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ハッピーエンドを目指す王子様
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「カーシャ!!」
彼女が泣いている! 私が慰めねば!
「頑張ったのにぃぃぃいぃ」
「そうね、頑張ったわね」
ふぇぇん と泣く彼女をアデリーナが肩を抱いて慰める。
すぐそこに王子来てるよ?
「きょっ今日だって、不安で不安で仕方がなかった!」
「まあ珍獣みたいな扱いになりかねないものね」
「綺麗になった自分を見てもらえるのだけが楽しみだったのに、お披露目さえ出来ないなんて! 厳しい詰め込み教育も殆ど身に付かず全くの無駄!! 大体肝心の王子様との交流、全くないってなにそれ!!」
「さっき知ったわ。本当になんなのかしらね」
アデリーナがジロリとこちらを睨む。私は王子だぞ。
しかしそう言われてみれば、全く会っていなかった。良く見かけていたから、いや、何度か会おうとしたが、いつも邪魔が入ったんだ。侍女仕事に慣れないエレーナが何かミスをしたり、母上からどうでもいい用事を…………母上か!!
「私は、そりゃ物覚えは悪いけど、一般常識くらいはあります!」
「常識が私と同じかは分からないけれど、良識があるのは認めるわ」
アデリーナのアレは慰めているのか?
段々とヒートアップしてきて、涙は止まったようだ。良かった、んだろうな。
「花嫁の差し替えなんてあり得ます!? 憧れの(しかも最高に贅を尽くした)花嫁さんになれると思って努力してたのに、『妃』は『嫁』じゃないって」
「違うわ。背負うものが全然違うも「いや、同じだよ」」
「殿下?」
こちらをふり仰ぐ彼女。ああ、顔が凄い事に。
ぐしゃぐしゃの顔をそっとハンカチで拭ってから、手を取って乗せる。もっと拭きたいだろうからな。だって凄いから。
侍女に鏡を見せられて、驚愕している。可愛い。
こちらに背中を向けて、ハンカチでゴシゴシ。メイク担当が布でサッと落とし、何かを塗って頷き、二人で軽く拳を合わせる。
何の挨拶? 仲の良さが伝わってくるな。今度グレゴリーとやってみるか。
くるりとこちらを向いた。おお、普通の顔になってる。あ、そうじゃなかった。
彼女に歩み寄って片膝をつく。包み込むように両手を取った。
「カーシャ。大丈夫だよ。君は私のお嫁さんだよ」
少し腫れぼったくなった目を見開く。涙に濡れた瞳が可愛い。
「私は第二王子だし、兄に息子が出来たら臣籍降下する予定なんだ。君の一番の仕事は、私と一緒に居心地の良い家庭を作って、それを周囲に少しずつ還元することだよ」
「王子妃がそれでは国民が困ります!」
アデリーナは良い子だけど、頭が固いんだよな。
「大丈夫だよ。公務の負担を減らす為に、ルカに仕事を多めに振っている」
「なっ」
「ルカは仕事が楽しい時期で、喜んでいるよ。いずれルカの妃になる君の負担も少し増えるけど、能力的には余裕を持って熟せるはずだよ。君には期待している」
アデリーナが何とも微妙な表情になっている。
「仕事を割り振るのは得意だし、私に余裕があると、兄弟の仕事を助ける事も出来る。それで周りにも余裕が出来る。いい事ばかりだよ」
婚約者殿に柔らかさを意識して微笑む。
「毎日朝早くからの妃教育は大変だったろう? ピコピコが無くなる程頑張っていたのは、ちゃんと見ていたよ」
「ピコピコ?」
「困った時は私が助けるよ。一緒に解決していこう?」
彼女の新緑のような瞳を覗き込む。
「私と結婚してくれますか?」
赤くなってコクコク頷く彼女の頬に手を添え、額に口付けを落とした。
彼女が泣いている! 私が慰めねば!
「頑張ったのにぃぃぃいぃ」
「そうね、頑張ったわね」
ふぇぇん と泣く彼女をアデリーナが肩を抱いて慰める。
すぐそこに王子来てるよ?
「きょっ今日だって、不安で不安で仕方がなかった!」
「まあ珍獣みたいな扱いになりかねないものね」
「綺麗になった自分を見てもらえるのだけが楽しみだったのに、お披露目さえ出来ないなんて! 厳しい詰め込み教育も殆ど身に付かず全くの無駄!! 大体肝心の王子様との交流、全くないってなにそれ!!」
「さっき知ったわ。本当になんなのかしらね」
アデリーナがジロリとこちらを睨む。私は王子だぞ。
しかしそう言われてみれば、全く会っていなかった。良く見かけていたから、いや、何度か会おうとしたが、いつも邪魔が入ったんだ。侍女仕事に慣れないエレーナが何かミスをしたり、母上からどうでもいい用事を…………母上か!!
「私は、そりゃ物覚えは悪いけど、一般常識くらいはあります!」
「常識が私と同じかは分からないけれど、良識があるのは認めるわ」
アデリーナのアレは慰めているのか?
段々とヒートアップしてきて、涙は止まったようだ。良かった、んだろうな。
「花嫁の差し替えなんてあり得ます!? 憧れの(しかも最高に贅を尽くした)花嫁さんになれると思って努力してたのに、『妃』は『嫁』じゃないって」
「違うわ。背負うものが全然違うも「いや、同じだよ」」
「殿下?」
こちらをふり仰ぐ彼女。ああ、顔が凄い事に。
ぐしゃぐしゃの顔をそっとハンカチで拭ってから、手を取って乗せる。もっと拭きたいだろうからな。だって凄いから。
侍女に鏡を見せられて、驚愕している。可愛い。
こちらに背中を向けて、ハンカチでゴシゴシ。メイク担当が布でサッと落とし、何かを塗って頷き、二人で軽く拳を合わせる。
何の挨拶? 仲の良さが伝わってくるな。今度グレゴリーとやってみるか。
くるりとこちらを向いた。おお、普通の顔になってる。あ、そうじゃなかった。
彼女に歩み寄って片膝をつく。包み込むように両手を取った。
「カーシャ。大丈夫だよ。君は私のお嫁さんだよ」
少し腫れぼったくなった目を見開く。涙に濡れた瞳が可愛い。
「私は第二王子だし、兄に息子が出来たら臣籍降下する予定なんだ。君の一番の仕事は、私と一緒に居心地の良い家庭を作って、それを周囲に少しずつ還元することだよ」
「王子妃がそれでは国民が困ります!」
アデリーナは良い子だけど、頭が固いんだよな。
「大丈夫だよ。公務の負担を減らす為に、ルカに仕事を多めに振っている」
「なっ」
「ルカは仕事が楽しい時期で、喜んでいるよ。いずれルカの妃になる君の負担も少し増えるけど、能力的には余裕を持って熟せるはずだよ。君には期待している」
アデリーナが何とも微妙な表情になっている。
「仕事を割り振るのは得意だし、私に余裕があると、兄弟の仕事を助ける事も出来る。それで周りにも余裕が出来る。いい事ばかりだよ」
婚約者殿に柔らかさを意識して微笑む。
「毎日朝早くからの妃教育は大変だったろう? ピコピコが無くなる程頑張っていたのは、ちゃんと見ていたよ」
「ピコピコ?」
「困った時は私が助けるよ。一緒に解決していこう?」
彼女の新緑のような瞳を覗き込む。
「私と結婚してくれますか?」
赤くなってコクコク頷く彼女の頬に手を添え、額に口付けを落とした。
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