生贄少女とヴァンパイア

合宿開始！

ｓｉｄｅルディ


「え、冗談きつくない？」


俺たちはようやく例の島に着いた。


ようやくとは言っても、クロウさんの転移魔法？かなんかでぶっ飛んだだけだけど。


それにしても冗談がきつい。


「だから言っただろ、遠足じゃねぇって。」



驚く俺と違ってルシアスは冷静だ。



「いやいや、それにしてもこれはないわ。」


島って言ってたよね？


これもはやジャングル……


「ひ…広いね…緑がいっぱい。」



リラもこの状況に動揺していた。


「やば…私迷子になるかも。」


ダリアも珍しく不安そうだ。


「1人でうろつくと確実に迷子になる。と言うことで、勝手ながら二人一組を俺が独断と偏見で作らせてもらった。」


え！？


「この３日間は絶対にこの二人一組で行動すること。いいな？」


クロウさんはそう言って俺たちの前に大きな羊皮紙を出した。


俺らは一斉にその羊皮紙に食らいつく。


「おい、ライアス退け。」
「ルシアス、押さないでくれる？」
「ちょっと！ルディ！足踏まないで！」
「いって！踏み返して来んなよ！」
「み…見えない…」
「一人一人見るって言う考えには至らないのか？」



ラルフは俺らと違って冷静だった。



「あーもー！ごちゃごちゃしすぎ！これだから……」


ん？



見間違いか？俺の見間違いなのか？


チラッと見えた内容に俺は疑問を覚える。


「え？？」



気のせいか？


俺の隣にリラの名前が書いてあった気がする。


「ちょっ！！本当に退いて！！！」


俺の大声に全員が耳を塞ぐ。

「うっるさい！！この馬鹿ルディ！！」

どすっ！！
「ぐっ！！」


ダリアにはぶん殴られたけど、そのおかげで群がってる奴らは散った。



「おいおいおいおい！！！！嘘だろー！！！！！」


ここで狂喜乱舞しているのは俺だけ。



「やったー！！！！リラとペアじゃん！！！！ありがとうー！！！神様、クロウ様！！！」


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ｓｉｄｅリラ

私は背が低くてみんなに埋もれて見えなかったけど、ルディが私とペアだと騒いでいるからきっとそうなんだ。


みんなが掃けている内に私もちゃんと内容を見ておこう。



　　リラ　　ルディ

　ダリア　　ラルフ

　キジャ　　ルルド　

ルシアス　　ライアス



おぉ……なかなかだね。



私のペアはいいとして、ルシアス達は大丈夫？？

　

「えー！！！！私リラちゃんがいいー！！！」

「失礼だな、俺でも別にいいだろ。」

「どうして俺がキジャとなんだ！ライアス様の護衛はどうする！！」

「大丈夫だって、お前の大好きなライアス様にはうちの団長がついてるし。」

「それが1番心配なんだろう！！」

「嘘だろ、クロウ。お前まで頭イカれてんのか？普通ここは夫婦をペアにするだろ。」

「そうだよ、だから僕とリラが一緒じゃないとおかしい。」

「おかしいのはお前の頭だろうが。」

「それこっちのセリフだけど？」

「無理だ、こんな奴と３日も過ごしたらハゲる、死ぬ。」

「僕もそう思うよ、ハゲはしないけど。」


こんなにみんながガヤガヤ言ってるのに一人一人の声が聞き分けられるなんて、ヴァンパイアすごい！


「リラー！ジャングルだけど合宿頑張ろうな！」


ルディはここにいる誰よりも喜んでる。


そんなに喜ばれたら私も嬉しくなっちゃうな。


「うん！頑張って強くなろうね！」


この合宿の目的は各々の力を強くすること。


このペアは正解だ。


私はルディから学ぶことが沢山ある。


普段ゆっくりと見られないからこうしてペアにしてくれたんだと思う。


「よし！よく言った！俺も絶対強くなるからな！側で見ててくれよ。」


太陽のように明るいルディ。


「ふふっ、それじゃあまるでプロポーズね。」

ピシッとこの場が固まった。


何かいけない事でも言った？



「て、照れるだろ～、やめろよ～。」



ルディは明らかにデレデレしてる。


いろいろな感情を素直に出すところがルディの良いところだよね。


「ルディ可愛い。」

「えへへ～。い゛！！！」

私も素直に言ってみると、ルディの頭をルシアスが片手でガシッと掴む。


「なんで人の女見て鼻の下伸ばしてんだ？」


ルディの頭がりんごみたいに割れちゃう！！


「ルシアス様！暴力反対です！」


ルディが可哀想！


「様？」


私の馬鹿！！


こんな時に地雷踏んでどうするのよ！


「えー！！もうやだやだー！！」

「駄々をこねるな、仕方ないだろ。」

「キジャ、俺は絶対にお前を認めない。」

「えー、面倒くさー。」

みんなバラバラすぎじゃない？


この合宿本当に大丈夫？？？