千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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魔法学校編

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「報酬は後日でもよろしいでしょうか? 今日はお疲れでしょうし。また伝達魔法を飛ばしますね。」

 そうディエゴに言われワシはそれを素直に了承し、寮に戻ってきた。なんたって疲れていたからな。

 魔力切れまでは行かなかったが、それを以前体験した時のような疲れは感じたからな。大事を取って休養を取る選択肢を採用したのだ。

 また魔力切れを起こした、だなんてヴァリアス先生に知られたらどんな説教を聞かされることか。考えるだけでも背筋が冷える。

 とまあ冗談は置いておいて。ワシはベッドに寝転がりながら今日のことを振り返っていた。

 魔王を有するメリット、デメリット……か。

 この世界には魔王という存在が何体か存在する。まあ、ワシはあのゴルなんちゃらしか知らないが。まあそれはいいとして。

 その魔王とやらはその地域の魔物を統べるものであり、魔物と人間の間に入って緩衝材としての役割を担うんだ、とかなんとかゴルなんちゃらが言っていたような気がする。

 まあ普通の人間がそのことを知る術はないらしいからな、よく知りもせず魔王を恐れ忌み嫌う人間たちは『世界機構』なる期間を設置して、世界単位で魔王の管理を行っているようだ。

 それが今日ディエゴから聞いた話に繋がるというわけじゃな。

 500年前の戦争で隣国サルベーノを吸収した我がトラント国。その中にゴルなんちゃらの住む魔王城が含まれていて、それをも吸収したトラント国はその世界機構から『魔王城所有の援助(正式な名称は知らん)』を受けている、と。

 なんのための援助なのかは分からんが、なんとなくの予想は出来る。魔王の脅威に備えるための軍事資金、みたいな名目なんだろう。多分。

 確かに魔王は強い。普通の人間が相手をしたらすぐ負けるだろう程度には強い。まあ、ゴルなんちゃらはワシと互角くらいだからそこまで強いとは思わんがな。

 と、まあそれは置いておいて。魔王は基本的に話し合いに応じる程度には分別がある、とはゴルなんちゃら談。今もそうなのかは分からないがな。

 しかしその話が本当なら何故未だに人間との間に溝が出来ているのだろうか。実に不思議だが、頭がそれほどよろしくないワシには分からない何かがあるのだろう、と無理やり納得させることにした。






 その辺りまでは思考していた記憶があったが、それ以上は思い出せなかった。多分自分でも気がつかないうちに眠ってしまったのだろう。

 眠ることで魔力も回復し、次の日になれば昨日の疲れなど忘れたようだ。

 若者の回復力は偉大である。そんなことを考えながら学園の中にある小屋に向かった。昨日は用事があるといって休んだが、今日はいつもの休日のように同クラスの窓側四人の魔力向上の鍛錬を積む予定だったから。

「おはよう、レタア。」

「おはよう、グリタリア。早いな。」

「レタアこそ。まだ二番目よ?」

「あはは、やっぱり人と関わるのは楽しいからな。今日も張り切ってしまったわい。」

「そう。私も何気に楽しみなのよ? まだ実感は沸かないけれども、ちゃんと成長してると言われれば、ね。魔法が好きになる日も近いかしら?」

「お、そうなったらお祝いしなければならないな! ワシ、張り切ってしまうぞ?」

「ふふ、その時はお願いしようかしら。」

 魔力のなさから、魔法を嫌っていたグリタリア。その彼女が魔法を好きになるかもしれないというんだ。教師役からすれば相当嬉しい一言だった。









「さあ、今日も始めよう。……してミネル、今日はこっちにいても大丈夫なのか?」

 ワシの隣で何事もなかったように教える気満々な表情を浮かべるミネルの姿を見て思わずそう聞いてしまった。

「ああうん、今日は休日だし、キルグ会の方は絶対出ろとは言われていなかったからいいかなって。それに……あの場所、居づらいといいますか……それならここにいた方が楽しいし……」

 ミネルは不満げな様子を隠しもせず、ぶうと頬を膨らませる。

「今代のキルグ会はそんなに空気が悪いのか?」

 ワシも前世で所属していたが、ワシは不真面目な生徒だったから会議も何もかもすっぽかしていたしなあ。と、昔に思いを馳せる。

 そして高度な魔法が必要な時だけ出てきて手伝う、みたいなスタンスで……あれ、ワシ、意外と問題児だったのでは? と、いまさら気がついても遅い疑問が頭に浮かぶ。何たって千年程前の話だし。

「あの場所にいるような人たちは皆魔力至上主義がほとんどだからねえ……根本的な考えが違うって言うの? そんなだからあそこは私の居場所ではないよなあって。」

「そうか……」

 ワシの今世の生家もそんな感じだったよなあ、と思い出し少しモヤモヤした。自業自得とはいえ幼子を魔力が少ないという理由で追放するような家が普通である、ということに。
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