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二章
五・二
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アリーズの言葉を頭の片隅に追いやりながら学生生活を送ることになり、はや二日。それはあまり順風満帆とは言い難いものだった。
何たって、私、ぼっちなんだから!!!!
あ、いや、陰口を言われるのは別に痛くも痒くもないのだが、同世代の普通の人間とお喋りするっていう願望がこれじゃあ叶わない!!!!!
と、内心ヤキモキしながら一人で過ごしている。表情には出さないように律してはいるが。
あ、そうそう話は変わるけど、次は魔法学の授業らしいよ。そしてここでもまた私は一人寂しく指定された場所であるそこそこ大きな講堂に向かった。
どうやら一学年全員が集められているらしい。魔法学の初回では扱える属性によって火、水、風、土の四グループを作り、それぞれ自分が該当する属性のグループにてこれから学んでいく、とのこと。その顔合わせのようなものをするらしい。
……はてさて、私は三属性持っているわけだが、どの属性のグループに行けば良いんだ? 火? 風? 土?
悩みに悩みウロウロと講堂内を彷徨っていると、担任の先生が見かねたように話しかけてきてくれた。
「マロンさん、どうしたの?」
「ええと、三属性持っているのでどうすれば良いかと……」
「ああ、それなら……あ、今年の三属性持ちは君だけみたいだから、そうだなあ、全属性持ちのグループに入れてもらいなさいな。」
どうやら今年の二属性以上はそれぞれ一人ずつしかいないらしい。だから二属性、三属性、全属性の三人で一グループを作ることになるらしい。へぇ、やっぱり複数属性持ちは珍しいんだなあ……。と、そうしみじみ思う。
「全属性持ちのナガミーレ、お前が二人を引っ張って行くんだぞ!」
「はい、アクリル先生。精一杯頑張ります。」
全属性持ちってお前なのかナガミーレ!? 何かと私に突っかかってくるあのナガミーレか!? ……なんか嫌な予感がするなぁ。
「私は三属性持ちのマロンデス。」
「僕は二属性持ちのパリルッツァ・ルルズです。」
触らぬ神に祟りなし、ということでナガミーレに聞こえない程度の小声で隣にいる二属性持ちさん……ルルズさんに自己紹介する。するとルルズさんもこの微妙な空気を感じ取ったように小声で名乗ってくれた。
彼の穏やかそうなタレ目に緩く上がった口角、背後にお花が舞っている幻覚すら見える穏やかなオーラ。実に性根も良さそうだ。同じタレ目属性の某アリーズさんはルルズさんの邪気無い笑顔を少しは見習った方がいいと思う程。
「さてお前ら、二属性と三属性しか扱えない可哀想なお前らと一緒にされた僕こそが一番可哀想だと思うのなら、僕の足は引っ張らないようにするんだな。」
ハン、と鼻で笑いながら私達を見下ろしてくる──見下す、とも言えそうだ──ナガミーレ。その言い分は非常に頭に来たが、それを表に出さないように気を付けながら口角を無理やり上げる。これ以上揉めたくはないからね。
そしてルルズさんも私と同じ思いをしているらしい。ヒクっと引き攣った口角が見えたから。難儀なものだ。
取り敢えず、ルルズさんとは仲良くしていこうと思った所存だ。
何たって、私、ぼっちなんだから!!!!
あ、いや、陰口を言われるのは別に痛くも痒くもないのだが、同世代の普通の人間とお喋りするっていう願望がこれじゃあ叶わない!!!!!
と、内心ヤキモキしながら一人で過ごしている。表情には出さないように律してはいるが。
あ、そうそう話は変わるけど、次は魔法学の授業らしいよ。そしてここでもまた私は一人寂しく指定された場所であるそこそこ大きな講堂に向かった。
どうやら一学年全員が集められているらしい。魔法学の初回では扱える属性によって火、水、風、土の四グループを作り、それぞれ自分が該当する属性のグループにてこれから学んでいく、とのこと。その顔合わせのようなものをするらしい。
……はてさて、私は三属性持っているわけだが、どの属性のグループに行けば良いんだ? 火? 風? 土?
悩みに悩みウロウロと講堂内を彷徨っていると、担任の先生が見かねたように話しかけてきてくれた。
「マロンさん、どうしたの?」
「ええと、三属性持っているのでどうすれば良いかと……」
「ああ、それなら……あ、今年の三属性持ちは君だけみたいだから、そうだなあ、全属性持ちのグループに入れてもらいなさいな。」
どうやら今年の二属性以上はそれぞれ一人ずつしかいないらしい。だから二属性、三属性、全属性の三人で一グループを作ることになるらしい。へぇ、やっぱり複数属性持ちは珍しいんだなあ……。と、そうしみじみ思う。
「全属性持ちのナガミーレ、お前が二人を引っ張って行くんだぞ!」
「はい、アクリル先生。精一杯頑張ります。」
全属性持ちってお前なのかナガミーレ!? 何かと私に突っかかってくるあのナガミーレか!? ……なんか嫌な予感がするなぁ。
「私は三属性持ちのマロンデス。」
「僕は二属性持ちのパリルッツァ・ルルズです。」
触らぬ神に祟りなし、ということでナガミーレに聞こえない程度の小声で隣にいる二属性持ちさん……ルルズさんに自己紹介する。するとルルズさんもこの微妙な空気を感じ取ったように小声で名乗ってくれた。
彼の穏やかそうなタレ目に緩く上がった口角、背後にお花が舞っている幻覚すら見える穏やかなオーラ。実に性根も良さそうだ。同じタレ目属性の某アリーズさんはルルズさんの邪気無い笑顔を少しは見習った方がいいと思う程。
「さてお前ら、二属性と三属性しか扱えない可哀想なお前らと一緒にされた僕こそが一番可哀想だと思うのなら、僕の足は引っ張らないようにするんだな。」
ハン、と鼻で笑いながら私達を見下ろしてくる──見下す、とも言えそうだ──ナガミーレ。その言い分は非常に頭に来たが、それを表に出さないように気を付けながら口角を無理やり上げる。これ以上揉めたくはないからね。
そしてルルズさんも私と同じ思いをしているらしい。ヒクっと引き攣った口角が見えたから。難儀なものだ。
取り敢えず、ルルズさんとは仲良くしていこうと思った所存だ。
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