生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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隠れ家

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sideリラ


ルディの獲ってきたうさぎを食べながら私たちはいろいろな話をする。



それはいいけど、ルディは私の奇行を真似しては笑うから私までつられて笑ってしまう。


「盛りすぎだよ!ルディ!!」


確かに私は家なんて作れないけどルディが真似すようなポンコツじゃない!


「だってそうじゃん!大丈夫だって、リラは何したって天使なんだから。」



天使!?



「ルディくらいだよ。…そんなこと言ってくれるの。」



本来一番言って欲しい人は他の人を守るのに夢中なんだもん。


「ルシアスはこんなこと言わないの?」



私が困ったように笑うとルディも困ったように笑った。



「そっか、そっか。あいつアホだもんね、思ってる事素直に言ってやればいいのに。」



ルディにアホ呼ばわりされてる。


少しいい気味だと思ったり…。


「ルシアスは……やっぱり、あの人のことまだ気になってるのかな?あの後…どうしてた?」



ここに来て初めて聞いてみた。


私が飛び出してからのことは怖くて聞けなかったから。


もしも、ルシアスがあの人を抱きしめていたりしたら私は今度は故意に自分の身を投げるかも。



「ないないないない。絶対ない。リラの方が100倍可愛いし。それに、ルシアス言ってたよ?」


ルディがいきなりキリッとした目つきになった。


「情が湧いてると思うか?こんな女、どこでどう死のうが俺にはどうでもいい。情報が欲しいだけだ。ってね。」


私はルディのモノマネに吹き出した。


「何それww !何その顔www!!」


私が大笑いするとルディも大笑いする。


「いや、マジ!これマジだからね!?アイツ鬼の形相で言ってたよ!あ、後もう一個!」

「もw もうやめてwww !お腹よじれる!!!」

「ちょっとした意見の食い違いだ。俺がリラを手放す時はリラに死なれた時だ。」

「あははははっ!!ルディ!顔!!顔!!」

「はははっ!!!アイツすげー!!俺絶対こんなキザな事みんなの前で言えない!!!」



私たちは隠れる気があるのかってくらい大声で喋って笑ってる。


私のお腹が本当に捩れそうになった時、よく知った香りが私の鼻をくすぐった。


ルディは笑うのをピタリと止める。


というより、笑えなくされてしまった。


いきなり現れたその人物に片手で額を掴まれ目隠しをされたから。


「ルシアス!!」


座っていたルディはいきなり脱力して、ルシアスの方へ倒れてしまった。



いきなり気配もなく現れたルシアスに私は驚くことしかできない。


それより…


「ルディに何したんですか!」



私は久々に会ったルシアスに激怒した。


「何も。」
「きゃっ!!」


ルシアスは座っている私をいきなり抱き上げた。



「それより自分の心配したらどうだ?」


何のことか聞き返そうとしたら、とんでもないスピードで移動を始めたルシアス。



私が地面に降ろされた時はすでにどこにいるか分からなくなっていた。


どれほど速い移動だったんだろう。


浮遊感が残っていて真っ直ぐ立てない。


「今は話したくありません。」


私がルシアスに背を向けて歩き出すとルシアスが私の腕を掴んだ。


「待て。」
「嫌です。」



本当に今は話したくない。


「いつまで駄々こねるつもりだ?」


駄々をこねる?

誰のせいでこねてると思ってるの?


「ルシアスの大好きでたまらないあの人が死ぬまで。」


あの女が生きているうちは口を聞きたくない。



「俺は情報が欲しいだけだ。それ以外にやましいことなんて何もない。」



私を突き飛ばしたくせに?



「へぇ、そうですか。帰ってください。」



私もつくづく可愛げがない。


分かってるよ。


でも嫌なものは嫌だから。


どんなに子供扱いされても構わない。


「帰らない。」

「あの人がきっと寂しがってますよ。」


もうヤケクソだった。


どうでもいい。


「あんな女興味ない。」


もうこれ以上聞きたくなくて、無理矢理ルシアスの手を払い除けた。


「リラ。」


私を呼び取るルシアスを無視して私は歩き出す。



背にルシアスの視線を感じても私は足を進めた。


「リラ、待て。リラ。」


止まるもんか、聞くもんか。


どうせ言い訳ばかりされる。


私はそれに反抗しかできないからきっともっとひどい喧嘩になる。


なった時はなった時だけど、その展開を避けれるのなら避けたい。


「なぁ、リラ。」



止まったらダメだよ。


絶対に、止ま「愛してる。」
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