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2人の朝
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sideリラ
目が覚めたら大好きな人の腕の中にいた。
朝日が眩しい。
心も体も満たされてる。
幸せだ。
ただ一つ心残りなのは、昨日ルシアス様に愛を囁けなかったこと。
泣かされっぱなしで、それどころじゃなかった。
「もう起きたのか?」
「おはようご…」
声が掠れて出ない。
「随分といい声だな。」
「(誰のせいで!)」
一度ルシアス様を叩くと、ルシアス様は楽しそうに笑った。
「怒った顔も可愛い。」
可愛い、なんて前まで言わなかったくせに。
私が顔を真っ赤にしてルシアス様に背を向けると…
「おいおい、それはないだろ。」
ルシアス様は私を簡単にひっくり返して向き合わせる。
「これで許してくれ。」
ルシアス様は私の喉にキスをした。
掠れた喉を治してくれたからこれでようやくおしゃべりができる。
「ルシアス様、からかわないでください。」
私がそう言うと今度はルシアス様が拗ねる番だ。
「夫婦で、様はないだろ。」
ルシアス様が私に背を向けてしまった。
「あ、ちょっと…ルシアス////」
この呼び方はまだ慣れない。
「もう、子供みたいなこと言わないでください。まだ慣れないんですよ。ねぇ、ルシアス。許してください。」
私がルシアスの背にギュッと抱きつくと、ルシアスは私の方に向き直った。
「仕方ねぇな。愛しい妻がそんなにも許しを乞うなら、許してやらないとな?」
ルシアスはご満悦だ。
私の額にぐりぐりと頭をつけてきた。
こんな大男が可愛いなんてね。
「ふふっ…」
くすぐったくて笑う私の頭を誰かが撫でた。
「全く、朝から殺意が漲って困るよ。」
「「!!?」」
その声の主に私とルシアスは飛び上がる。
「お前、正気か?」
ルシアスがそう聞いた相手はにっこり笑う。
「ルシアスよりはね。あぁ、リラおはよう。」
にっこりとわざとらしい笑みをやめて、声の主が私に柔らかく笑った。
「おはよう、ライアス。」
私は必死にシーツで自分の体を隠す。
「こんなに髪を乱れさせて、昨晩は楽しかった?」
ライアスの質問に私の体は燃えるように真っ赤になった。
******************
sideライアス
リラが僕の質問に体で答える。
顔も耳もシーツで隠れていない腕も真っ赤に染まった。
少し意地悪が過ぎたね。
「なんてね、冗談だよ。何か着ておいで。」
僕がリラの頬を撫でると、リラは頷いてシーツで体を隠したままベッドから抜け出した。
焦ったようにパタパタと可愛い足音が遠くなる。
それを聞いたルシアスが僕に話しかけた。
「お前、本当に頭おかしいだろ。一回医者に診てもらえよ、治療費出してやるから。 」
失礼極まりないね。
「そっくりそのまま返すよ。それより急いで準備してくれない?」
いつまで裸でいるつもりかな?
僕は男の裸をマジマジと見る趣味はない。
「いきなり現れて急かすとは本当にぶっ飛んでるな、せめて理由を話せよ。」
理由…か。
「特にないよ。ルシアスのことだから朝もリラを襲いかねないと思ってね。リラをクタクタにして行かせない、なんて言い出しそうだから阻止しにきたんだよ。」
ルシアスは舌打ちをした。
「邪魔すんなよ、リラを抱けない妬みか?可哀想だな。」
妬み、なんて可愛いもので済めばよかったんだけど。
これはもう殺意だよ。
「リラを無理矢理抱いてない僕に感謝して欲しいくらいだよ。」
別に抱こうと思えば簡単だよ。
リラは小さいし力も弱いから。
いっそそうして奪ってしまえば楽だし簡単なんだけど、そんな事したらリラがリラで無くなってしまうから。
だからしてない。
「まぁ、だからって絶対に手を出さないって保証はないけどね。」
僕だって男だ。
もしかしたらうっかり手を出してしまうかもしれない。
「は?お前何言って」「さて、僕はリラの準備の手伝いでもして来ようかな。」
僕が立ち上がると、ルシアスが枕を投げてきた。
「余裕がないね、情けない。」
余裕がないのは僕も同じだけど。
まぁ、好きな子を目の前にして余裕な男なんてこの世のどこにもいないよね。
*********************
sideリラ
まさかライアスが朝から来るなんて。
知ってたらちゃんと早起きしたのに!!
バタバタと髪を整えて、近くにあったルシアスの服を着た。
いつまでもシーツじゃいられないからね。
「っ…あれ??」
一瞬で着れたのはいいけど、なんかボタンがずれていておかしい。
「ん?もう!」
ルシアス様のシャツは袖がが長い。
まくってもすぐに降りてきてしまう。
「手伝おうか?」
「ひっ!!」
ライアスが突然現れた。
「ライアス…大丈夫だよ!」
腕まくりしながら言うとライアスはニコニコ笑っている。
「そうは見えないんだけどね。」
「わ!」
ライアスはいきなり私をお姫様抱っこした。
「リラの部屋はどこ?慌てていて転けそうだから運んであげる。」
もうライアス!!
身のこなし全てが王子様だ。
「こんな時に王子様パワー使わないで!!」
目が覚めたら大好きな人の腕の中にいた。
朝日が眩しい。
心も体も満たされてる。
幸せだ。
ただ一つ心残りなのは、昨日ルシアス様に愛を囁けなかったこと。
泣かされっぱなしで、それどころじゃなかった。
「もう起きたのか?」
「おはようご…」
声が掠れて出ない。
「随分といい声だな。」
「(誰のせいで!)」
一度ルシアス様を叩くと、ルシアス様は楽しそうに笑った。
「怒った顔も可愛い。」
可愛い、なんて前まで言わなかったくせに。
私が顔を真っ赤にしてルシアス様に背を向けると…
「おいおい、それはないだろ。」
ルシアス様は私を簡単にひっくり返して向き合わせる。
「これで許してくれ。」
ルシアス様は私の喉にキスをした。
掠れた喉を治してくれたからこれでようやくおしゃべりができる。
「ルシアス様、からかわないでください。」
私がそう言うと今度はルシアス様が拗ねる番だ。
「夫婦で、様はないだろ。」
ルシアス様が私に背を向けてしまった。
「あ、ちょっと…ルシアス////」
この呼び方はまだ慣れない。
「もう、子供みたいなこと言わないでください。まだ慣れないんですよ。ねぇ、ルシアス。許してください。」
私がルシアスの背にギュッと抱きつくと、ルシアスは私の方に向き直った。
「仕方ねぇな。愛しい妻がそんなにも許しを乞うなら、許してやらないとな?」
ルシアスはご満悦だ。
私の額にぐりぐりと頭をつけてきた。
こんな大男が可愛いなんてね。
「ふふっ…」
くすぐったくて笑う私の頭を誰かが撫でた。
「全く、朝から殺意が漲って困るよ。」
「「!!?」」
その声の主に私とルシアスは飛び上がる。
「お前、正気か?」
ルシアスがそう聞いた相手はにっこり笑う。
「ルシアスよりはね。あぁ、リラおはよう。」
にっこりとわざとらしい笑みをやめて、声の主が私に柔らかく笑った。
「おはよう、ライアス。」
私は必死にシーツで自分の体を隠す。
「こんなに髪を乱れさせて、昨晩は楽しかった?」
ライアスの質問に私の体は燃えるように真っ赤になった。
******************
sideライアス
リラが僕の質問に体で答える。
顔も耳もシーツで隠れていない腕も真っ赤に染まった。
少し意地悪が過ぎたね。
「なんてね、冗談だよ。何か着ておいで。」
僕がリラの頬を撫でると、リラは頷いてシーツで体を隠したままベッドから抜け出した。
焦ったようにパタパタと可愛い足音が遠くなる。
それを聞いたルシアスが僕に話しかけた。
「お前、本当に頭おかしいだろ。一回医者に診てもらえよ、治療費出してやるから。 」
失礼極まりないね。
「そっくりそのまま返すよ。それより急いで準備してくれない?」
いつまで裸でいるつもりかな?
僕は男の裸をマジマジと見る趣味はない。
「いきなり現れて急かすとは本当にぶっ飛んでるな、せめて理由を話せよ。」
理由…か。
「特にないよ。ルシアスのことだから朝もリラを襲いかねないと思ってね。リラをクタクタにして行かせない、なんて言い出しそうだから阻止しにきたんだよ。」
ルシアスは舌打ちをした。
「邪魔すんなよ、リラを抱けない妬みか?可哀想だな。」
妬み、なんて可愛いもので済めばよかったんだけど。
これはもう殺意だよ。
「リラを無理矢理抱いてない僕に感謝して欲しいくらいだよ。」
別に抱こうと思えば簡単だよ。
リラは小さいし力も弱いから。
いっそそうして奪ってしまえば楽だし簡単なんだけど、そんな事したらリラがリラで無くなってしまうから。
だからしてない。
「まぁ、だからって絶対に手を出さないって保証はないけどね。」
僕だって男だ。
もしかしたらうっかり手を出してしまうかもしれない。
「は?お前何言って」「さて、僕はリラの準備の手伝いでもして来ようかな。」
僕が立ち上がると、ルシアスが枕を投げてきた。
「余裕がないね、情けない。」
余裕がないのは僕も同じだけど。
まぁ、好きな子を目の前にして余裕な男なんてこの世のどこにもいないよね。
*********************
sideリラ
まさかライアスが朝から来るなんて。
知ってたらちゃんと早起きしたのに!!
バタバタと髪を整えて、近くにあったルシアスの服を着た。
いつまでもシーツじゃいられないからね。
「っ…あれ??」
一瞬で着れたのはいいけど、なんかボタンがずれていておかしい。
「ん?もう!」
ルシアス様のシャツは袖がが長い。
まくってもすぐに降りてきてしまう。
「手伝おうか?」
「ひっ!!」
ライアスが突然現れた。
「ライアス…大丈夫だよ!」
腕まくりしながら言うとライアスはニコニコ笑っている。
「そうは見えないんだけどね。」
「わ!」
ライアスはいきなり私をお姫様抱っこした。
「リラの部屋はどこ?慌てていて転けそうだから運んであげる。」
もうライアス!!
身のこなし全てが王子様だ。
「こんな時に王子様パワー使わないで!!」
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