変だなぁ、だなんて明後日なことを考えるしか私には出来なかった。
「あらマロン。遅いわよ。」
「アクエリアスちゃん、そんな言わなくても良いじゃな~い。ポラリス様に捕まってたの、貴女も見ていたでしょ?」
「……あの方、悪い方ではないのだけれど……ね。」
逃げた先には、アクエリアスとスコーピオが。いつの間に、と聞く前に二人はことの次第を暴露してくれた。
「あなたがポラリス様に捕まっている間にコッソリ出て来れて良かったわ。あの方話も長いし、ずっとあのテンションだから、こちらはなかなか体力を削られるものね……」
「でもカプリコーンはアタシ達と違って優しいわよね~、マロンを助けるためにあのポラリス様へ特攻するなんて。」
「あはは、何のことかなー?」
スコーピオの言葉を笑い飛ばすカプリコーン。まるで誤魔化すようなそれに、私は驚いてしまった。私を助けるため……?
「カプリコーン……ありがと」
ちょん、とカプリコーンの服の裾を掴んでお礼を言う。すると、
「さ、ささささて、全員揃ったことだし、街に行きますか!」
あからさまに話を逸らそうとするカプリコーン。まあ、異論はないのでそれに従ってゾロゾロと街に向かうことにした。
街に行くことにばかり気が向いていたから、お礼を言った時カプリコーンの耳が赤くなっていたことに私は気付けなかった。
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